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ヒゲ猫ペンシルと、魔法商店街の奇妙な面々
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【"致命"】
「魔法ね……まだちょっと信じられない気分だわ」
ペンシルの講義を受け魔法の一端に触れた城山にヒューバートだが、まだ夢気分といったところか。寝子島は人間の世界としては色濃く神秘の息づく島であるらしいし、そこに暮らす者はいくばくかの素養を持つようだ。ふたりもおそらくは怪奇に怪異のひとつやふたつ目にしたことはあろう。いずれ魔法の才にとて目覚めるはずだ。
「水樹……大丈夫かい? どうやら僕らはなにか求められているようだけど、必ずしも応える必要はないと思う。無理はしなくても」
「ううん、大丈夫。だって、あなたがいるもの。怖くないわ」
しかし人間の存外強靭なところは、つまりそれこそが商店街の面々にとぼしいところなわけだが、彼らは他者とのつながりによってあらゆる苦難を克服しうるのだ。城山とヒューバートのように手と手をつなぎ、心をつなぎ、たがいの支えをよりしろに立ち向かうのだ。なんと奇妙で美しいのだろう。
「おや、あんたたち。ちょいと寄っていかないかね」
商店街の一角にたたずむ雑貨店は、端的に表すなら魔女の家、といった趣きだ。樹木の生育にともなう歪をそのままに生かした木造りの扉が開き、顔を出した夕顔が手まねきしてふたりを誘った。褐色肌に金色の髪を流す妙齢の女性の姿をとっていた。さしたる飾り気やともすれば商売っ気さえ足りていない、無味乾燥とした街の並びに店はいささか浮きがちだが、夕顔は形式ばった作法にこだわるたちだった。
城山が怪訝そうに首を傾ける。
「占い師さん……私あなたのこと、どこかで見かけたことがある気がするのだけど。参道商店街でも店を出してた?」
「寝子島はあたしの庭みたいなもんさ。なんなら向こうにいることも多いくらいでね。そら、入りな」
雑貨店『たそがれ屋』は寝子島にも同時に存在している。魔法のなせる技というわけだ。
「そこに座りな。ひとつあたしが、あんたたちのこれからを占ってやろうじゃないか。なに、代金はいらないよ。あんたたちへの対価だとでも思ってくれりゃあいい」
顔を見合わせるふたりに、夕顔はしたり顔で口元へとがった八重歯を覗かせてみせた。
「必要だろう? 今のあんたたちには」
「……お願いしてみようか? 水樹」
彼らのなにやら抱える問題、あるいはいまだ拭いきれないわだかまりといったものか。それを夕顔は察したようだ。
うなずき卓の前へ思い切りよく腰かけた城山の前で、夕顔はカードを繰り始めた。お得意のタロット占いで、人間の若人へ生き方のしるべを示してやろうという、夕顔なりのサービスだろう。ほどなく魔法戦へ巻き込むわけだからな。彼らにも持ち帰るものがあってしかるべきだ。
「時も惜しい、今回はワンオラクルでいこうかね。さて」
78枚のカードを手早くシャッフルし、卓へ崩して横一列に並べる。その中の一枚を返し、展開した。
逆位置の聖杯の4。
「ほう」
「い、いいの? 悪いの?」
「イエスかノーでいえばイエス。しかしどちらともいえないね。こいつは変化を示すカードだ。杯をひっくり返すような大きな変化が訪れて、新鮮な心持ちを感じるだろう。しかしそれは、今手にしている全てをなにもかもかっさらうような強い風が吹いた後かもしれない」
心に留めておくんだね、と締めくくった夕顔の言葉に、ふたりはやはり顔を見合わせた。
占いの結果やそこへ向かい推移してゆく過程に一喜一憂するのは、人間の特権とも言うべきかもしれない。霊界という場所はいかんせん、変化にとぼしいのだ。永い時を生きるあやかしなど必然、変わらぬ安定を好む傾向にあるから、さもあらん。我らが魔法商店街も例外ではなく、旧態依然とした保守精神が長く息づいていたが、もとよりここへ存続し続けることにこそ価値があるのだし、なにかを変えてやろうと息巻く者もなかった。犬塚も白檀も、もっとも古株であり対外交渉を担う夕顔でさえそうだった。
山田 エレキが街へ新たな風を呼びこむのは、彼女が時代の流れとともにやってきた、新しいタイプのあやかしであるからだろう。
「へえ。電気屋があるのか」
夕顔のもとへ残り魔法を学ぶという城山とわかれ、ヒューバートがやってきたのが山田の営む電気店だった。電気店! 魔法商店街になんと似つかわしくなく、魅惑的な響きだろうか。これがはいてくというものか、と街の者らも湧き立ったものだ。
「うおーっ☆ こりゃ面白い! エレキちゃん、ほかには? ほかにはどんな商品があるのカナー」
「やかましなあ……品物は逃げんからちょいと落ち着きや。まあ、たまに逃げるやつもおるけど」
「なにソレむしろ気になっちゃう!」
