芽森菜々緒の迷走｜リアクション

芽森菜々緒の迷走

　そんなこんなで、割とゴリラな冒険者達のおかげでミミックはあっという間に全滅した。
　理不尽！

　残されたのは金銀財宝、そして奇妙な紫の禍々しいオーラを放つ宝玉だった。
「……これだ。妾の帰る『鍵』は、これだ。よりにもよって、な」
　ラピスが忌々し気に言葉を吐く。
　そしてダンジョン攻略に参加した面々に頭を下げた。
「皆の者、大儀であった。これは……星の力の残りカスが固まった代物だ。本来は、月影塔で浄化されて循環すべきエネルギーなのだが……」
　曰く、寝子島とも接続が上手くいかなかったのは、これが原因らしい。
　ラピスは星の力を紫の玉へ注ぐと、急に目の前に扉が出現した。
「皆の者も、この扉から『変えるべき場所』へ戻れる。妾も帰るとしよう。……だが、近いうちにまた力を貸してくれないだろうか？　こんな芸当を出来る者は、我が宿敵しかおらん。奴との決着を着ける日が近付いてきているのだろうな……」
　そう言い残し、ラピスは一礼した後に扉をくぐっていった。
　なお、残された金銀財宝は冒険者達に山分けされたのだった。

　冒険者達も扉をくぐると、それぞれの居場所へ帰ってこれた。
　菜々緒は気が付けば、東京都内の某高級ホテルのスイートルームの自室にいた。
　シオとタルトは再び星幽塔へ出向く口実がいくつかできてワクワクしていたし、桜井は目撃したアレが衝撃が強くて未だにドギマギしていた。
　刀は海の機嫌を取るべく、刀の自宅で泊まり込みの勉強デートを行うことになったので、二人で夕食の買い出しに出かけた。
　手蹴は捕獲したミミックを食用に飼育するべく、まずは何をしたら美味しくなるかを考えていた。
　桜に至っては、巻き込まれた時間が深夜だったので、こっそりシャワーを浴びて身体の火照りを抑えるのに苦労したらしい。

　そして、ただひとり、ラピスを思う真白が寝子島の上空を見上げていた。
　うっすらと見える星幽塔は、以前に比べるとだいぶ上空へ上昇してしまっている。
　これも、ラピスの言う宿敵……ブリュンヒルデの仕業だろうか。
　そういえば、ブリュンヒルデの目的は、星幽塔の世界とここ寝子島の現実世界との融合だと言っていたことを思い出す。
「……そうだね。ラピスちゃんに酷いことした悪い奴を、懲らしめないとだね！」
　受験勉強の傍ら、気分転換がてらにトレーニングをしておこうかな……と考え始める真白であった。

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あとがき

担当マスター：焼きスルメ
ファンレターはマスターページから！

　ご参加いただき、誠にありがとうございました。
　ラピスは星幽塔へ戻り、菜々緒もようやくお役目を終えて東京へ帰りました。
　以降はプライベートシナリオで指名されない限り、菜々緒のシナリオへの登場は考えていません。

　今後は乾物がやり残した『月影塔』関連のシナリオとして、このまま地続きに物語は続いていきます。
『月影塔』の話は、拙作『【星幽塔】第一階層　マイ・フェイタル・シャドウ』に登場します。
　もし、気になる方はご参照下さい。
　らっかみ！ラストスパートに向けて『月影塔』も完結させますので、またお付き合いいただければ幸いです。

　それでは、ダンジョン攻略、お疲れ様でした。
　次回の冒険をお楽しみください。
　イザユケ、ボウケンシャー！

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