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【モグラ女子の憂鬱】
知ってました? ファッションモデルとグラビアアイドルをいっしょくたにやってのける二刀流な才能の持ち主を、モグラ女子と呼ぶのだそう。駆け出しが仕事を選ばず引き受けまくっていたらいつのまにやらそうなっていたり、一方のお仕事の延長としてもう一方へも挑戦してみたチャレンジャーがモグラ女子となったり、あるいはどちらからもオファーされてなるべくしてなったというケースもあったり、きっかけはいろいろながら、彼女らが稀有なのは男性へも女性へも等しくアピールをおこたらないという点です。整った容姿やゴージャススタイルの持ち主である、というだけではいけません。美しくあり続けながらセクシーポイントも有し、それでいて定番から奇抜まであらゆるファッションを着こなさねばならないのです。そりゃあもう大変です。なにが大変ってそれら全てを全うしながら、モデルとグラビア両方の(あるいはそれ以外も)スケジュールを管理してこなさなければならないのだから自然、お仕事の予定はすこぶる過密となるのでした。
佐和崎 紗月
、
初瀬川 理緒
のふたりがまさにそれ。いやそれ以上かも、ファッションモデルでグラドルで、現役マタ大生でもあるのですから。お仕事をこなしつつ、講義も試験もおろそかにはできません。
ふたりで住んでいるシーサイドタウンのマンションにて、ソファにぐーったりと沈みこみながら、理緒は絞り出すように言いました。
「ちょっとさあ……ヤバくない?」
「うん。詰めこみ過ぎだよね」
紗月もこくこく、うなずきます。
ふたりの場合自ら望んだというより、話題性がそれぞれの枠にはめ込まれるのを許さなかったというところでしょうか。件のカミングアウトやそれに付随する騒動、心労ありつつもおかげさまでというかなんというか、仕事はまさに爆増となりました。お騒がせアイドル扱いはあくまで本意ではありませんけれど、ともかくひとつの道を究めようと志すならじゅうぶんに過ぎるスタートラインに立ったと言えるでしょう……それにともない増えまくった仕事のすべてをきっちりバッチリ、完遂することができたなら、ですけれど。
「マネージャー仕事取ってきすぎ……」
「でも、私たちのためにやってくれてるんだし」
「そうなんだけどねえ~」
紗月はこれで案外、まだ余裕があるほうかも。モデルやグラドル業は大変だけれど新鮮だし、近頃はほんのり慣れてきたようにも思います。人見知りが足をひっぱることもあるものの、それ以上に紗月の優しさは責任感へと転化し、忍耐力の源ともなっているかもしれません。もう少し、がんばれそうな気がします。
心配なのは、理緒のほう。高校一年からグラドルを始めた彼女は紗月よりもずっと先輩で頼りになりますけれど、自己管理はちょっぴりニガテなようです。もちろんスタイル維持や美の追求への努力は欠かさず、天性の才もある理緒がアイドルを演じているときなどは本当にもう輝いている、と紗月も思いますけれど、もうちょいとばかりオンオフのメリハリをつけても良さそうなものです。
紗月が古書喫茶『思ひ出』について口にしたのも、そんな理緒の息抜きと考えてのことでした。
「ええ~、お休みの日に本なんて読みたくないなあ」
「無理に読まなくてもいいよ。それに文字のない本だってあるし……とにかく、いい雰囲気のお店だから、理緒ちゃんと行きたいなって」
「むむ。紗月にそう言われると弱いな~」
息抜きは大事です。お休みの今日はふたりそろって、読書休暇とすることにしました。
ほへえ、と思わず気の抜けた声をもらしてしまい、隣を見れば紗月がくすりと笑みをこぼしておりました。だってあんまり、素敵だったから。
「なるほど、いい雰囲気! 紗月がお気に入りなのも分かるな」
「理緒ちゃんは? 気に入った?」
「う~ん。そうだなあ……」
腕組み、ちょいともったいぶってから、
「もっちろん」
「だと思った」
店主は紗月を見て、今日はお友だちといっしょなんだね、例のあの子だね、あのときは大変だったね……なんて余計なことを言ったり尋ねたりすることもありません。ただひと言のいらっしゃいませと、メニューを指してくれたのみ。
注文したコーヒーが届いて、なんともそそる香りをしばし堪能したのち、ひと口。ふた口。
ほっ、と思わず吐息をもらしました。絶品、とか特別な、とか枕詞がつくわけではないけれど、疲れたカラダもココロもほぐしてくれるような、なんとも安心する味わいです。
ひと息ついたところで紗月を見ると、早くもなにか読み始めています。店内の本棚にはこんなにも多くの書籍がみっしり詰まっているというのに。
「試験前であんなにこむずかしー本読みまくってるのに、まだ読み足りない? なに読んでるの?」
「あれは勉強のためだもの。これは息抜き……猫田 爪彦の『虜囚列車』よ」
「あ、それ知ってるかも! 最近話題になってたよね、なんとかっていうゲームに出てきたとかで」
『焚書官かく語りき』
は読書を禁じられたディストピアを舞台に、書物から作者である文豪を呼び出しともに戦いながら希少な本たちを保護してゆく……というスマホアプリで、これがなかなかの人気作なのだとか。アプリのなかで、代表作『虜囚列車』から現れる猫田 爪彦の現代的解釈も、これがなかなかのヒット。人気キャラクターなのだそうです。
本を読まない理緒が知っているくらいだから、紗月も目にしてはいたのでしょう。こくりとうなずきました。
