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二月の魔法は春を呼ぶ
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■after “AFTER THE RAIN”
物語を
約二ヶ月前
、師走のころに巻き戻す。
雨をまじえた海風が、
クリス・高松
の髪を吹き上げていた。
「陽太さん。……好きです」
あまりに急なことで、
呉井 陽太
は返事ができない。
クリスはさらに胸の内を明かすと、
「ごめんなさい、私……臆病で、あなたの顔を見ることができない……!」
言い捨てて走り出したのである。
とっさに陽太は手を伸ばしたが、彼女の傘にすらふれることができなかった。
クリスの背が遠ざかってゆく。つっかえつっかえ、危なっかしい足どりで。
風向きが変わり雨粒が、陽太の眼鏡に吹き付けてきた。
クリスさん。
クリスさん、オレは――。
オレは。
「何やってんだオレはっ!」
自身を叱りつけるように声を上げ陽太は走り出した。シャワーのごとく雨が顔を打ち、スニーカーに水が入りこむがかまわない。駆けに駆けた。
クリスの背中は遠い。
だめだこのままじゃ見失ってしまう。
決断は早かった。傘を捨てて両腕を振る。全速力だ。
「クリスさん!」
叫ぶ。しかしクリスは速度を上げた。
行かないで。
話を聞いて。
言いたいのだが喉が詰まり言葉にならない。だが一言、
「クリス……さん!」
ひときわ大きな声が出た。
届いたにちがいない。彼女の走る速度が落ちた。
追いついた。
少々乱暴かもしれないけど許してほしい。
陽太は濡れた手でクリスの手首をつかむ。
「待って、待ってください」
寝子島のベイエリアはハローニャック周辺だけが例外で、あとはくすんだ色の倉庫がならぶだけの寂しい場所だ。雨のせいもあって人通りはない。髪からしずくをしたたらせがら陽太はクリスと向かいあった。
「陽太さん、そんなに濡れて……傘は?」
ナターシャは陽太に傘をさしかけた。大きな傘ではない。ために彼女も半分濡れることになる。
「とっさに手放しました。後で」息が切れている。冷たい酸素をとりこんでからつづける。「後で拾います。それよりも」
陽太は顔を上げ、やはり途切れ途切れだが言った。
「引き止めてすみません。でもこのまま放っておくなんてオレにはできませんでした」
クリスは顔をそむけ視線を外した。
「顔が見れないなら、見なくてもいいんです」
だから、と告げて陽太は息を吐く。いくらか呼吸が落ち着いてきた。
「どうかそのまま聞いてください」
お願いしますと頭を下げて、ようやくここで陽太は自分が、クリスの腕を握ったままだと気がついた。慌てて指をひろげる。
「オレのために生きたいと言ってくれて、ありがとうございます。そんなにも大切に想ってくれてたのをいまハッキリと知って、正直とても驚いているし、もっと早く気づけなかった自分に腹を立ててます」
だが自分が伝えたい内容は、きっとクリスを喜ばせはしまい。陽太の声は翳(かげ)った。
「こんなにもたくさん悩ませてしまって、すみませんでした。でも……オレには大切な彼女がいて、クリスさんの気持ちには応えられないんです」
「ナターシャ、ですか」
「えっ?」
「……その、『彼女』って」
「いえ、そうじゃなくて別の、ええと、ここでいう『彼女』は『she』じゃなくて……『交際相手』っていうか……」
「『girlfriend』?」
「そう。そんな感じ、です」
「……」
クリスの無言を受け止めてから陽太は言った。
「自分で言うのって、わりと印象悪い、っていうか不適切かもですけど……オレがこうだからといってクリスさんにはがっかりしてほしくない、って」
「……いいんです。悪いのは事情を知らなかった私、ですから」
「悪いなんてことは!」
自分でも驚くほど大きな声を出してしまい、陽太は「すいません」と声を落とした。
「そんなこと言わないで。クリスさんは悪くなんてないんです。悪いとすればそれはオレです。ワガママ、ですから」
「ワガママ、って……?」
「オレは今でも……ふたりに消えてほしくないって思っていて……ワガママすぎて、本当にどうしようもないですね……」
クリス・高松とナターシャ・カンディンスキー、ふたりは現在でこそ別々の名を名乗っているが、もとはひとりの人間だった。
本来の姿はナターシャである。しかし彼女のなかに生まれた別人格『クリス』がナターシャと入れ替わるように体を乗っ取っていた。いわゆる多重人格の一種だが、ただ性格が変わるだけではなく変身に近いものがあった。クリスは背こそ高いが弱々しい女性で、高い身体能力と冷徹な思考力をもつナターシャとはまるで正反対だからだ。クリスはナターシャと記憶を共有するが、ナターシャにはクリスになっていた時期の記憶はない。こういう人間をDUALというらしい。
陽太はナターシャとも、クリスとも深くかかわってきた。だからクリスとナターシャが双子のように別個の肉体にわかれ、それぞれ歩みはじめようとしていたことは歓迎していたのだ。
――なのにいま、クリスさんとナターシャさんは共存できず、どちらかが消えようとしている。
「気持ちに応えらなかったとしても、オレがふたりに消えてほしくないと願う気持ちは変わらないです。本当にワガママなヤツですみません」
誰に謝っているのだろう。
陽太は思う。
もちろん目の前のクリスに謝っている。
でも同時に、ここにはいないナターシャにも、
そして自分自身にも、
謝っているような気がしていた。
ナターシャさんも……この世に残りたい理由だけは知ってほしい、って言ってくれたのは、オレのことを想ってくれた精一杯の言葉だと思う。
「謝る必要はない」
うなだれていた首が跳ね上がった。
声がちがう。か細くハスキーなクリスの声ではない。それに表情もだ。
いつの間に入れ替わったのか、目の前にいるのは――。
「ナターシャさん!?」
「そうだ」
傘を持って立っている。それはクリスと同じだというのに、陽太と相対しているのはまったくの別人だった。クリスは消え、そこには
ナターシャ・カンディンスキー
が立っていた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年03月17日
参加申し込みの期限
2024年03月24日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年03月24日 11時00分
参加キャラクター一覧
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