お餅が攻めてきたぞっ！｜リアクション

お餅が攻めてきたぞっ！

　月詠から連絡を受けた響タルトは、ちょうどシオ・レイゼルオークと合流するところだった。
「はぁ……レシピも食べる気もあるので走るのはこのぐらいでって、言ったのですが……」
　シオの話によれば、鏡餅は「今すぐ喰え！」とせがんでくるので逃げざるを得なかった、と。
　どうにか鏡餅を撒いて後、ＳＮＳのねこったーでタルトがお餅パーティー開催のお知らせを拡散しているのを目にしたシオは、もしやと思って直にタルトへ連絡を取った次第だ。
「思わず逃げちゃったけど、自由にお餅食べられるのって楽しいかもっ♪　桜花寮なら調理場を借りられるね。寮住まいだし実家から餅も送られてこないから、それほど餅に飽きてないんだよね。でも僕はそれほど料理には詳しくないけど、お友達のシオさんに来てもらって助かっちゃった！」
　タルトは先日、鏡餅に追いかけられた日からずっと考えていた。
　どうにかあの鏡餅オバケを成仏できないものかと。
　そこで考え付いたのが、桜花寮での餅パーティーであった。
　タルトはＳＮＳで詳細を伏せたまま段取りを進めてゆき、この告知反応してくれたもれいび達にだけ鏡餅オバケの事を伝達した。
　というわけで、桜花寮の食堂には現在、協力者がこぞって集っていた。
「みんなお待たせ！この前の餅怪人？がくるって聞いたからスーパーで餅に合わせる色々買ってきたよ。調理できる場所も貸してもらえるんだって？」
　タルトと一緒に鏡餅オバケに追いかけられた猫友達こと万条幸次が、両手にパンパンに膨れ上がった買い物袋を提げて登場。
　桜井ラッセルも鏡餅オバケの到着を、今や遅しと待ち構えていた。
「いや～、千と追いかけられた時はどうなる事かと思ったけどな！　餅は美味いし、寒くなってきたり正月には嬉々として俺も桜花寮のみんなも好んで食べはするんだけどな～……って、そんな感じで、俺自身はレシピはねぇけど、その分、食べるの協力するよ。……こら千、逃げんな！」
「餅は食べ飽きた、勘弁してくれ」
　桜井の友人である海道千里がこっそり食堂から逃げさそうとするのを、桜井がその襟首を掴んで阻止した。
　だが本人はもう餅は食べ飽きたようだが……？
　桜井は先行き不安になりながら、先日の騒動を振り返っていた。

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