this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
ヒゲ猫ペンシルと、魔法商店街の奇妙な面々
<< もどる
1
…
4
5
6
7
8
つぎへ >>
【"解析"】
「魔法の理とはなんでしょうか。白檀さん」
ことわり、ときた。八神という人間の理知的、深慮にとむ思考や万象を突きつめんとする姿勢にはやはり期待が持てる。魔法の行使には考えることもまた必要だ。直感は大事と教えたら、ありったけの念を杖に込めて破滅的な爆発を引き起こし、街の一角とともに消し飛んだような輩も過去にはいたものだから。西の窓から荒野の向こうを見てみるといい、あの巨大なクレーターがその跡だ。まったく。
「コトワリねー」
「魔法という概念は俺たちの世界にもあるが、使えるものはおそらくいません。ほかの力ならばあるが……あちらになくこちら、霊界にある魔法のエネルギー源とはなんでしょう?」
それなりの原理や理論を語ることもできようが、繊細な魔法の手ざわりを伝えることは難しい。この手の問いに対して魔法使いの答えは常に、おおよそ似たようなものだ。
「さー? なんだろうね、霊界の空気? 気温とか湿度? わかんないけど、杖にこう、むううううううんって力を込めて、おりゃーって解き放てばいいんだよ。人間には伝わりにくいみたいだけどね、この感覚」
「……理解にいたるよう努力しますよ」
「カタいなーヤガミンは、もっとリラックスしていこうよ。リラ~ックス」
気さくに八神の肩をたたく。磨き抜かれたいつもの手管というやつだ。微塵の本性さえちらつかせない完璧な笑みに、八神も相好を崩す。
「まー、伯爵ならそのへん、うまく説明してくれたかもしれないけどねえ」
「伯爵?」
「墨小路伯爵っていってね、この街を作った人。僕がこりゃーかなわないな、って思った数少ない魔法使い」
「ほう、そんな人が」
魔法商店街の原点には、八神も多大なる興味を抱いたようだ。
「その話、もう少し詳しく聞かせてください。魔法について理解を深める足がかりとなるかもしれません」
「そうだねー、じゃ僕特製の香を焚いて、お茶でもしながら……おっと」
「こんにちは、お邪魔します」
綾辻に早川、初瀬川の来訪に、白檀は片目を伏せて八神との対話を切り上げた。彼もいずれ思い至ろうが、この押し引きや間の巧妙もまた白檀の対話の妙というものだ。
「やあやあ、いらっしゃい。こりゃまた美男美女のご到着だね、がぜん張りきっちゃうよー僕は」
彼がいそいそと卓へ並べ始めた秘蔵の杖たちを、綾辻は食い入るように見つめ、早川も興味深く覗き込んだ。
「わあ、綺麗……! 魔法にはこういう杖を使うんですね。珪さん」
「子どもごころにふれた絵本の世界みたいだ。わくわくしてしまうね」
「それはよかった、興味やモチベーションは魔法のパワーの源泉ともなるからねー。好きな杖を選ぶといいよ」
「いいんですか? どれにしようかな。どれがいいですか、珪さん?」
嬉々として杖を選び始めたふたりを見つめつつ、初瀬川へは一本を手にとり、
「君にはこれなんてどうかな? 紅黒楡は樹齢数万ともいわれる巨大な霊木でね、不老不死や永遠の愛の象徴とも言われてるんだよ。美しーい君にぴったりじゃない?」
「もしかしてそれ、ナンパしてんの? おあいにくさま、先約があるんだ」
「へーそうなんだ? 僕は気にしないよー。むしろ、もっと君に興味がわいてきたよ」
初瀬川の顔は苦笑いに包まれた。脳裏には佐和崎のはにかみを思い起こしているだろう、さもなくば白檀の面に一発お見舞いしていたかもしれない。それはそれでかまわないが、ともかく恋人というのはいいものだ。心に余裕や忍耐を育んでくれる。
そのまま軟派な誘いを続けるのかと思えば、ペンシルに次ぐ天才魔法使いも講義を忘れてはいなかったらしい。
「杖は選んだ? 選んだね、その直感と杖を信じるといいよ。それじゃ、授業を始めようか。僕が君たちに教えるのは、"解析"の魔法さ」
「解析か、俺向きかもしれないな」
八神へうなずき、白檀は続ける。
「敵と対峙したとき、君たちは思うはずだ、コイツの弱点は? どこをどう攻撃すればいい? そこで解析さ。相手がなにを忌避しなにを苦手としているのか、どんな攻撃を得意としてどう対処すればいいのか。手をふれずに看破するのが解析の魔法というわけ」
「な、なんだか難しそうですね……」
綾辻の八の字に曲がった眉も意に介さず、
「なーに大丈夫大丈夫! だーいじょうぶ。僕は天才魔法使いだけど教えるのもうまいから。手とり足とり、じーっくり教えてあげるから」
「それは遠慮しておこうかな」
にんまりと口角を上げる軽薄な男に、早川は笑みながら綾辻を後ろ手にかばった。そう、その直感は正しい。思考を深めることは寛容だが、やはり最後にはひらめきこそが諸君の身を救うのだ。
