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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
卒業 ～らっかみの願いを叶えて～
夢の寝子島～九夜山に巣食う
「アホーアホー」と鳴く巨大カラスのラスボスを退治したい！・その１
夢の寝子島。ののこが夢だと信じている同時多発世界のひとつ。この世界にも九夜山は存在する。
といっても、この世界の九夜山はいわゆるラストダンジョン的な場所で、その天辺には大ガラスのクローレが巣食っている。このクローレ、ピカピカするものが好きで、お宝をため込んでいるというが……。
「まぁ～ったく、あんたたち、ちょこまかと鬱陶しいのよぉ～！」
クローレは広げれば左右差し渡し十メートルはあろうかという巨大な羽を団扇のように使って暴風を起こす。
戦っていた御剣 刀とサキリ・デイジーカッターは、鍛え上げた自身の身体能力と各々の加速、瞬間移動のろっこんを使って素早く避けた。力を合わせて戦っていた恵御納 夏朝と恵御納 夏夜もろっこんを使って衣服を重くし、暴風に耐える。夏朝がいつも持っている橙色の猫パペットの付喪神であり今は少年の姿をしたえみな ハルくんは風に吹き飛ばされそうになったが、
「ハルくん！」
「捕まって！」
夏朝と夏夜が左右から伸ばした手に掴まって、踏みとどまった。
「ふわああ～～た～すけて～！！」
「ののこちゃん！」
「俺が行く」
刀が＜加速＞で風に煽られたののこを追いかけ、ラグビーボールのように横抱きに抱え止めたのだが、そのときもうひとり、黒く長い髪の女性が大風に吹き飛ばされてゆくのが見えた。
「んも～う！ 私のこともどなたか助けてくださらなぁい！？」
吹っ飛ばされてぷんぷんしているのは、真っ黒なドレスに身を包んだ四十九院 鸞先生だ。風に飛ばされていても通常運転で気だるげなのはさすがと言ったところ。自慢の黒いつば広帽子は、はるか彼方に飛んで行ってしまっている。彼女はなぜかサキリと一緒にこの場所に来ていたのだった。
「四十九院先生」
空中にぱっとサキリの姿が現れて、鸞をお姫様抱っこする。
「ああら、サキリ君ありがと」
「先生とは奇妙な縁を感じるね」
そうなのだ、サキリは四十九院先生と幾度もこういったトラブルに巻き込まれて来た。彼女は、かつて寝子島を困らせたカラスのらっかみ・クローネと縁あるもの――生まれ変わりか魂の一部のようなもの――かもしれないが、今は、いち寝子高の教師として平穏に暮らしている。
「少し懐かしい気分になってくるよ。クローネとは散々戦ってきたからなあ。先生はあれどう思います？」
「よく分からないですけどぉ、ただのマガイモノ、って感じですわねぇ」
「ただのマガイモノ、か。了解です。だったら心置きなくあいつを倒す。先生、力を貸してください」
「仕方ないですねぇ。助けてくれたサキリ君のお願い事、先生、断れないわぁ～」
サキリの＜斬空赤刃＞で転移し、地上へ戻った四十九院先生は、手にした五つのイチゴキャンディを、念を込めるように握ってからサキリ、刀、夏朝、夏夜、ハルくんへ放った。
「これで頑張ってくださいなぁ～」
＜ストロベリー・バーンナップ＞。四十九院先生が念を込めた苺アイテムを食べたり身に着けたりすれば、一度だけろっこんを暴走させることができるのだ。暴走は諸刃の剣、良い効果も悪い効果も両方あるが、この状況においてはもれいびたちに強化バフを付与する効果の方が高いであろう。ハルくんはあやかしなので『美味しい』だけになってしまうが。
「先生サンキュ。あとは任せろ！」
イチゴキャンディを口の中に放り込んだ刀は力が漲ってくるのを感じ、日本刀に手を掛けて鯉口を切る。いつもより早く動けそうだ。
「いつもの服装、いつもの刀でいつも通りに叩けば大丈夫だ」
……そう言い放って、いやいや、と思い直す。
「うん、これをいつも通りと言えちゃう所が一番大丈夫じゃない！ ……だけど、これももうすぐ終わりかな」
「そうかもしれないね」
サキリも迷わずイチゴキャンディを口に入れた。
しかし、クローネに対しての怒りが未だ冷めやらぬ夏朝と夏夜――当時まだ夏夜は夏朝の中にあるいち人格であったが――はそうはいかない。しばしイチゴキャンディを見つめ逡巡する。
「ののこちゃんが帰り、『ふつう』に戻る……」
その場合、分離した自分や、あやかしになったハルくん等は、どうなるのだろうか。
わからない。夏夜の不安が伝わったのか、夏朝の瞳も揺れる。
「寂しいし、怖いけれど……いずれ必ず訪れる事だから。それよりも……」
夏朝はきっと瞳をあげた。
「願い叶わず、ののこちゃんが消えるなんて嫌だ！」
覚悟は決まった。夏朝の言葉に、夏夜も腹をくくる。
ふたりは同時にイチゴキャンディを口に含んだ。
「クローレ……最後の最後に、殲滅する！」
「どうでもいい奴に似てるのは兎も角、倒させてもらうから！」
「アホーアホー」と鳴く巨大カラスのラスボスを退治したい！・その１
