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LIQUID -Star Chronicle- 時は流れゆく
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【桜雨の降るころに】
馬車は急くこともなく、ゆったりとして緑野をゆく。向こうの丘へつらなる段々畑ではなんらかの果実が収穫をむかえているらしく、ツナギを着て麦わら帽子をかぶった人々が額に汗して枝から実をもいでいるのが見えた。
すがすがしい晴天の下、せわしなく働く彼らの姿が凛風(プレイヤー:
鷹司 凜太郎
)の目にはいささかまぶしく映った。たとえばあんな暮らしはどうだろうか? 酒場の掲示板へ張り出されるクエストに日々を左右されるのではなく、天候や季節にしたがって過ごし、作物の収量には一喜一憂するも敵の剣やら槍やらあるいはモンスターの牙や爪や炎の息におびやかされることはなく、かつて腰に佩いた刀は押し入れの奥へしまいこみ、得物を農具へと持ち替え、たたかう相手は強大でおそろしくもあり、慈悲深く豊かな実りを分け与えてもくれる、気まぐれで雄大な自然となるのだ。たとえばそんな毎日を、かたわらに眠る彼女とともに過ごすのはどうだろう?
時にそう思わぬでもなかった。凛風の記憶ときたらいつだって戦に彩られていたし、そうでなければ一本の年経た樹木として身じろぎもせずに立ち、時おり枝を揺らして花びらを散らしたくらいのものだ。戦の終わりに、あたらしい日々のかたちを手にするのも悪くはないのではないかと、凛風はたゆたう綿雲を見上げながら考えるのだった。
「ん……」
「やあ、ポラリス。お目覚めかい」
車輪が小石を踏んだ拍子にひとつ跳ね、ポラリス(プレイヤー:
スピカ・フォーツ
)のまぶたが上がり青い瞳がきらめきをのぞかせた。
「凛風。私……眠っていた?」
「うん、ぐっすりとね」
白い頬を朱に染める彼女が愛らしくて、凛風はそこへ思わず唇を寄せる。
このところのポラリスはよくまどろんだ。あの
決戦
を乗り越えるためその身に宿した過去、英傑たちの記憶をも燃やして力を振り絞った、その反動であろうか。凛風とて身も心も疲弊したから、小さき彼女もまたいまだ力戻らぬのだろう。
ゆえにこそ今日の道行きは静かに深く、遅々として安らかだ。
旅の仲間、賢者マオメイはその後の道行きにもふたりを誘ってくれたが、辞退することにした。疲れもある。ふたりだけの時をしばし過ごしたかったということもある。しかし理由はほかにもあった。
「まだ……目がちらちらする」
「あのときに見たという光景かい」
「うん」
七英傑たちは決戦にて記憶と命の残滓を燃やし、すべてを託して現世を去った。ポラリスもまた彼らにならうはずであったが、英傑のひとり、残影の二代目たる凛風との間に刻まれた縁が彼女を引き戻してくれた。
その過程に、ポラリスは垣間見たという。
「<極星の導>。だったかな」
「うん……英傑のために遺された、試練の場……」
ポラリスによればそこは、多層構造の複雑なダンジョンの様相を呈する。その名があらわすとおり、極星の七英傑のために作られた場だ。挑む者は各所で英傑たちの力の残滓に触れ、受け継ぎながらに進まねばならない。彼らの助けがなくばすぐさま命奪われ、誰にも知られぬまま灰燼に帰することだろう。
「英傑の力を得るためには、条件を満たさねばならないのだったね」
「うん。体力が一定以下のときだけ得られる、第二位<劫火>……召喚した精霊なども含めて、味方の数を試される第七位<衆心>……」
そうした試練を乗り越え、最奥へとたどりつくことができたなら、多大なる見返りを得ることだろう。英傑の武具、彼らの知識や技術、魔法、それにとどまらぬ遺物の類などにも期待できよう。
ふたりの紡ぐ物語の締めくくりに、そこへ挑むつもりだ。しかし最長最難関のダンジョン、いわゆるエンドコンテンツともなれば相応の準備が必要であろうし、決戦を経て感じるのは彼ら自身の力不足だった。己を極限まで鍛え、十全な備えがなくば踏破することはかなうまいと分かっていた。
「あ……見えてきた」
「本当だね。海だ」
ごくゆっくりとした足取りで進む馬車の向かう先には、深い青。白い波濤が激しく打ち寄せる、荒々しい海原が広がっている。その先にちらと、小さな島国の突端となる陸地のつらなりが見えた。東方二国がひとつ、玉楼の地はすぐそこだ。
極東の地へ足を運ぶ前にはふたり、あれこれと話し合ったものだ。
<極星の導>にいたる道は分かっている。ポラリスの英傑としての記憶をたどればおのずと行き着くだろう。とはいえダンジョン踏破のためには心構えに加え、己のさらなる研鑽、物資の調達、より強力な武具などもまた必要だ。
「ああ。またですかい」
「また、とは?」