一心に杖を振るい小一時間もたった頃、室内には香の青煙が漂っていた。白檀は香水びんの付喪神などと自称し、自ら調香した香水を売っている。店の装いも店内の意匠も魔法によって瀟洒に几帳面に繕われており、自慢の温室に設えられた純白の卓へついた彼らは小鳥の鳴き声さえも耳にした。温室にはハーブや香木がところせましと伸びやかに生育している。彩りあざやかな花々などは霊界において馴染み深いものだが、人間の目には物珍しく映るだろう。
それらを用いて香水を仕立てるのが彼の道楽であり営みであり、本質でもあった。
「白檀さんの弱点や本性を見破れ……といっても、難しかったね。誰も成功しなかった」
「まだまだ修行が足りない、ってことでしょうか。でも珪さんはうまくいきそうでしたよ」
「彼が少し、加減してくれたんじゃないかな」
難しいだろうな。それはそうだ、白檀はそうして永い時を生きてきた。一部の隙もありはしないのだ。
「解析ねー。敵の弱点を見破れっていうけどさあ。そもそも敵ってなによ? って話よね」
初瀬川は唇をとがらせた。
「弱点っていうなら、事前にどんなヤツか教えておいてくれればいいのにさ」
「やってくる時期は分かっていても、詳細までは分からないのかもしれない。あるいは……」
「あるいは?」
八神はあごをなぞりつつ、自らの考えを確かめるように吐露した。
「もしかしたら魔法戦とやらにおいて、俺たちの先入観が不都合に働くのかもしれないな。胡乱、いやある人がかつて言っていたが、例えば都市伝説などは人々の口さがない噂から生まれ、その存在を信じる想いによって力を得るのだと……」
「さーさーさー、お茶が入りましたよーお」
盆に揺れるポットにカップは丹念に磨き上げられて純白にかがやき、香のかおりを立ち上がる茶のかぐわしさが覆った。茶請けはおばけ餡を練ったようかんだった。
「いや君たち、筋がいいよ。この調子なら解析だけじゃなく変質も致命の魔法もすぐにものにできるんじゃないかなー? ま、犬塚あたりは要領がわるいから、彼の授業はちょーっと苦戦するかもしれないけどね」
「本当かい?」
ぴくり、と早川の眉が跳ねたのは、かけだし魔法使いとして下された明るい評価についてではないだろう。年長者ゆえの知見が、白檀の言葉尻や立ち居振る舞い、つくろった態度のほころびを見抜いたのかもしれない。彼はかたわらで上品に茶を飲む綾辻へちらと案ずるように目をやるが、感じた違和感の正体にまでたどりつくことはなかったようだ。
「ま、飲んで飲んで。本当だとも! 僕はいま、未来の大魔法使いたちの誕生に立ちあっているのかもしれないね。いずれ天才である僕をもこえてしまうかもしれないよ。ま、ほら、飲んで飲んで」
「いただいてます。美味しいお茶ですね、すごくかおりがよくて」
「あなたってうさんくさいけど、お茶を淹れるのは上手ね? これ、紗月にも飲ませてあげたい……な……」
ことりと空のカップが初瀬川の手を離れた。次を注ぐ前であったのは幸いだろう。
「う……?」
初瀬川が、綾辻が、早川が前のめりに卓へ伏し、八神もまたのけぞり椅子の背へ身を投げ出した。
「なんだ、急に……眠く……」
きち、きちと。そんな音を彼らは遠のく意識に聞いただろうか。きち、きちきち。きちきちきち。壁の向こうへ低く響くのは、風音か。それにしては幾重も幾層にも重なり合い、響き渡った。風、いや、述べてしまおう。これは羽音だ。きちきちと鳴らすのは硬い殻に包まれたあごから伸びる顎肢が空を食む音だ。
きちきち、きちきちと鳴らす音。うおう、うおうと低くくぐもった風切り音。甘い蜜の香りとともに音は広がり、大きく深く、重なり合ってゆく。
「ふふ。ああ、いいね。君たちは、実に……××そうだ」
きちきちきち、うおう、うおうん。きち、きちきちきち、ぎちぎち。うおおおうん。
まったく、白檀め、困った男だ。にゃおう、と鳴き声が音を引き裂いた。
「……うん? あれ、あたし今、寝てた?」
「ごめんなさい、ちょっとうとうとしちゃいました……あっ、ペンシル!」
頭を上げた綾辻の瞳が見る間に輝き、腕を伸ばし抱き上げるのにまかせ、ペンシルは髭をふるわせ白檀を一瞥した。音はすっかり、止んでいた。
白檀は口角を上げて笑み、静かに猫を見つめ返しつぶやいた。
「ははは。やはりつれないね、あなたは」
<< もどる
1
…
4
5
6
7
8
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
ヒゲ猫ペンシルと、魔法商店街の奇妙な面々
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
冒険
神話・伝説
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年04月07日
参加申し込みの期限
2024年04月14日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年04月14日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!