幽霊猫とお化けの国：最終幕　旅の終わりと最後の戦い｜リアクション

幽霊猫とお化けの国：最終幕　旅の終わりと最後の戦い

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　すぐさまハサミを引き抜こうとするウィルに気づいて、夏朝は大人しくしていろとばかりにねこシールを射出する。
　貼りつくなりろっこんを発動し、ハサミの重量を限界まで増加。重さに引きずられたハサミの切っ先が、山肌へより深く食い込んでいく。
　続けて、限界まで自重を増加させる。
「中のゴーストさん達、怖かったらごめんね……！」
　体そのものを質量弾とし、ウツボカズラ目がけて落下した。
　夏朝を捕えようと伸びたツルを、紫苑が撃って妨害。道を開く。
　ダメ押しとばかりに海が夏朝の体を加速させ、ツルを振り切って着弾させる。
　ウツボカズラが、衝撃に激しくたわむ。幸いと言うべきか、中で吸収されているゴーストたちの存在に触れてしまったような感覚はない。
　加速と重量増加の合わせ技は強烈で、メキリという音すら聞こえたように思う。
　しかしハサミを引っこ抜こうとしているウィルは怯みもしなければ、痛みを感じている素振りすら見せなかった。
（どういうこと？）
　これには夏朝も違和感を覚えたが、かといってウツボカズラを破壊する目的に変わりはない。自重を再度軽くし、ツルを振り切って上昇する。
「ツルっていうか触手ね、ったく！」
　蠢くウツボカズラのツル目がけ、アリサはびっくり箱を投げ込んだ。ツルが箱を弾くと仕掛けが作動し、飛び出した刃物がツルをずたずたに引き裂く。
　アリサは続けて二つ三つと投げつけて、ツルの注意を引いている隙にウツボカズラ本体へ肉迫した。
　紫苑が大鎌で斬りつけたツルを見つけると、思いきり斬りかかる。
「っ、かった……！」
　一見して斬りやすそうな細いそのツルは、しかし見た目よりも遥かに強靭だった。刃が食い込んだのはこれで半分ほどだろうか。切断には至らない。
　引き抜こうとする背後に、ツルが迫る。
（あぶない！）
　それに気づいた海が、アリサの体を加速させた。ツルが空ぶったのを確認すると、そのまま剣の幽霊たちを加速させて射出する。
（ゴーストリアを取り戻すんだ。必ず壊してみせるよ！）
　炎の翼が震え、お化け兵が生み出される。しかし海には、新しいお化け兵が射線を塞ごうが関係ない。
　剣がお化け兵に当たったのなら、今度はそのお化け兵の武器を加速させて攻撃すればいいのだから。
　くわえて鳥やドールたちが、それまでに海の加速させた武器を拾い上げて宙に放ってくれた。それらを加速させ、途切れることなく武器の弾幕を浴びせかけていった。
　海の『アクセラレイトライン』で危ないところを脱したアリサは、手元に残っているびっくり箱を次々にウツボカズラへ投げつけていった。
　学習したのだろうか。ツルは弾くのではなく、絡めとるようにして柔らかく箱を受け止める。
　仕掛けは作動しない。しかしアリサは、その隙にツルへ肉迫した。
　尻尾に食い込むものと違って、触手のように蠢くツルはむしろ脆い。一太刀でも、充分に切断できる。
　蠢くツルを切り払いながら、そのままさっき切断しきれなかったツルのもとへ。
「こっちならどう！？」
　そして蠢くツルが届かない距離を保ち、今度は銃を撃ちまくった。