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古書と思ひ出、時どき珈琲
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【猫の生きざま、彼の生きかた】
たまには知らない店もいいもんだ。ちょっと冒険してみたくなって、
万条 幸次
は目に付いた看板をたよりに扉をひらきました。
古書喫茶『思ひ出』。なんていい名前でしょう。ノスタルジックであたたかみある響きにわくわく。
「いらっしゃい。お好きな席へどうぞ」
「あ。どうも」
店主はぐいぐい来るでもなくお客ほったらかしの不愛想でもなく、ちょうどよい距離感。
店内をぐるり見回せばまずは目につく、おびただしい数の本たち。すごい数! どれだけあるのか見当もつきません。ジャンルもさまざまよりどりみどり、小説に詩集に絵本にエッセイ、哲学書やら実用書やら。写真集なんかもあるようです。
それらを収める書棚も年季が入っていて、今さら気づいたけれどお店の内装だってオシャレで素敵です。使いこまれた木の風情に、天井から降りそそぐやわらかな電球色。本たちの並びの色とりどりさえインテリアとして組み込まれ、古書喫茶というほっとするこの空間の演出に一役買っているのでしょう。
幸次は心落ち着いて、日常の平穏安寧をあらためて実感します。
「いいお店だな……」
カウンター席へ荷物を置くと、オレンジジュースを注文。幸次もさっそく、本を選びます。
「すごい数だなあ」
あっちを向いても本。こっちを向いても本。本、本、本……あんまりにもたくさんありすぎて、選べない!
書棚を行ったり来たりするうち、ふと、一冊の背表紙に目がとまりました。
「あ……これがいいな」
『吾輩はにゃんこである』。日本一有名な、猫目線の人間観察日記でありました。
古典小説ということで、幸次の読書スタイルは手元にスマホをおき、ちょっとばかり難しい単語やら時代背景に特有の表現などを調べつつ読み進める、という形に落ち着きました。少々お行儀がわるいかな、と店主の顔色をうかがうもにこりと笑みを返されたので、問題なさそう。
心地よい静けさに満ちる店内で、ぱらりとページをめくれば自然と、没頭します。
(吾輩はにゃんこである。名はまだない……)
有名に過ぎる出だしは、小学生の頃に国語の教科書でふれたことがありました。けれどそれは抜粋で、最後まで読んだことはありません。物語の締めくくり、にゃんこのたどる結末も、幸次は知りません。
少し読み進めると、さっそく難しめ~な単語がちらほらとあらわれます。
「見始? 剿滅? 通人論……?」
しかしまあ文明の利器とは便利なものでして、スマホの画面をしゅしゅっぺもぺもと少しなぞればその意味を教えてくれました。ふむふむなるほど。
(……あ、あれ? ガールフレンドのにゃんこ、死んじゃうんだ……)
そしてこの物語へふれる読者が痛いほどに気づかされるのは、猫にとっていかに死が身近なものであるかということ。ヒロインにゃんこは風邪をこじらせ死んでしまうし、お隣の奥さまにゃんこの子猫は捨てられてしまうし。描かれた当時の時勢もあるでしょう。けれど幸次には、ことに彼の猫好きもあって、なかなかのショックです。
だから最後のページへ差し掛かったときなどは思わず、
「ええっ!? にゃんこ死んじゃった……!」
大きな声をあげてしまいました。店主とまばらな客たちの目線が一瞬あつまり、幸次は頭を下げました。
「す、すみません……」
「いいよ。それだけ派手にリアクションしてくれたら、かの文豪も喜ぶだろうさ」
恐縮しながらも最後まで読み進め、幸次はなんともいえない感情とともにぱたんと本を閉じます。
しばし、うーん。考え込んでしまいました。
「どう思った?」
イタズラっぽい顔を浮かべた店主に尋ねられて、幸次は目をぱちくり。
「ええと。教科書にのってるような名作に、俺がなにか言うのもおこがましいけど……」
「大丈夫、作者の耳にはきっと届かないよ」
どちらかといえば、文壇で批評されたりなにかと引き合いにだされるようなド定番へ意見を述べることへの居心地の悪さが大きいですけれど。
またしばし考えをめぐらせてから、口を開きました。
「そうですね。普通に生きて、悔いなく死ぬ……って案外、むずかしいんだなあって」
「ほう」
「主人公のにゃんこと同じ状況になったとき、きっと俺なら、あんなふうに悟れないし。にゃんこの生き方も、なるようになるし流れに身を任せるって感じだったし……なんていうか、すごいなって」
といった感想が正しいのやら、幸次には分かりませんでしたけれど、少なくともうむうむっと満足そうにうなずいた店主の反応を見るに、そう遠からずといったところでしょうか。
氷がとけて少しぬるまったジュースを飲み干すと、店主にお礼をつたえて店を出ました。
旧市街の古書喫茶。なんともよい店を見つけたものです。また来ようと思いながら、帰り道を歩き出します。
酩酊の末におぼれて死んでしまったにゃんこは、水に抵抗するのもそこそこに、心の太平を抱きながら逝きました。それがよきにしろ悪しきにしろ、そんな終わり方はなんだかちょいと、かっこいいではありませんか。
自分はどうだろう。最後まで悔いなく生きられるだろうか。難しそうだけれど、ちょっと考えてみよう。そうあるためには、自分はどうするべきなのか。
「……なんだか妙に、彼女に会いたいな……」
考えるなり浮かんできた少女の微笑みに、幸次の顔はほんのり、赤面しました。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
9人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年12月02日
参加申し込みの期限
2023年12月09日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年12月09日 11時00分
参加キャラクター一覧
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