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【"しんじるものは巣食われる"(2)】
薄暗がりに揺れるロウソクの火。畳敷きがやけに膝へ食いこむ。部屋を囲う無数の灯火と、それらが描き出す影の揺らめきはあやかしよりもあやかしめいて、思わず人間のようにつばを飲みこんだ。馬鹿馬鹿しいと思いながらそのときばかりは、自分の妙に人間めいた部分によりどころを求めずにいられなかった。人にまぎれ人に化けて過ごした時の長さがそうさせたのだろうか。
「ええと。なんだい? これ。なにをおっぱじめようってんだい?」
嫌な汗が額をつたい頬を流れて畳へ落ちた。張りつめた空気に心臓をつかまれ締め上げられるかのよう。
男が叫んだ。
「誰にも負けるつもりはない!」
男は狐伊万里会あるいは狐伊万里教の重鎮であり、もっとも信頼を寄せるひとりだった。信頼、などと今思えばあまりに薄っぺらく実情ともなわぬ虚言もいいところだが、少なくともその瞬間は、うつろながらに築き上げてきたものへすがりたかった。
続いて女が声を上げた。女もまた組織の運営と経営に欠かせぬ役割を担っていた。
「私の信仰があなたに劣っていると? し、心外だわ!」
「伊万里様を本当に心から真に愛しているのは俺だ、そうでしょう!? 伊万里さま!」
「愛などと俗なことを、伊万里様を敬い尊び無償の奉仕をこそ自らの歓びとするのが我々の」
「貴様こそ経典の読み込みが足りんのじゃないか、第四章第十二節にこうある。現つ神たる伊万里様にたまわる施しによって我らみな等しく聖なる昇天へいたり、天上の伊万里の国へと」
「そんなことは分かってるのよ! 錬徳は常に積んでいるし経典だって何百回と繰り返して」
「まあ待て君たち、つまり聖昇において修縁の階段の第一歩を踏むのは誰か、ということだろう? ならばふさわしいのは明白だ、天狐位を持つこのワシこそが」
「ふざけんな、第八章二十一節に狐位とは己が内に見い出すものでありあくまで錬徳を積んできた時の流れを示すものに過ぎずと」
「黙れ空狐位ごときが、伊万里様とともに聖昇するのは私だ!」
「いいえ私よ!」
「開眼にもいたらぬ不遜な輩どもが、ほえるな! 伊万里様のおそばにあるにもっともふさわしきは俺以外になし!」
なにをわめいているのだろう。なにをがなり立て、争っているのだろう。部屋に顔をつき合わせた男も女も、若い信者も年寄りも、眉をつり上げえらい剣幕ではないか。
などとそしらぬふりをしても、痛いほどに身に染みている。彼らをこのように仕立てたのはほかならぬ、自分自身なのだから。
人を化かすのは楽しかった。金を巻き上げるのも。霊界の獣ごときに無用の長物と笑う者もあるが、金はあればあるだけよかった。人間を装い人間としてその暮らしの奥深さや充実、破滅的な快楽を存分にむさぼるために、金はいくらだって必要だったのだ。
狐や狸は人を化かすものだが、これほどに上手くやった者がほかにあったろうか。いささかできすぎではあったろう。どうにも、上手くいきすぎたのだ。
「ちょ、ちょ、ちょっと。待っておくれよ、あんたたち。分かった分かった、あんたたちがあたしを持ち上げてくれようって気概は大いに伝わったよ、ありがとうさん。そりゃあね、あたしはあんたたちのカミだ。あたしはそう言った。経典にだって……えー第何章だっけ、万事仲良く、ケンカすることなかれと書いてあって」
「第六章十二節、356ページです、伊万里様!」
「ああ、そう。ありがとうよ。なんだってそう細かいとこまで覚えてるかね……とにかく、あんたたちが争う必要はないんだよ、これっぽっちもね。あたしというカミは等しくみなを救って」
「でもお~。それじゃあ~、みんな納得できないんじゃないですかあ~?」
白い髪の青年がぴしりと真っすぐに手を上げて言った。
……やはり引っかきまわすか。白檀 カオル。それも当然か、Loreがたやすく排されては彼の虚ろな目的は果たされまい。
もう、始まっているのだな。動き出しているのだな。陳腐な言い様をあえてするのなら、これが終わりの始まりというものなのだろう。
「だってみいんな、伊万里さまを愛しているんです。信仰の深さは誰にも負けません! あいつにも、あいつにも、あいつにも! こいつにも、あのヤローにだって! なんてね、証明したくて仕方がないわけですよ。ねえ伊万里さま」
