お餅が攻めてきたぞっ！｜リアクション

お餅が攻めてきたぞっ！

　そうこうしているうちに、月詠が御剣と楡宮を引き連れて桜花寮の食堂へ現着する。
「それでは行くぞ。みんな、ノミと木槌は持ったか？」
「「おう！」」
　偶然、月詠が作品作りのために道具を買いそろえた直後に舞い込んだこの作戦、おかげで固くなった鏡餅を粉砕する『武器』が都合よく手元にあったのだ。
　ただし御剣だけは使い慣れた木刀でソイヤッすると言って固辞した。
　そして何故か月詠だけが金槌で殺意が高い。
　この作戦に従事する面々にそれを配り終えると、月詠はスケブ絵に手をかざした。
　次の瞬間、鏡餅オバケが桜花寮の食堂に解き放たれた！
「皆の者、フォーメーションＯＭＴだ」
「「ラジャー！」」
　瞬時に全員が鏡餅を取り囲んだと思ったら、奴の頭の橙の飾りに黄色いカナリヤが飛び移った。
「もらったぜ！」
　それはろっこんで変身した桜井だった。
　人の姿へ戻ると、容赦なくノミで鏡餅の頭上を叩き割ってゆく。
　他の面子もこれに乗じて一斉攻撃を開始！
「あだだだだ！」
　悲鳴を上げる鏡餅。
　しかし、そこへ特に理由のない月詠の金槌の一撃が鏡餅を襲う！
「五月蝿い黙れ。観念するなら大人しくなれ食べ物。しかし大人しくなったとてそれはそれ。キミが割れるまで叩くのはやめない。この旅鴉月詠、容赦せんッ！」
　くわッと目をかっぴらいてドカドカと金槌で鏡餅を破砕してゆく月詠。
　月詠の覇気に当てられた参加者も、武器に自然と力が入る。

「イヤーッ！」
「グワーッ！」
「こんにゃろ！」
「グワーッ！」
「えいえいっ♪」
「グワーッ！」
「か、硬いです……！」
「グワーッ！」
「頑張って割るよ！」
「グワーッ！」
「早く食べさせて！」
「グワーッ！」
「ソイヤッソイヤッ！」
「グワーッ！　グワーッ！　アババババーッ！」

　こうして大激戦の末、鏡餅はバラバラ砕け散ったのだった。
　……何故か真っ白いおっさんだけを残して。