幽霊猫とお化けの国　第五幕：戦士は憩いを希う｜リアクション

幽霊猫とお化けの国　第五幕：戦士は憩いを希う

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「魂を食べるなんて！」
　戦ったことのある面々から情報を聞いて、響タルトは唇を尖らせた。火まで吹くし、見た目のわりにとんでもない連中だ。
「カボチャなんだから、どっちかと言ったら食べられる側だよねー。でも、お化けだから無理かな？」
「いえ、食べられますよ？」
　巫部紫苑の思わぬ言葉に、タルトは目を丸くして彼女を見た。
「紫苑ちゃん、食べたの！？　……生で？」
「はい。戦っていたらお腹が空いてきてしまったので、頭からこう……生でがぶっと♪」
　その場でかじりつくような動作をする紫苑。彼女が言うには、柔らかくてほんのりと甘かったらしい。
「へぇ、生でいけるんだ。ちょっと試してみたいなー」
　どうせなら火を通して、より美味しく料理してみたいところだ。しかしここは戦いの場で、さらに人魂たちを護らなければならないわけで。さすがにそれどころではないだろう。

「アイツらに食われたゴーストや人魂は、いったいどうなるんだ？」
　桜井ラッセルが、いつもより少し硬い声でクリストファーに問う。
　微かに表情をこわばらせたクリストファーは、「封印されていたお化けの逸話からの推測だが」と前置きをしたうえで答えた。
「奴らに吸収され、力の一部として取り込まれることになる。おそらく、だが」
「それってつまり、奴らの一部になって消えちゃうってこと！？」
　恵御納夏朝が、瞳に怒りの色をにじませる。そしてラッセルも、怒りを顕わに拳を握り締めた。
「消えちまうなんて、ますます許せねぇ！」
　例えば、もしも亡くなったラッセルの祖母の魂が、奴らに食われて消えてしまったら。そう想像しただけで、ラッセルの心は食い荒らされたみたく乱れてしまう。
　考えるだけでこれほど辛いなら、戦士がこれまで負ってきた辛さと悲しみ、そして孤独はいったいどれほどだろうか。

「人魂さんたちが、食べられないようにしないとね」
　この時ばかりは真剣な調子でそう言って、タルトは水筒の水を被った。ろっこん『チェシャ猫』の進化能力を発動し、獣人の姿へ変化する。
「弱点はないのか？」
　確か、と。以前の戦いを思い返して、紫苑がラッセルの問いに答えた。
「前に戦った時は、頭に炎が灯ったカボチャさんが居ましたね。それを倒すと、残りのカボチャさんたちは逃げていきました」
「きっと今回も居るはず。なんとか見つけ出さないと」
　そう言って、夏朝は上空に漂うお化け兵たちをにらみつけた。

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