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ヒゲ猫ペンシルと、魔法商店街の奇妙な面々
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【"変質"】
初瀬川と離れ、それぞれに興味を抱いた店へと赴くことにしたらしい。佐和崎もこう見えて行動力と判断力に長けるようだ。魔法戦において直感は要と言っていい。まずもって期待できよう。
「あ……こんにちは」
「来たのか。もうひとりはどうした」
「えっと、理緒ちゃんは別のお店に……おたがいにお土産を探そうって」
「ふん」
犬塚は狼男と人の混血だという。長い黒髪を無造作に流し、腰には豊かな毛量をたたえる尾が揺れていた。
彼は土産物店に居候している。店主は絨毯の付喪神で、気のいい行商人だ。霊界中を、時に人間の世界をもめぐり多様な品々を仕入れては気まぐれに戻り、品ぞろえを充実させる。しかし齢数百を数えたあたりでめっきり老け込み、近頃は犬塚の手ずからこしらえた品物を置き、店番もまかせるようになった。犬塚はかように愛想のない男だが、もう長いこと居着いているところを見ればどうやら、店主とは気が合うらしい。
興味深げに佐和崎のとった品もまた、彼の作品だ。
「あっ、これかわいい……これ、なんですか?」
「ああ?」
鎖につるされた精巧な円盤状の細工を手に尋ねる。
「ネブラ・ディスクのピアス」
「ねぶら?」
「こいつは黄金シャトルのリングだ。こっちのネックレスはピーリー・レイスの地図をモチーフにしてみた」
「黄金? ぴ、ぴり……?」
「なんだ、知らねえのか。お前の世界のモンをデザインしてんだぜ」
世に実証のともなわぬ品々をあしらった犬塚の作品は、奇異なるがとかく人を惹きつけた。工芸品としての出来もすこぶるよく、目を留めた佐和崎の見る目はなかなかのものといっていい。
「もっと面白れえもんもある。こっちだ」
先導する彼が一メートルほどの長さの杖をぞんざいに振ると、壁が折りたたまれるようにめくれあがり、またたく間に倉庫らしき新たな空間が佐和崎の前にあらわれた。
「壁が動いて……!? こ、これも魔法ですか?」
「ああ? まあな……お前、このくらいで驚いてちゃ、霊界じゃやっていけないぜ」
ぶっきらぼうに過ぎる犬塚の本心もいくらか見抜いたのだろうか、佐和崎はひとしきり面食らった後にはおだやかな顔を浮かべ、初瀬川への土産を物色し始めた。
「ここだよねワット、土産物屋さんって」
「みたいだねぇ。ああ、お邪魔するよぉ」
「……ふん」
稲積とブラックウッドは連れ立ってやってきた。いささかに意外であったのは、一歩退き稲積を導く立場であろうブラックウッドが存外乗り気であるらしいことだ。
「ここで魔法を覚えられるんだよねぇ? いやあ、僕もちょーっとばかり、興味があってねぇ」
「この前見たって言ってた、アニー・ポーターの影響でしょ?」
「分かる? ハマっちゃってさぁ」
なにやらそのような映画が流行りであるらしい。魔法といえば人は誰しも夢中になるものだ、無理もなかろう。
犬塚の硬い態度は変わらぬまま、彼らをも受け入れた。
「お前が学ぶのか。いいだろう。ガキ、お前はどうすんだ」
「むっ。ガキじゃないです、稲積です」
稲積もともに学ぶが、主にブラックウッドを立て、補佐する立場へ回ることにしたらしい。なんとも殊勝なことだ。若さはよい、無鉄砲は時に勇猛となろうし、思慮が足りぬとも物事を動かす原動力になる。年経たあやかしなどに足りぬところだな。
ふとブラックウッドが興味津々に店を眺めまわし、壁の額縁に目を留めた。
「へえ、いろいろと面白そうなものがあるじゃないかぁ。お、この絵はなにかなぁ?」
「それは……」
終わらぬ幼年期を幾度となくかえりみるよう、犬塚は肖像をいつまでも外そうとはしなかった。盛りを過ぎまもなく老年に差しかかろうかという、男の肖像だ。カイゼル髭をたくわえシルクハットを頭に飾り、恰幅良い身体をきゅうくつそうに燕尾服へ押し込めている。画稿に収まらぬところでは、星柄をあしらった金縁のステッキを携えていたはずだ。
魔法使いの手になる肖像が動き出し、朗らかな笑みを浮かべるままにゆったりと髭を撫でつけ、彼らを順に見返した。
「伯爵と名乗っていた。本当の身分など知る由もねえが、俺たちもそう呼んでいた。この魔法商店街を拓いた男だ……名を、
墨小路 綾麻呂(すみのこうじ あやまろ)
」
「へえ、そんな人がいたんだ? なかなかダンディなひとだね、ワット。あ、ひとじゃなくてあやかしかな?」
「伯爵の扱う変質の魔法は、一級品だった。自分も敵も、その魂まで変質させた……彼以上の使い手を、俺は見たことがねえ」
「ずいぶん尊敬してるんだねぇ」
声が届いているやらいないやら、真っすぐな瞳で額を見上げた犬塚を、稲積やブラックウッドが怪訝そうに見つめていた。
