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ヒゲ猫ペンシルと、魔法商店街のおせっかいな寓話たち
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【ふたたびあの日を】
ほこりまじりの風が運ぶにおいも、いくらか薄らいできたか。
倉前、それに城山の予言は実に的確だった。杖さばきも様になっている。
「次はそこです、避けて!」
「ヒュー、やっちゃって!」
狐どもの変質魔法そのことごとくを読みきってみせ、そこへ白い狐となった夕顔の爪や牙が、狐火が、そしてヒューバートの放つ致命の水鉄砲が押し流した。
「悪いけど……眠ってくれ」
火炎は弾けて砕き、水流は波濤となってLoreをさらってゆく。
「こん、こーん……」
「……なんだか、かわいそうな気もしちゃいますけど」
綾辻はそのように感ずるようだ。心のお優しいことだが、そもそもLoreは生き物ではないし人でもあやかしでもない。虚空よりあらわれる、遠きものによって形づくられたものだ。すり切れたパペットだ、あるいは泥人形だ。形骸甚だしい塵芥がごときものにかける情けなど無用だ。
「だから、気にしなくていいよ~」
狐をダンゴムシへ変え踏みつぶす、白檀の口にする言葉こそすべからく虚ろだが、
「そう、ですか?」
「仕方がないね。今は街の人たちを守らないとね」
綾辻と彼女をささえる早川は小さくうなずく。人を信じさせるのは夕顔の十八番ながら専売特許というわけでもない。白檀、ヤツのそんなところは、変わっても変わらないようだ。ペンシルはヒゲを不機嫌に揺らして杖を振った。
「あ、ペンシル。助けてくれるの?」
無論だ。ペンシルは何者であろうと見捨てたりはしない、気高く紳士な猫であるからな。
もはや貫禄ある魔法使いといった風情をただよわせる八神が、両の籠手に光をまとわせながらに断じた。
「これが最後の解析だ」
残った狐どもの一匹がひも解かれ、真の姿を取り戻してゆく。
「! これは……」
「あたしさ」
さめざめと泣く妙齢の女の顔は、いつもの夕顔のよく似ていた。それでいて別人にも思えるが、彼女の本当の顔などもはや誰にも分からない。夕顔本人でさえそうなのだと言われれば、我らになど断じようもあるまい。
白い狐はふわりと浮かぶように跳ね、そいつの前へ立った。
「おろかな……なにものにもなれなくて、なにものかになりたくて。おろかにもすがりついて、多くの無辜の者を振り回した。ろくでもない、のっぺらぼうのあたしさ」
そうして頭部だけを風船めいて膨らませると、あんぐりと深淵のような巨大な顎を開き、女の顔を喰いちぎった。Loreは白く霧消していった。
「……あ?」
「だから、これを見てって言ってるの!」
稲積を見上げた犬塚は億劫そうに顔を上げた。
巨狼は跋扈する。ブラックウッドは豹の子となり、リセットする頃には爪がその身へ食いこむ、かと思いきやすべり込んだ志波の致命の雷が円をなし、刃のごとき歯牙をはばんだ。初瀬川は予言を頼りに駆け、見事な体さばきで囮役をこなし、佐和崎が曲がった杖で繰り出す変質は狼をトカゲへと変える。
「小さい動物に変えて、デカブツのプライドを徹底的に削ってやろうってわけやな。いい手や!」
山田の落とす雷雨も効果を発揮し始めた。身を焼き焦がされたトカゲはあわてたように狼の姿を取り戻すが、たたみかけるみなの魔法がそれを保つことを容易にはさせずにいる。
「犬塚! ええかげん、しゃんとせえや!」
「こいつをやっつけるには、犬塚さんの力が必要なんだってサ! 頼むZE☆」
狼が銃を構えた兵隊の群れへと変わり、銃火のなかへ山田と志波は飛びこんだ。初瀬川に佐和崎も、臆するそぶりはない。なんという光景だろうか。勇ましく凛として、彼らの勇猛果敢に刺激されたか、ペンシルの杖も致命魔法を立て続けに放ち兵隊たちのことごとくを消し飛ばしてゆく。
兵隊は無数の小悪魔へと変わり、蝙蝠へと変わり重なり合って吸血鬼のような醜悪な人影へと変わり、いずれも打ち据えられては巨狼へと戻る。しかしその輪郭は崩れつつあった。
「犬塚くんだっけ? 僕としちゃ、君と稲積を関わらせるのははなはだ不安だし、なんだか気にいらないわけだけどねぇ」
ブラックウッドの双杖が荒野のガンマンが繰り出す早撃ちがごとくに火花をまたたかせ、狼の形を変えてゆく。狼は小さく、そして人の形へと変質しつつあった。戻りつつあるというべきか。
「後ろや地面を見つめるばかりじゃ、見るべき景色も見落としてしまうよぉ。たまには居心地のいい部屋を出て、風に身を任せて丘を歩くべきさ」