浪人はにやりと口の端を上げ、ポラリスは凛風と顔を見合わせた。
ウージの里は玉楼の首都である<火入れの宮>に次ぐ極東の大都市でありながら、職にあぶれたものや犯罪者の吹き溜まりとしても知られている。玉楼に特有の戦士、サムライの技を修めながらそれを惜しみなく振るうための主に恵まれず、日々を怠惰に過ごす者。つまらぬ盗みに手を出し身を持ち崩す者。酒におぼれる者。彼らのような浪人もまた里のあちこちに見られた。
そんなものたちのひとりが、ふたりの求める情報を持っていた。ほつれた髷に無地の着流し、線の細い優男だが顔に刻まれたいくつもの傷痕や、ぎらつく隻眼にはえもいわれぬ凄みをたたえていた。
「あんたたちのような連中が時どきやってきやすよ。あたしがケチな墓あばきのさなかに見かけた、あの宝刀の話なんぞをたずねにね。やれ、こんな与太話に食い付こうなんてえのは、あんた。よほどの暇人と見える」
「与太話なのかい?」
凛風が手土産の安酒を投げてよこすと、浪人の男は礼もなくそれをひと口あおり、人を食った笑みを浮かべるままに語った。
「<斬影の加護>。君には追いつけないよ」
屍武士の錆びた刀を紙一重で避け、即座に<小烏丸・真打>で斬って捨てる。
手に馴染むひと振りだ。これからも冒険で幾度となく活躍してくれるだろうが、かの英傑の試練を突破するためにはさらなる戦力の増強が必要だろう。胡乱な浪人の言葉に従い、古い墓所へと踏み込んだのもそれが理由だ。
「<銀盤・氷精の園>……!」
敵の数は多く、ポラリスの魔法も手を抜かず放たれた。とはいえ一体一体の屍武士はもろく脆弱で、一撃は致命となり薙ぎ払うことができた。
「ふう。ポラリス、怪我はないかい」
「うん……大丈夫」
墓所はひどく荒されていた。近代のものではなく、遠く……それこそ七英傑が、月の民を相手に長い戦を繰り広げた頃のものかもしれない。
副葬品として収められたという件の宝刀もまたそんな時代の、いわくつきの代物なのだろう。浪人は切れ長の目をさらに細めながら言ったのだ、あれは並の使い手に扱えるものではないのだと。呪われた刀剣、故に自身は触れることなく立ち去ったのだと。屍武士どもの中には、そうして彼がちょっとした対価と引きかえに売り渡した情報に踊らされ、墓所へ踏み込んだがゆえに命を落とした者たちもまたいくらか混じっているのだろう。
とはいえ彼らにできることはない。容赦なく技を振るい、二度と魂を弄ばれぬよう屠ってやるくらいだ。
「! 凛風、あれ……」
ポラリスが杖で指し示す先に、光があった。崩れた天井から差しこむ光条に照らされているのは、いかなる因果か墓所内に咲き誇る、見事な満開の桜だった。
刀はその根に半ば絡まるようにして埋もれていた。黒鞘が艶めかしく美しい。金縁や飾りに惜しみなく彩られた、見事な太刀拵だった。
ポラリスと呼びだした銀精が屍人を蹴散らす間に、凛風は桜のたもとへ歩み寄り、柄を握ると刀身を引き抜く。無造作に、しかし愛おしむように優しく静かに、流れるような所作だった。
「……これは」
ゆったりとした湾れ刃(のたれば)の刃紋に、花弁のような色がほのかに明滅していた。
あの浪人は語った。出自は定かでなく、鍛えた刀工もようとして知れず、たしかなことは振るうたび、振るわれるたび咲く血の徒花。実を結ぶことなく散り行く花は空にさえ咲き乱れ、春驟雨がごとくに降り注ぐ。ゆえに銘を、
「<桜雨>。うん、実に手になじむ」
どれだけの血を吸い命を吸い上げてきたか分からないが、そうとは思えないほど、ひとひらの汚れさえも染みつかぬ、澄みきった刀身の太刀だ。奇しくも桜の精霊たる凛風にとっても、実にふさわしいひと振りであった。
「これで……試練に、挑めるかな」
「一歩近づいたことは確かだね」
屍武士どもを片づけ、駆け寄るポラリスの肩を抱く。
簡単ではないはずだ。恐るべき罠も、目もくらむほどの強敵も待ち受けよう。それでも怯まず退かず。凛風にポラリス、たがいのぬくもりがかたわらにあるならば、どんな試練とて乗り越えられるだろう。彼女らはそう信じるのだ。
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担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
冒険
SF・ファンタジー
バトル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年08月02日
参加申し込みの期限
2024年08月09日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年08月09日 11時00分
参加キャラクター一覧
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