お餅が攻めてきたぞっ！｜リアクション

お餅が攻めてきたぞっ！

　こうして、大量の餅は桜花寮の食堂にやってきた他の寝子高生にも振舞われて、大盛況のうちに幕を閉じた。
「ごちそうさまでした。それでは後片付けを」
「あ、シオさ～ん！　片づけは気にしないで～。あとは僕の弟を呼んでやらせておくからっ♪」
　この瞬間、桜花寮に住まうタルトの弟は、自室で謎の悪寒に襲われるのだった。
「それにしても、シオさんや幸次くんのお餅料理、ぜんぶ美味しかった！」
「タルトさんの猫さん型おかきも可愛かったです」
　シオはお土産にもらった猫の顔の形をした揚げおかきをタルトへ見せる。
　これは月詠の考案であった。

『余った餅は、口が広く、揚げ物油を入れた鍋或いはフライパンで素揚げするといい。低温弱火でじっくり揚げよう』
『どうだ、おかきである。味付けは塩、七味を足してもいい』
『保存するならしっかり乾燥させるといい。油も吸って長持ちする。お土産に最適だ』

「そういえばおかきってお餅を揚げて作るものだったねっ。旦那さんにも食べさせてあげられるねっ！」
　タルトがニコニコと笑顔を向けると、シオは黙り込んで耳まで真っ赤に染め上げたのだった。

　一方、桜井はおかきがはいった竹編みの小さな篭を用意すると、ろっこんで再びカナリアに変身する。
　そして篭の取ってを両足で掴むと、窓から外へと飛び出ていった。
『この餅まみれ俺らだけじゃ無理だって！　桜花寮の奴らでも余るくらいだからな。こんな時は……！』
　空を飛んで、到着したのは人間の知らない鳥達の集会場。
　そこへおかきの入った籠を置いて、ぴぴぴっと鳴いて集合を掛けた。
『みんな、差し入れだ！　この季節、みんなが食べ物なくて困ってんの、気にしてたんだ』
　桜井の呼びかけにどこからともなく街中に住む野鳥たちがあつまり、一斉におかきをくちばしで突っついていく。
『おおっ！　ニンゲンのクイモノだ！』
『いい匂いする～』
『カリカリしてて美味しいぞ！』
　こうして野鳥達へもお餅をおすそ分けできたことで、鳥の集会場の木の下で腕組待機していた餅の妖精のおっさんは、満足げに姿を消していったのだった。

このページにイラストを設定する

あとがき

担当マスター：焼きスルメ
ファンレターはマスターページから！

　ご参加ありがとうございました。
　皆様のお餅レシピに、乾物はとてもお腹が空きました。
　流石にスルメで餅を包む猛者はいなかったかー。

　イイ感じにわちゃわちゃしたフツウを描けたと思います。
　お気に召して頂けたのなら、是非とも感想・ファンレターなどお待ちしております。

　それでは、またご縁があればお会いしましょう～。

↑ページトップに戻る