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ミッドナイト・フレンズ・ストーリー
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【白浜にて】
十代の夜は長いのです。青春はあっという間に過ぎ去るものだから、その時その時を大切に……なんていうけれど、時に夜をもてあますのも若者に特有の悩みで、ある種の特権とも言えましょう。
夜を歩けばもんもんもん。つまらない思考がぐるぐると頭のなかをめぐります。そのさまを例えるならアレです。わんこが自分のしっぽをつかまえようとして、ぐるぐるするヤツ。ちびっこい小型犬が跳ねるのもいいですけれど、大型犬がでっかい図体ではしゃぎまくるのもいいですね。そんなのってば大変に愛らしくって……うーん、ちょっと違いますか。
表面上は落ち着いて、
倉前 七瀬
の歩みはゆったりと。けれどその内には彼自身の思う、まさにつまらない思考が渦を巻いておりました。犬でなければ星々が集う銀河のようにとでも言いましょうか、いやいやそんな比喩はちょっと上等すぎる、言うなれば満タンに湯を張った浴槽の栓を引っこ抜いたときに現れる、いやまだ取り繕っているかな、トイレのあと水を流したとき。あれです。あのぐるぐる水流がまさにそれ。
(なにを考えてるんでしょう。本当に)
七瀬の夜歩きは常習的です。高校時代からしばしば寮を抜け出していたものだから、慣れっこです。歩きながら星明かりを見上げていると、つまらない自分が少しばかり良きなにかであると思えたあの頃からの、七瀬が踏んできたプロセスの一環です。すべてを水に流してしまいたいときになど、七瀬は積極的に夜へと飛び出しました。
(山は……やめておきますか。このまえはたくさん、
心配をかけてしまった
ので)
思考のめぐりへふわり浮かび上がる顔、レモンイエローのなびきを七瀬は頭を振り、あえて追い出します。今はなんだか、彼のことを考えたくありません。七瀬自身の負った引け目が、それを良しとしませんでした。
(……海にしましょうか)
寝子ヶ浜海岸には街灯のあかりも届かず、七瀬の足元を照らすのは月と星だけ。それから、寒い。寒すぎる! 思わず肩を抱いて、けれどはっとして、すぐに腕を弛緩させました。潮のかおりと怜悧な空気。輪を抱く月。楚々として静謐な、ひとりだけの夜。神聖で汚れなき一夜。吐息は白くこもりながら、けれど寒さはもう、気になりませんでした。
スマートフォンを星空へかかげ、月といっしょにぱしゃりと収めます。
「あ。オリオン座」
無作為に過ぎて読書とも呼べない活字あさりはときにこうして知識として息づき、役に立つこともありました。星座はいいものです。無味乾燥として自分を失ってゆくばかりの夜には特に。星々のなかに鼓型の並びをひとつ見い出しただけで、凍りかけた七瀬の胸はひとつ弾みました。
ぱしゃり、ぱちりと何枚か写真を撮ったら、連絡先リストのなかにカタカナの一列を探します。ぜひとも彼にも見せてやりたい。共有したい。ようやくにして動き始めた心の躍動を彼とともに、
(いやいやいや。いや)
再び頭を振りました。
(こんな時間に迷惑でしょう)
そう考えるも、我ながら虚ろな響きだと七瀬は自嘲ぎみに口の端をかすかに上げました。
迷惑なのは、時間だけ?
足元は白砂。波打ち際の濡れたそれを踏みしめるとくっきり靴あとが残り、直後にさらわれて消えてゆきます。
さざ波はふと、七瀬に人の心を想起させました。ときに静かな小波として、ときに激しい大波として、押し寄せては離れ、またやってきては遠ざかる。ランダムで予測しがたく、一定のパターンを見い出したかとおもえばたやすく乱される。つかもうと思ったときには遠く沖合へ逃げていて、むなしくあきらめ踵をかえした途端にふたたび、足元を濡らす。あの波は、どこからやってきたものだろうか。彼が発した波なのか、それとも自分が発したものだったのか。
つまらぬ思考と断ずることはできました。けれど七瀬はしばしそうして、白浜と波の合間をゆらりゆらと惑いながら、浸りました。
歩き疲れて腰を落とすと、白砂はやわからく七瀬のまるいおしりを受け止めてくれました。なんともソフトに、やさしく静かに。
波音へ耳を傾けるうち、少し冷静になって、七瀬は問題の根っこを自身の心中から探り当てることにしました。
(いつも……あのひとは)
彼は明るく、ひょうひょうとして掴みどころなく、時おり抜けているところもあるけれど、格好よくて。スマートなのに自然体で。笑顔が素敵で、いたずらっぽく細めた瞳の青さに胸を打たれます。彼はいつだって大らかで寛容で、七瀬を邪険にしたことが一度だってあったでしょうか。
けれど。けれど、と考えてしまうのがつまり、七瀬の『つまらない思考』なのでした。彼の優しさは彼の表にあらわしてくれた、ごく一面に過ぎないのでは? 少なくとも連絡をとってみたならおおむね明るくこころよい返しが戻ってはきますけれど、本当は、辟易としているのだとしたら? 電話の向こうでは七瀬からの一語一句に眉をしかめたり、聞こえないよう舌打ちしたり、なんなら誰かに「元生徒のなかにしつこいのがひとりいてねぇ、ちょっと優しくしたら、カン違いされちゃってさぁ~」なんて、ため息まじりにこぼしていたりするのでは?
そんなはずはない、と分かります。彼の人柄や本質を信頼しているし、七瀬自身疑っているわけではないのです。けれどそのことと、自然に湧いて出てくるとりとめない不安にはむしろ関連性なきものと断じてしまっていいかもしれません。人間ってそういうものですから。複雑だし、己のすべてを完璧に制御できる誰かしらがいるとしたら、きっとそれは人間ではなくて究まったAIかなにかです。あるいは神さまかも。
七瀬だってそう。彼だってきっとそう。人の心は複雑で、必ずしも律しきれないものだから。不安になるし、ふわふわと浮ついてしまうのです。胸を突くよう噴出した感情に翻弄され、どうにか吐き出したくてもがいてあがいて、大声で叫びたくなったりするものなのです。
「……っ、バカヤローーー!!!!」
実際、叫ぶことにしました。もちろん自分の意思でもって、叫びます! と決めたわけではありませんでしたけれど。自然と、無意識にそうしていただけですけれど。
「あはは」
こんなに声を張り上げたことはなかったように思います。なんだか笑えてきて、自分で自分がばかばかしくて可笑しくなって、くすくすくすと自分を笑いながら、背中からどっと砂の上へと倒れ込んで。ふふふ、くすくす、こらえきれずしばし七瀬は笑い続けて、
「なんだい、ずいぶん楽しそうじゃない。心配して損しちゃったなぁ。は~あ」
今夜の間、ずっと見たいと願った顔が自分を真上から覗き込んでいて、七瀬はぽかん。口をあけました。
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担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオSSS(600)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
NPC交流
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年12月14日
参加申し込みの期限
2023年12月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年12月21日 11時00分
参加キャラクター一覧
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