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アスレチック、いいチョイスだったと思う。
初デートを意識しすぎてガチガチになっていた体が、たちまちこなれていったからだ。
詠もそうあってほしいな。
声をかけあってスタートした。太い綱を使って急傾斜を登攀し、丸太橋に飛び乗る。
「この橋から落ちたら鮫に食われるぞ」
などと寛美は笑わせて、わずか一息で渡りきった。ほとんど走っているに等しい。さすがのバランス感覚だ。
つづいて網のトンネルくぐりだ。ちょっとやそっとの距離ではない。
「ここは競争だな」誉がもちかけると、
「受けて立つ!」寛美もふたつ返事で応じた。
もがくような匍匐前進の果てにするりと誉が先に抜け、ターザンロープにたどり着くと、
「今度はこいつで勝負だ」
寛美もすばやく隣のロープを手にした。
アスレチックコースはつづく。長い長い雲梯(例によって「落ちた下は針の山だ!」なる寛美の即興設定つき)を制覇し、ネットと丸太で組んだ砦を登って下ってポールで作った迷路に挑む。さんざ迷ったその先には、サッカーボールを蹴ってパネルを打ち抜くという関門が待ち受けていた。「十五点とるまで出られない」と寛美が決めたので脱出には苦労したものだ。つづいてそびえる垂直の壁は、見上げるような距離に挑むボルダリングウォールだった。頼れるのはわずかな突起だけ。命綱の用意まである本格派である。
たがいに励ましあいながらよじ登り、たどり着いた頂上には長い鎖の吊り橋が用意されていた。
「うお、これ揺れるな!」
寛美はぎょっとしたようである。両足を乗せたとたん、鎖が激しく横揺れしたのだ。ふたりを待っていたかのように海風が出てきたせいもあるだろう。もちろん安全ネットはあるものの、「真下は溶岩の海だ」と寛美が言ったのだ。落ちて蒸発するわけにはいかない。
橋の幅は広い。とっさに誉は寛美の手を取り、しっかりと寛美は握り返した。
小さいけれど硬い手、武道で鍛え上げた手。
その感触が誉には嬉しい。かけがえのない寛美の手なのだから。
「ひゃう!」
足が滑りそうになり寛美が奇矯な声をあげた。けれども楽しそうだ。
「市橋っ、手、離すなよ。離さないでくれよ」
「もちろんだ。離さない。ずっと」
「ずっとか?」
「ああ。ずっとだ」
ゴールはもう目の前だ。
渡りきったその先は長大なローラーすべり台、これにてアスレチックはグランドフィナーレを迎えるようである。
・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*
誰もいない緑の丘にのぼって、東屋に腰を下ろした。
見晴らしがいい。制覇したてのアスレチックコースも、青い海と海岸線も一望できる場所だった。誉はこの場所のことを事前に調べてはいたが、ここまでとは思っていなかった。
「こんなとこがあったなんてな」
さすが寝子島と寛美は言うのである。けっして大きくはないのに、この島には名高い観光地はもちろんのこと、知られざる名勝も数えきれない。
「そろそろ昼だな」
昼食、用意してきたんだと言って誉は持参の荷を解いた。
「それスープジャーってやつだな」
「春めいてきたけどカレンダーはまだ二月、温かいほうがいいかと思って」
「なんか悪いなー。まあ期待してたけど」
へへへと寛美は笑って、誉がフタを開けるのを待つ。
スープジャーが開くとまず湯気、そして食欲をそそる香がたった。
「お、カレーか」
寛美が嬉しそうな声を上げた。鮮やかな緑色のスープである。
「野菜沢山グリーンカレー、気に入ってもらえたら嬉しい」
誉がよそってスプーンとともに渡すと、「エスニックランチっていうのか? 好きなんだよなぁ、こういうの」と寛美は歓迎の様子だ。
なす、ピーマン、パプリカにたけのこ、これがどっさり入っているうえに、刻んだマッシュルームも加えた。そのぶん鶏肉は控えめで、タマネギは細かく刻んで完全に溶かしておいた。ココナッツミルクがベースなので風味は豊か、カレーペーストは輸入食料品店で購入したものだった。
「詠は辛いものは平気か? とりあえずマイルド風味にしたけど」
「全然OKだ。むしろ辛いの好きなくらいで」
うめえな! と寛美が太鼓判を押したので、試みは成功といっていい。
誉も一口した。自画自賛ではないがよくできている。熱いくらいなのが嬉しい。さらりとしているのにコクがあるスープ、じっくり煮た野菜たちが、それぞれの個性で舌を魅了する。個性的な具材が多いのにけっしてバラバラにはなっておらず、互いが互いを高めあっているといってよかった。ジャズ的に表現するなら、スタープレイヤーが協調して見事なシンコペーションを形成しているといったところか。辛いのが好みと聞いたので、今度彼女に提供する機会があれば、もっとスパイシーにスウィングした作りにしてみたい。
カレースープだけでも十分にご馳走だが、まだこれはいわば序章、本編はもっと凝っているのだ。
じらすように包みをほどき弁当箱を開ける。
まるで天岩戸(あまのいわと)が動いたかのよう。おお、と寛美は目を輝かせた。
「冷めても美味しいおかずを考えたんだ」
美しい照りの光沢、鮭の柚香焼きがあった。
どしんと重い存在感は、豚ロース肉の味噌漬けだ。
弁当と言えば外せない、黄金のだし巻き卵も顔を出す。
「そして、具にもこだわったおにぎりだ」
その場で海苔に包み手渡した。
「盆と正月がいっぺんに来たって感じだな!」
妙におっさんくさい表現ではあるが、寛美が手放しで賞賛していることだけはまちがいないだろう。
丸一日食を抜いてきたかのごとく、うまいうまいと寛美は食事を楽しむのである。それだけ夢中ということだ。
詠が食べてる姿、見ているだけで幸せになるな。
今朝早起きした甲斐があったというものだ。買い出しを含む下準備、さらに料理を作る工程も誉は好きだが、食べてもらえるこの瞬間が、きっと一番好きなのだと思う。
それも、最愛の彼女に――。
図らずも頬がゆるんでしまった。ここでいう『彼女』はもちろん、単なる人称代名詞ではない。
「食わねーのか?」
ふと気づいて寛美は不思議そうな顔をした。
「おっとそうだった」
空腹すら忘れていた。
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担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年03月17日
参加申し込みの期限
2024年03月24日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年03月24日 11時00分
参加キャラクター一覧
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