「とってもいいお話よ」
あらすじをなんとなく聞いてみたものの、ブンガクサクヒンとかコテン小説とかにあまり縁のない理緒には残念ながら、ピンときません。けれど語る理緒の顔はなんだか穏やかで、それでいて複雑そうに眉を下ろしていて……きっとなにか、彼女の記憶と紐づく一冊なのでしょう。理緒はそう察しました。
あまり紗月の読書を邪魔するのも気が引けるもので、
「あたしもなにか読んでみようかな」
「うん。それがいいよ」
理緒も書棚の一角へ向かいます。といって活字がいっぱいの物語なんかは理緒的にツラいので、写真集あたりを探してみることにします。
実を言えば理緒はマタ大写真学科の学生なのです。若さがもてはやされるモデルやグラドルはいつまで続けられるか分からないし、将来的にはフォトグラファーを目指してみたい! なんてマジメな夢だってあるのです。良質な写真にふれることは目の保養になるばかりでなく、撮影者目線で見る目も培ってくれるでしょう。
「えーと。『日本全国、ソソる廃墟写真100選』……なんだこりゃ。『世界の絶景写真集・ヨーロッパ編』……悪くはないけど、今の気分的には……ああ、これこれ!」
ベストな一冊、水分 輝昭『猫またぎ 第三集』を発見! さっそくぱらり。
「ふおおおお……」
「なあに、理緒ちゃん? いい本見つけた?」
「これこれ、見てよこれ!」
「わ、かわいい……!」
水分さんといえば猫写真。あたらしい写真集が出ると思わず買っちゃうくらい、理緒も大ファンです。
「一枚一枚、どれも猫たちへの愛情が感じられてさ。いいんだよねえ」
「うん。癒しだね」
「ほんと、そう! もー全人類、水分さんの写真集を見てれば世の中ケンカも争いも起きないと起きないと思うよ、マジで!」
「ふふ……そうかもね」
猫の愛らしさはもちろん、見栄えのいい構図や効果的な画角、どんな技法が使われているのか? なんてところにも注目しつつ、理緒は写真集を堪能しました。
紗月は思います。理緒ちゃんはやっぱり、すごい。持てるものをフルに活かして、大活躍。それでいて天真爛漫、紗月をぐいぐいと引っ張ってくれて。今日のように時おり沈んでしまうこともあるけれど、きっかけがあればすぐにも、こんなにも明るくきらきらと輝くような笑顔を見せてくれます。
自分はどうだろう?
手元には猫田 爪彦、『虜囚列車』。友情と、そして裏切りの物語。作者たる猫田本人も、友人とのすれ違いに惑ったのだといいます。幸い紗月には、親しく友人以上の存在である理緒がいてくれるし、信頼しているし、幸せですけれど。
そういえばこれを始めて読んだのは中学生の頃でした。ふと、感情がよみがえります。
(あの頃はまだ、自分にピアノの才能があるって……根拠もなく、思いこんでたっけ)
練習のかたわら作曲にもいそしみ、かつて『虜囚列車』をモチーフにして作ったフレーズが頭をよぎるとわき上がる、えもいわれぬ気恥ずかしさ。紗月は思わず頭を振ってメロディを追い出しました。
願えばかなう、なんて。夢見る若者に現実は非常です。大抵は。もちろんつつがなくかなう夢もあるでしょうけれど、紗月が経験したのは挫折のみでした。
(まあ、ちょっと大げさだけど)
今となっては、そう、まさにこのお店の名前のごとく思い出です。懐かしみはするけれど、いまだ癒えない傷あととまでは言えません。
もっとも、知らずのうち癒してくれたのは、かたわらの彼女の存在だったのかもしれませんけれど。
「ふふ」
「ん? 笑えるシーンでもあった?」
「ううん。やっぱり、理緒ちゃんといっしょに来て良かったなって」
「そうだね、確かにいいお店。あたしも気に入っちゃったかも。また来ようよ」
に、とあけっぴろげな笑み。こんな笑顔がすぐそばにある今を手放して、またあの頃に戻って夢を追いかけたいとは思いません。
「あ、ちょっと紗月、見てよこれ! この猫! やばいから!」
「わあああ、かわいい……!」
「でしょー、やばいよね!? 水分さん最高!」
休日の午後。読書を満喫……しすぎたふたりは、少しおそい昼食のためにお店を探して、街を歩きます。
明日からはまた大学の講義にモデル、グラドルのお仕事と忙しい日々が待っています。嵐のように、ドトウのごとく押し寄せる日々が……けれどふたりがそろえばきっと、無敵。なんにだって立ち向かっていけるはず。
「なに食べよっか?」
「……お寿司」
「うえっ。紗月、マジで?」
「久しぶりのお休みだし。またすぐ忙しくなっちゃうし。食事制限で、しばらく美味しいものも食べてないし」
「うん、そう、確かに。よーし、今日は思い切って、ゼータクしちゃおっか♪」
仲むつまじく、つめたい風におたがい身を寄せながら、ふたりは雑踏へ溶けてゆきました。
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担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
9人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年12月02日
参加申し込みの期限
2023年12月09日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年12月09日 11時00分
参加キャラクター一覧
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