「ちっ。知ったふうな口ききやがって……」
彼の舌打ちはなかば照れかくしだろう。稲積のかかげた肖像は彼の諦めや悔恨をいくらかながらにやわらげ、正気をつなぎ止める役割を果たしていたはずだ。なにしろそれは犬塚の敬愛してやまぬ、この魔法商店街を拓いた墨小路 綾麻呂の絵姿であったから。
「どう? よく思い出してみてよ。犬塚さん。本当のことを」
「おまえら、見たんだろう。俺の業を。それに覚えてねえんだ、あのとき、俺は……目の前が、真っ白になって」
顔を歪めた彼の眼前には、狼面を引きはがされた、まだあどけなくちっぽけな少年が自嘲気味に口角を上げていた。胸をしめつけられるが、Loreは模倣するものだ。諸君らの目に見えているままに心を揺らがせたりはしないし、傷つきもしない。そう、鏡のようなものだ。たしかに……時に水面へ立つさざなみのごとき困惑を覚えることは、正直に述べるらば、無きにしもあらずだが。
山田が志波をうながした。
「本当に、いいのかい」
「ああ。終わらせたれ」
うなずき、志波が杖を変じさせた猟銃の引き金をひく。雷光のかがやきを帯びる弾丸が少年をつらぬき、あっけなく弾けて白い霧となり散った。霧は彼らを白く包みこみ、浸透するように広がった。
胸騒ぎに突き上げられ、全力で駆けた。いつのまにやら四肢をあぜ道について駆けていた。己が獣を憎みこそすれ、活用してやろうなどと考えたことはついぞなかった。しかしそのときばかりは、谷川の険しい起伏をものともしない狼の俊敏や剛健を頼もしく思った。
もし、間に合っていたなら。あるいは最後まで彼女を送り届けていたなら、犬塚の自意識も大いに違っていただろう。
「あ……あああ」
たどりついたとき、群れはめったにないごちそうをほとんど堪能し尽くしたあとだった。
にもかかわらず少女はまだ事切れずながらえていた。野犬たちをまたたく間に蹴散らし、かたわらにひざまずいた犬塚へ、あろうことか、ほほ笑んだのだ。
「×●、×●。×●……!!」
幾度となく繰り返し呼んだ名の響きは甘やかに、そしてむなしく風に流されていったが、少女は赤黒いあぶくを口の端からこぼしながらも、犬塚の頬へ震える手を添え、告げたのだ。
「…………わらって?」
人の目から見れば成人した大の男だ。そんな男が赤子のように泣きはらすのは滑稽だろうか? 声を上げうめき、わめき、恥も外聞もなくくしゃくしゃに泣き濡れるのはみっともなく、情けないだろうか。
だが、そういうものだろう? 諸君。人であれ、あやかしであれ……なんであれだ。誰しもがなにかに抗いながら生きている。冷たい風雨に身を冷やし、遠い灯火をながめてはとどかぬことをなげき、凍えながらにやがて歳を重ね、あのときなぜ飛ばなかったのかと翼がぬれるのを嫌った自分をいつの日にか悔いるのだ。
その場に笑うものはひとりとてなかった。ただ男の慟哭へ、谷間をさっそうと抜けてゆく美しい風の音に耳をかたむけるよう、たたずむのみだった。
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あとがき
担当マスター:
墨谷幽
ファンレターはマスターページから!
墨谷幽です。『ヒゲ猫ペンシル』第二弾、リアクションをお届けいたします。
めまぐるしく姿を変えたり変えられたり、次々と予想もつかないものが飛びだすおもちゃ箱のような魔法バトルが書きたいな、というあたりがこのシリーズの出発点だったように思います。
あれこれ謎やら伏線やらを振りまきながらに、このお話は今のところあと二回くらい続く予定です。よろしければ最後までお付き合いをいただけましたら、嬉しいです。
それでは、今回もご参加いただきましてありがとうございました。
次のシナリオも、どうぞよろしくお願いいたします~。
お疲れさまでした!
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
バトル
神話・伝説
定員
10人
参加キャラクター数
9人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年06月19日
参加申し込みの期限
2024年06月26日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年06月26日 11時00分
参加キャラクター一覧
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