闇夜をキラリ、キラキラリ。
猫の目光って、横切って。
ここは九夜山。
今日も深夜のお散歩と洒落込んでいるのは、
テオドロス・バルツァ。
灰色猫の落神だ。
気ままに歩いて、見上げれば。
そこは
寝子島イリュージョンランド。
今はすっかり人気もない、寂しい廃墟の遊園地。
すっかり喉が渇いている。
ここらで一つ、自分のために小さく世界を切り分けて小休止でも……とテオは白い前足を持ち上げた。
『あ~ら、テオちゃぁん。こんな所で奇遇ねぇ』
『その声は、――クローネ!!?』
頭の中に響くのは、甘ったるくも憎々しい嫌な女の声。
――しまった、ここが奴の縄張りだったのか! 気付いた時は遅かった。
ぷつり、とテオの脳天にカラスの羽根が一枚、突き立って。
世界はキラリ、キラキラリ。
ここは寝子島イリュージョンランド、ようこそ蘇った夜の遊園地へ。
息を吹き返したかのような、遊園地。
くるくる回るは、コーヒーカップ。
あちらには、ライトアップされたメリーゴーランドも見える。
ジェットコースターだって、ほら、音を立てて走るよ。
『ふふぅ~ん、おっもしろぉい』
『てめえ、やりやがったな!!』
色香に誘われたカラス達をはべらせて、哂うカラスに、テオはただ罵声を浴びせる事しか出来ない。
『この大酒飲み! ビア樽女の、バカガラス!!』
と、そこへ。
「あっれ~、ここどこだろ? 私、何でこんなトコにいるのかな?」
現れたのはパジャマ姿で佇む少女、
野々 ののこ。
『あらぁ、ののこじゃないのぉ……』
途端、クローネの目つきが変わった。
『くはっ、しまった!! ののこ、逃げろ!』
『あはん、どうせ聞こえてないんでしょぉ? 無駄無駄ぁ~。
それよりぃ、私、あの子に用があるのよねぇ……』
『なっ!』
『テオちゃぁん、あなたはいつまでも、そこで吼えてるといいわぁ』
くつくつと、カラスは哂う。
――クローネのやつ、ののこに!?
『…………そうは、させるかァ――ッ!!!』
残された力を、テオは振り絞る。
そして。
ののこは、うさぎの縫いぐるみへと姿を変えた。
たくさんの “ そっくりさん ” と共に、止まる事無くエンドレスで走り続けるジェットコースターに乗っている。
『……ふん、こしゃくな真似してくれるじゃなぁい? テオちゃん。
でもぉ、さっきも言ったでしょぉ? 無駄よぉ~。
いいわ、あんたの顔も見飽きたしぃ、じゃあねぇ~ん』
カラスはテオを残して、飛び立った。
▼
「何だ、ここは……」
斑鳩 遙は見回した。
見慣れた廃墟の遊園地は、ライトアップされてすっかり生まれ変わっている。
周囲を見回せば、もふもふと愛らしく動き回る縫いぐるみを始めとする、玩具の群れ。
よくよく見れば、自分も人間ではなく、玩具の姿になっている。
皆、動揺しているのが、見て取れる。
或いは何故か、同類に襲い掛かっているものもいるようだが……?
そちらこちらと、足元に転がるのは――こけし?
