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ヒゲ猫ペンシルと、魔法商店街のおせっかいな寓話たち
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【"送りおおかみ"(3)】
「好きなひとを……食べてしまった、の?」
稲積は呆然と立ち尽くす。霧が晴れ、その内からよろめきながらにまろびでた犬塚の面にへばりつく、歪んだ絶望を真っすぐに見つめた。
ブラックウッドがなにかを叫ぶも、このときばかりはその耳に届かなかったようだ。その瞳はただ声なき声を上げる彼の顔と、犬塚との間を行ったり来たり、揺らめいた。考えてしまったのだろう、犬塚の内側にふれた者はみなそうだ。もし、自分が彼と同じ境遇であったなら。
稲積も波濤めいて押し寄せる衝動に流されるまま、ブラックウッドを捕食してしまったとしたら。
「……そんなの……」
どれほどの絶望であろうか、と。
「"予言"の魔法!」
初瀬川の声も揺れていたが、気丈を保ち巨狼へ立ち向かうことはやめなかった。狼が翼を生やし宙を舞い、墜とす隕石群の着弾点を予言にて見い出し、仲間たちへと先んじて伝える。
「次、そこに落ちてくるよ……、っ紗月!!」
「く……!」
隕石の衝撃に佐和崎は吹き飛び壁へと叩きつけられ、手より離れた杖は半ばから折れ曲がった。ああ、霧が晴れてみればここは、土産屋ではないか。店先にまた穴が開いてしまった、まあ店主に直せ戻せとうるさくせっつかれるのは居候の犬塚なのだし、あんなやりとりもまたコミュニケーションだ。引きこもりがちな彼をみなの輪のなかへ引き戻すことにもなろうか……ああ、しかし。しかしだ。
「紗月、大丈夫!?」
「う、うん、私は大丈夫。でも……」
魔法の戦いは精神を削る戦いだ、肉体的な負傷はさほどのこともなかろうが、佐和崎もまた揺らいでいる。
「犬塚さんが……」
そう、彼の努力と尋常ならざるは認められるべきだろう。変化に長けた狐か狸でもなければ、あやかしが人にまぎれ暮らしてゆくことには常に困難がつきまとう。私にも経験が、いや犬塚もそうだったはずだ。彼はいかめしい人間社会の只中へ、あやかしの身を持って生み落とされたのだ。母は人、父はあやかし。彼の母はいつも悔いていた。息子に背負わせてしまった業を嘆き、離れねばならないさだめを嘆き、しかし彼を生んだことを一度たりともあやまちと呼ぶことはなかった。そうして、彼を託し……去っていった。
母は自身の気丈を責任と忍耐をもって彼へと教え込み受け継がせたが、獣のさがは時としてそれを凌駕した。彼の父は霊界では名のある人狼だったとか。しかしそんなものは平穏に安寧だけを望む息子にとってなんら意味を持たず、重く鈍い枷としかならない。彼は誰よりも人として生きることを望んだというのに。
「俺は……」
己を律し、己を殺し、耐えに耐えた。戦ったさ彼は、すり切れるほどにな。
「俺は、もう……」
しかしかなわなかった。結局のところ、彼は己を受け入れざるを得なかった。
膝をつく。街を薙ぐ赤い砂塵にまみれた土へ、彼は膝をついたのだ。すべてをあきらめ無様にみっともなく、屈したのだ。
「うりゃああああ!!」
少なくとも犬塚は、己をそう決めつけたようだった。しかしどうだ? 寝子島の者たちの、このまばゆいばかりの明るさは。目もくらむほどではないか? なあ、犬塚よ?
「エレキちゃん! 解析して分かってきたけど……あいつは、犬塚さんなのか?」
「言ってみりゃ、影、のようなモンやろな。"遠きもの"はどうやら、ウチらをよお観察してるみたいや」
致命を放ちながら問いを口にもするのだから、志波もどうやら慣れてきたようだ。
「ってことはサ。エレキちゃんの形をしたLoreもいるのか……? 夕顔さんや白檀さんも? ペンシルも……?」
短杖から稲妻を迸らせながらに、山田はといえばふと黙した。そのような時もいずれおとずれようか。こうして寝子島の者たちの力を借りねば乗り越えられない危急が、あと何度おとずれるものだろうか。
志波は巨狼をにらみながらにも思索を深めたようだ。考えることが彼にとって、力や原動力とも転じるのだろう。
「"送りおおかみ"、か。そういう名前の妖怪がいたよな。あの狼は、そのイメージと犬塚さんが混じりあったような……」
「志波!! よそ見しとるんじゃないで!」
「うわおっと!?」
身をかわし、身をひるがえす。杖をかかげた志波は、なにやら良案を思いついたようだ。
「なんにしても、狼の弱点といったら……これだよな!」
「おおっ? 変質魔法を使いこなしとるやんか」
杖は猟銃。致命の魔法はさながら銀の弾丸か。彼は己を、猟師のそれへと自ら変質させたのだ。放つ弾丸は雷光を宿し、ほとばしる青い尾を引いて走り抜けた。
稲積は頬をふくらませんばかりに不機嫌をあらわにした。
「やっぱり、納得できないな」
「なにがだい? おおっと!」
ブラックウッドの巧みな杖さばきをを信頼してか、稲積は敵の変質魔法の飛来にも微動だにせず。彼が防ぐにまかせ、言ってのけた。
「犬塚さんが好きな人を食べちゃった、なんて! 僕はどうしても信じられないよ」
「そうかい? でも彼、君に噛みつこうとしてたじゃない」
「ううん。そんなつもりなかったと思うよ」
おもむろに稲積はブラックウッドに背をまかせ、土産屋へ踏み込んだ。常から魔法によってねじくれているためか、隕石落下の衝撃は内部へはおよんでいない。
稲積が拾い上げたのは、振動に壁から落ちたのだろう額縁だった。
「本当に食べちゃおう、なんて思ってなかったと思う。犬塚さんはきっと、自分を制御できてる。強い人だよ……ふふ、ワットみたいだね?」
「お褒めの言葉をどうも。僕だって、そんなに強かないけどねぇ?」
たしかにブラックウッドにも繊細な部分はあろうが、飄々としてそれを隠すあたりがこの男のしたたかさか。稲積ともども、こんな状況に放りこまれながらも笑い合える彼らの気質には頭が下がる。
それに慧眼も……なんとまあ、だ。
「で、それ、どうするんだい? その絵」
「犬塚さんが尊敬してる人みたいだから、見せたら正気に戻るかな? って」
手にしたのはあのなつかしき、肖像画ではないか。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
バトル
神話・伝説
定員
10人
参加キャラクター数
9人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年06月19日
参加申し込みの期限
2024年06月26日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年06月26日 11時00分
参加キャラクター一覧
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