店先では一足先におとずれた志波が、店主と交流をあたためていた。山田はヒューバートに気づくとおっくうそうに目をやり、ひとつ見定めてから手まねきをした。ヒューバートも会釈を返すと、
「こんにちは、お邪魔するよ」
「こんにちはッス、まあ見ていってくださいよ。面白いですYO!」
「ありがとう志波君。見させてもらうよ」
「待てや、なんでアンタが応対しとるんや。ほんでアンタはなんで当たりまえみたいに答えとるんや」
「てへ☆」
山田のこうも軽やかな返しを引き出す者も珍しい。彼女が積極的に打ち解けようとするのはペンシルくらいのものだった。ヒューバートのやわらかな物腰はもちろんのこと、志波の図抜けた快活がそうさせたのか。
「まあええ……見てのとおり、ウチは電気屋や。好きに見ていけばええ。あ、でも奥の棚は非売品や。触ったらあかんで。絶対にな」
「分かったよ」
「ハーイ」
「ほんまに分かっとるんか、絶対やぞ。絶対」
山田の扱うのはつまるところ、人間世界の家電製品が付喪神と成ったものだ。正しくは成りたてといおうか、言語に目覚めてはおらず意思の疎通を図ることは難しいが、たとえば持ち主の意図を汲んで電源を入れたり断ったり、場所を移動したりといった芸当はやってのけた。
「お? これなんだろー」
「炊飯器の付喪神や。時間と量を伝えとけば、それまでに自分で米を入れて焚いておいてくれるで」
「それは便利……なのかな? ん、これは洗濯機かな」
「そうや。そこらにシャツでもパンツでも脱ぎ散らかしてみい、勝手に洗ってくれるんやで」
「へえ、それはいいね。でもこれ、ちょっと大きすぎるかなあ」
あやかしには物珍しさもあって売れたが、時おりここをおとずれる人間が山田の推す品物を買っていくことはまずない。聞けばこういったものは世代交代が激しく、メーカー各社がやれ小型化だやれ多機能化だとしのぎを削っているのであり、年経て付喪神へ変ずるようなものはそもそも型落ち品なのだ。巨大な中古品をあえて持ち帰ろうとはなかなか思いいたるまい。
「このでっかいのを持って帰るのもちょっと大変だよネー……あ、でも小さいのもあるな」
とはいえ、問えば勝手に答えを弾き出してくれる卓上電子計算機だとか、インテリアとして美品のテーブルランプなどは人感センサー代わりにもなったりする。手を出しやすいものもないではない。ヒューバートも志波も興味津々に陳列棚を眺め、山田とてめずらしくもそのひとつひとつにうんちくを加えたりといささか上機嫌のようだった。
「気が済んだら、魔法の特訓に移るで。"致命"の魔法は扱いがムズイんや、がっつり練習せんと……、っ」
「ん? あれ、これって」
志波が、それに触れるまでは。
「いわゆるひとつの、ゲーミングPCってやつじゃナーイ!? うおっすごいな、型落ちどころか発売されてからまだ二、三年ってところじゃないか?」
パソコン、というやつだ。あやかしには縁遠いものだが、山田が商店街へ居着いた時からそれは店の奥の棚へ鎮座していた。そこへ据えられて以来、通電されたことはおそらくないだろう。ひとたび動きだせばなにやら、七色にまばゆくかがやくのだそうだが。
ぱちりと、なにか弾ける音がした。
「妖怪もパソコンを使うのかい?」
「分かんないッスけど、いやーこれ、けっこう最新型ですよ。寝子島で買ったら何十万もするんじゃないかな。ねえエレキちゃん、これっていくら……」
異変に彼らが気づいたのは直後だ。あるいは不用意に触れたものが、先に山田が触れぬようにと釘を刺した最奥の棚のそれと気がついたのも。
「さわるな!!」
「!?」
ばきばきと破滅的な音を奏で光条が駆けめぐる。稲光が室内に荒れ狂った。視界の端で電光が飛び火し小さな付喪神が焼け焦げのたうつさまがちらと見えるも、ふたりは眼前のあやかしから顔を目をそらすことはかなわなかった。
山田のなびく髪は今や雷光そのものであり、内から止めどなくほとばしり出すまばゆい光条が瞳を白く染め上げ、全身を白熱する光と化した彼女は真っすぐに、人間たちをにらみつけた。
「それに……さわるな……!!」
火花が舞い散り、焦げたにおいが鼻腔を刺す。志波もヒューバートもみじろぎせぬままに、電弧となりそこらじゅうを這いまわる彼女の怒りが鎮まることを願った。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
冒険
神話・伝説
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年04月07日
参加申し込みの期限
2024年04月14日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年04月14日 11時00分
参加キャラクター一覧
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