こちらは話す事は出来るようだが、手足がないので自分で動けない。
その時、頭の中で声がした。
『おい、てめえら良く聞け!!』
「テオ……?」
『そうだ、今回ばかりはマジでてめえらに頼らなきゃならねえ……』
テオの声は、いつになくトーンが低い。
「これは何だ、何が起こっている?」
『クローネに俺のろっこんを、暴走させられた。今、動きが取れねえ』
「なんだって? 今、どこに?」
『いや、俺の事は後でいい! それより、ののこを巻き込んじまった。クローネが狙ってる、急いで救出してくれ!!』
▼
クローネは眼下に、ジェットコースターを見下ろした。
無数のうさぎの縫いぐるみの中から、ののこの歓声が聞こえてくる。
「キャー! ジェットコースターだー、ばっひゅーん!!」
元気な ののこの声に、クローネは嫌そうに舌打ちする。
『……あんた達、ののこを連れて来て頂戴』
取り巻きのカラスの一部に言い残して。
ばさりと羽ばたくと、クローネは ののこから距離を取った。
「アホー」
「アホー」
夜の遊園地へようこそ。
ホワイトシナリオ第3話を担当させて頂きます、メシータです。よろしくお願いします。
さっくり状況をご説明させて頂きますね。
今回の舞台は、寝子島イリュージョンランド。
九夜山の三夜湖のほとりにある、廃墟となった遊園地です(地図F-5)。
テオの暴走したろっこんによって、ファンシーに蘇りました。
皆さんは巻き込まれてそこにおり、今回はなんと最悪な事に ののこまで巻き込まれています。
このままでは、クローネやカラス達がののこに何をするかわかりません。
ののこを助け、無事に元の世界に戻しましょう。
この切り分けられた世界では、皆さんは “全員” 玩具に姿が変わってしまっています。
玩具の種類にご希望があれば、アクション欄にお書きください。書かれてない場合はマスターに一任されます。
変身しても、動いたり喋るなど、意思の疎通をする事が可能です。
通信機器は使用不能です。
■変身可能な玩具
(著作権ものはリアクション上で、ぼかした描写になります)
・縫いぐるみ(お好きな外見でどうぞ)
・日本人形orビスクドール
・アニメキャラっぽいフィギュア
・ロボットのプラモ
・こけし
★重要ルール★
こけしは自力で動く事は出来ませんが、こけしのみが触れた者を、元の世界に帰還させる能力を持っています。
クローネは、このルールを知りません。
ののこが元の世界に帰還したら、玩具達は姿を消してPC達は元の姿に戻ります。
他の玩具には、一切特殊な能力はありません。
鳥の縫いぐるみが空を飛ぶ、プラモデルがロケットパンチを発射する程度はOKとします。
【追記】口のある玩具であれば、ごはんを食べたり喋ったりすることもできます。
もれいびは、ろっこんを使用出来ますが、玩具の身体で発動条件を満たせない場合は、その限りではありません。
*例えば、発動条件で「手を打つ」必要がある場合は、手がないこけしを選択すると、発動できません。
■行動可能スポット
皆さんはイリュージョンランド内の、以下のスポットで行動可能です。
(全ての設備が使用出来ますが、従業員はいません)
・ジェットコースター
・観覧車
・コーヒーカップ
・メリーゴーランド
・ゴーカート広場
・ミラーメイズ(鏡の迷路)
・お化け屋敷
・レストラン
・水のみ場
■登場NPC
・野々 ののこ(らっかみ)
縫いぐるみの姿のまま、イリュージョンランドでエンドレス・ジェットコースターから降りられなくなっています。
本人は楽しんでいるようですが……。
・テオドロス・バルツァ(らっかみ)
ののこに仕える、猫の姿をした神様。
クローネにろっこんを暴走させられ、世界を切り分けてしまいました。
現在イリュージョンランドのどこかで、身動きが取れなくなっています。
・クローネ(らっかみ)
カラスの姿をした神様。ののこを狙っていますが、序盤は取り巻きに任せて自分は高みの見物をしています。
イリュージョンランドに居ますが、最初の段階ではどこかは分かりません。
・取り巻きのカラス達
寝子島に住むカラス達、ほとんどがオスで、たくさんいます。
クローネの色香にメロメロで、命令に従っています。
その中には、もれいびのカラスも混じっているようです。
・追っ手の玩具達
テオの暴走の結果、この世界に存在しています。非自己(自分じゃないもの)に襲い掛かります。
上記以外のNPCは登場しません
尚、上記の情報は全て、テオを通じてもれいびPCに伝わっているものとしますが、
聞いてなかった、夢かと思ってる、そもそももれいびとしての自覚がない、というアクションも可能です。
ひとPCの場合は、テオから直接聞くことはありませんが、
友だちなどから聞いて把握している、というアクションも可能です。
お友達と一緒に行動する事を望む方は、迷子にならないよう、一緒に行動する全員で、
GA【 ここにGA名を記入 】とアクション記入欄にお書きください。
今回、ダブルアクションは推奨しません。
出来るだけ、一つの場所、一つの行動に絞って行動してください。
■行動指針
1.エンドレス・ジェットコースターに居る ののこを助け、元の世界に帰す
2.テオを探して助ける
3.クローネを探し接触(取り巻きのカラスも居ます)
4.ののこを狙う取り巻きのカラス達をなんとかする
5.追っ手の玩具達をなんとかする
6.遊園地で遊ぶ
挑戦されるもよし、まったり遊園地の雰囲気を楽しむもよし。
皆様のご参加を、お待ちしています。