……ひとつ、告げておかねばなるまい。諸君。心へ留め置くべきだろう。魔法商店街の住人たちは魔法使いであり、いずれもがあやかしだ。人間ではないのだ。
あやかしの中には抗えぬ習性を抱える者もいる。霊界の深く色濃き闇を内にはらむならば、彼らの目に諸君の魂はさぞまぶしかろう。狂気へいざなう望月のごとくに。
「杖を取れ。どれでもいい、直感で選べ。迷うな」
「えっ、えっ? ええと……」
「って言われても、迷っちゃうわよね」
稲積が青蘭の蔓の短杖を、次いで犬塚の居丈高に追われるように佐和崎が、鳳凰の止まり木の長杖をとった。ブラックウッドは優雅に迷った末、魔王樫の杖を手にした。直感は重視すべきだが、杖との相性にはチューニングを要する場合もある。これという一本に定めるのはもうしばし後になるだろう。
「"変質"は魔法戦の要だ。敵が忌避するものにそいつを変質させろ。カエルが嫌えならカエルに変えてやれ。自分がカエルになって飲み込んでやれ。そうやって相手の精神力を削り奪い合うのが魔法の戦いだ。見ろ」
犬塚が狼頭飾りの杖を振ると、鍛錬用の木人形が生きたカエルへと変質した。跳びはねると稲積が声を上げて後ずさる。
「カエルになった!」
「す、すごい……」
目を輝かせる少女ふたりに、犬塚はそっけなく目をそらす。ブラックウッドの手首を杖で小突き、姿勢を整えさせた。
「杖にお前らの言葉を聞かせろ。声に出してもいいし、念じてもいい。杖に届きゃあどっちでも構わねえ」
「念じろったって、君。曖昧だなぁ。教えるのヘタクソだねぇ」
「うるせえ、やれ。やってみせろ」
「ふむ、どれどれ?」
やみくもに杖を振るうブラックウッドの所作は熟達の魔法使いの目には滑稽と映るだろうが、彼は真剣だ。それを笑う稲積も、追従するように佐和崎も杖へと一心に語りかけ始める。カエル、カエル、カエルになれ。
変質させるのだ。相手をまったく都合のよい姿かたちへと変えてやるのだ。
「……っ。くそ……」
犬塚はかぶりを振る。彼はかつて考えたという。自身より大きな体躯を持つ獲物ならば、小さくしてしまえばいい。食べでのない痩せこけた獲物ならば、太った豚にでも変えてやればいい。
「えいっ。やっ! カエルになれ!」
「うまくいかないわ。難しいわね……」
「でも佐和崎さんって、杖が似合うよね。なんだか魔法使いっぽいかも」
「そうかな? 稲積さんもけっこう似合うわよ」
「ほんとですか? かっこいい魔法使いになれたらいいな。ね、ワット?」
しかし己の中に抱えた矛盾が彼を反証の渦に押し込めた。矛盾が葛藤を生み、葛藤は抑圧となり、揺り返す反動となって彼の内に荒れ狂った。
「はあ、はあ。はあ」
ぐるる、ぐるると喉を鳴らす。腹が減る。
「カエルじゃなくてもいいのよね? たとえば、小さな石とか。葉っぱとか」
「あ、自分に合ったモチーフがあるってこと? 冴えてますね、佐和崎さん。う~ん、なにがいいかな」
「ううう。はあ、はあ……はあ」
それをときおり、思い出すらしい。抑えがたき欲求が奔流となって彼の理性を流し去り、たとえば少女のやわらかく真白きうなじなど目の当たりにすれば、本能と衝動が奥底から顔を覗かせるらしい。
ぐるる、ぐうるると。腹が減るのだ。
「っ、稲積!!」
「えっ!? な、なに、ワット?」
ブラックウッドに強く手を引かれ、稲積は彼の腕の中へすっぽりと収まった。佐和崎は目を見開き、杖を握りしめたまま腰を抜かしてへたりこむ。
「な……に? おお、かみ?」
眼前に彼らの見たものは、牙と野性を剥き出しにして熱く吐息をもらす、血走った眼をした、一匹の獣だった。
「……魔法のコツは分かったよ。稲積、あとは僕たちだけで練習してみよう。佐和崎さんもいいね?」
佐和崎は息を詰まらせたままうなずきを繰り返す。
「あ、杖は借りていくよぉ」
「好きに、してくれ……」
稲積の肩を引き寄せたブラックウッドが、申し訳なさげに振り返りながらに佐和崎が店を去ると、人の顔をかろうじて取り戻し、弛緩してうなだれた犬塚は力なくつぶやいた。
「……ちくしょう」
諸君。忘れてはならない。彼らは霊界の深き闇を体現する、あやかしなのだ。
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担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
冒険
神話・伝説
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年04月07日
参加申し込みの期限
2024年04月14日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年04月14日 11時00分
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