夢の寝子島。ののこが夢だと信じている同時多発世界のひとつ。この世界にも九夜山は存在する。
といっても、この世界の九夜山はいわゆるラストダンジョン的な場所で、その天辺には大ガラスのクローレが巣食っている。このクローレ、ピカピカするものが好きで、お宝をため込んでいるというが……。
「まぁ～ったく、あんたたち、ちょこまかと鬱陶しいのよぉ～！」
クローレは広げれば左右差し渡し十メートルはあろうかという巨大な羽を団扇のように使って暴風を起こす。
戦っていた御剣 刀とサキリ・デイジーカッターは、鍛え上げた自身の身体能力と各々の加速、瞬間移動のろっこんを使って素早く避けた。力を合わせて戦っていた恵御納 夏朝と恵御納 夏夜もろっこんを使って衣服を重くし、暴風に耐える。夏朝がいつも持っている橙色の猫パペットの付喪神であり今は少年の姿をしたえみな ハルくんは風に吹き飛ばされそうになったが、
「ハルくん！」
「捕まって！」
夏朝と夏夜が左右から伸ばした手に掴まって、踏みとどまった。
「ふわああ～～た～すけて～！！」
「ののこちゃん！」
「俺が行く」
刀が＜加速＞で風に煽られたののこを追いかけ、ラグビーボールのように横抱きに抱え止めたのだが、そのときもうひとり、黒く長い髪の女性が大風に吹き飛ばされてゆくのが見えた。
「んも～う！ 私のこともどなたか助けてくださらなぁい！？」
吹っ飛ばされてぷんぷんしているのは、真っ黒なドレスに身を包んだ四十九院 鸞先生だ。風に飛ばされていても通常運転で気だるげなのはさすがと言ったところ。自慢の黒いつば広帽子は、はるか彼方に飛んで行ってしまっている。彼女はなぜかサキリと一緒にこの場所に来ていたのだった。
「四十九院先生」
空中にぱっとサキリの姿が現れて、鸞をお姫様抱っこする。
「ああら、サキリ君ありがと」
「先生とは奇妙な縁を感じるね」
そうなのだ、サキリは四十九院先生と幾度もこういったトラブルに巻き込まれて来た。彼女は、かつて寝子島を困らせたカラスのらっかみ・クローネと縁あるもの――生まれ変わりか魂の一部のようなもの――かもしれないが、今は、いち寝子高の教師として平穏に暮らしている。
「少し懐かしい気分になってくるよ。クローネとは散々戦ってきたからなあ。先生はあれどう思います？」
「よく分からないですけどぉ、ただのマガイモノ、って感じですわねぇ」
「ただのマガイモノ、か。了解です。だったら心置きなくあいつを倒す。先生、力を貸してください」
「仕方ないですねぇ。助けてくれたサキリ君のお願い事、先生、断れないわぁ～」
サキリの＜斬空赤刃＞で転移し、地上へ戻った四十九院先生は、手にした五つのイチゴキャンディを、念を込めるように握ってからサキリ、刀、夏朝、夏夜、ハルくんへ放った。
「これで頑張ってくださいなぁ～」
＜ストロベリー・バーンナップ＞。四十九院先生が念を込めた苺アイテムを食べたり身に着けたりすれば、一度だけろっこんを暴走させることができるのだ。暴走は諸刃の剣、良い効果も悪い効果も両方あるが、この状況においてはもれいびたちに強化バフを付与する効果の方が高いであろう。ハルくんはあやかしなので『美味しい』だけになってしまうが。
イチゴキャンディを口の中に放り込んだ刀は力が漲ってくるのを感じ、日本刀に手を掛けて鯉口を切る。いつもより早く動けそうだ。
「いつもの服装、いつもの刀でいつも通りに叩けば大丈夫だ」
……そう言い放って、いやいや、と思い直す。
「うん、これをいつも通りと言えちゃう所が一番大丈夫じゃない！ ……だけど、これももうすぐ終わりかな」
「そうかもしれないね」
サキリも迷わずイチゴキャンディを口に入れた。
しかし、クローネに対しての怒りが未だ冷めやらぬ夏朝と夏夜――当時まだ夏夜は夏朝の中にあるいち人格であったが――はそうはいかない。しばしイチゴキャンディを見つめ逡巡する。
「ののこちゃんが帰り、『ふつう』に戻る……」
その場合、分離した自分や、あやかしになったハルくん等は、どうなるのだろうか。
わからない。夏夜の不安が伝わったのか、夏朝の瞳も揺れる。
「寂しいし、怖いけれど……いずれ必ず訪れる事だから。それよりも……」
夏朝はきっと瞳をあげた。
「願い叶わず、ののこちゃんが消えるなんて嫌だ！」
覚悟は決まった。夏朝の言葉に、夏夜も腹をくくる。
ふたりは同時にイチゴキャンディを口に含んだ。
「クローレ……最後の最後に、殲滅する！」
「どうでもいい奴に似てるのは兎も角、倒させてもらうから！」
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2024年06月09日
- 参加申し込みの期限
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- 2024年06月16日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2024年06月16日 11時00分