「んなことする必要はないんだよ、バカだねえ。救いは誰にもおとずれる、ご寄進さえ欠かさなきゃあね、そう書いてあるだろう? えーと、第何章だっけ……」
「第十六章第七節です、伊万里様!」
「そうそれ、だからあんたたち、おとなしく順番待ちしときゃあ救われるってなもんだよ。だいいちね、そんなモンあたしが適当ぶっこいてでっち上げた教義だし、聖昇だの天上の国だのさあ、そう真に受けられてもさあ……」
「ならばこの場で、証を立てるのみ!!」
拳を振り上げ男は立ち上がった。きつく締めた拳には、ぎらつくなにかが握りこまれていて、それが錆がかったノコギリであると気づいたのは、ぬるつく赤が夕顔の頬を濡らしたあとだった。唇が急激に水分を失い、砂漠の炎天下へ放りこまれ乾いてゆくかのような感覚を覚えた。
「な、にを。おまえ、なにをして。ああ、そんな……」
「ぎいいいい、伊万里様を想うならばなんでもできる、なんだって捨てられる。がああああ」
「汚いぞ貴様、そんな方法で信心をあらわそうなどと……ええい、刃物はないか! なんぞ刃物をワシに!」
「わ、わたしにも! 斧でも包丁でも持ってきなさい!」
「ま……待ちなよ、やめな、そんな……バカなこと」
わななく手も口も、真髄へといたった彼らの信仰を止めることはかなわなかった。口八丁手八丁、つまらない甘言で金と悦楽を引っ張り続けた、その終着点だった。
「あんたが腕なら、あたしはく、首を……うおおおおおおあああ」
「やっやめ、待てまてまてまてやめっ!!」
顛末は阿鼻叫喚の一語に尽きた。
後に踏み込んだ警察は事件を集団自殺と片付け、組織は解体され死者も逮捕者もおびただしい数にのぼったが、捜査の手が首謀者たる教祖へとたどり着くことはなかった。それはそうだ、夕顔 サキは手練れの化け狐なのだから。
綾辻の解析が霧を晴らすと、狐どもが舞った。いずれも片耳がない化け狐だ。咎者にそんな傷を刻む、化け狐の一族があったな。そうそう、西方の狐伊万里一家だ。
「きゃきゃきゃ! こん、こん!」
「きゃきゃきゃきゃ!」
「こ……これは!?」
「綾辻さん、下がって! 敵の魔法が」
言葉の半ばに早川が一面の扇と変じて地に落ちる。風流な魔法をあつかうものだ。
「け、珪さん!? 今、もとに戻しますから……!」
悲鳴をあげ綾辻が駆け寄り、扇を閉じて抱き上げる。未熟な彼らのリセットはまだいくばくかの時を擁するのだ。
「今のは……なに? 私のなかへ流れ込んできた、あの感情は……記憶は?」
「サキの記憶。ですかねえ」
倉前はその夕顔から学んだ"予言"の魔法で仲間たちを支えながらに、どこか不機嫌を隠さず眉を寄せた。
「サキの作った新興宗教、でしょうか? その暴走によって、多くの人が……死んだ? っ、そこ、上です! 気をつけて!」
「きゃあ!?」
「水樹! 大丈夫かい?」
化け狐の変質魔法が城山の頭に狐耳を生やし、手も足も狐へ変じていく間に、ヒューバートがリセットをうながす。そうしながらにして、彼は思考する。
「どういうことだ……? さっきのが夕顔さんの記憶だとして、なぜLoreとやらがそれを知ってるんだ? "遠きもの"が送りこんでくる敵、という話だったけれど」
「……! そうか。そういうことなのか?」
考察を深める八神は事ここにいたり、どうやら結論づけたらしい。
「もしかして……"Lore"とは、街の住人たちの過去や悔悟から生まれる存在。なのか?」
悪くない読みだ。
ゆえにこそ、我らが商店街の面々は寝子島の者らの助けを必要とする。街の者だけで、Loreへ立ち向かうことは難しい……己の抱える闇を省み立ち向かうことの困難には、きっと諸君らも身に覚えがあるのではないかね?
つまり、そういうことだ。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
バトル
神話・伝説
定員
10人
参加キャラクター数
9人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年06月19日
参加申し込みの期限
2024年06月26日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年06月26日 11時00分
参加キャラクター一覧
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