お餅が攻めてきたぞっ！｜リアクション

お餅が攻めてきたぞっ！

　ここからはお餅のオリジナルレシピを数多く持つシオが大活躍する。
「タルトさん、お手伝い助かります。今日は簡単なレシピ中心です」
　そう言うと、スマホのメモ機能を立ち上げてみせたシオ。
　メモに書かれたレシピの数に、タルトは思わず目をぱちくりさせていた。
「すごっ！　これ、全部作るのっ？」
「ええ。幸い、食材沢山ありますから作れます」
　シオは幸次が買い込んでくれた食材や調味料を物色しながら、うんうんと頷く。
　これらを使って、シオは手早く調理を進めていった。
　使うのはインスタントスープの元。パスタソース。一口チーズにチョコ大入り袋。インスタントぜんざい。片栗粉。砂糖だ。

　まずは紙コップに、一口大の餅と、チョコ２～３粒を投入して混ぜる。そこへインスタントぜんざいとお湯を少々を加えたら完成。
「チョコ餅ざんざい。温度に気をつけて火傷に注意だよ」

　続いてはカップスープの素を柔らかくなった餅と一緒にカップの中へ入れた後、熱湯を注いでぐるぐるかき混ぜるだけ。
「餅クルトンのシチュー風スープ。一口チーズを入れると味変できて更に美味しいよ」

　今度はパスタソースを使う。
　耐熱容器に、一口大の餅、パスタソースを交互に重ね敷き、一番上にチーズをのせてレンジで加熱するだけ。
「餅ラザニアの完成。具を追加したり、オーブン使うより豪華になるよ」

　そして定番の甘味も忘れない。
　こちらは至ってシンプル。柔らかくなった熱々のお餅に、片栗粉をまぶしながら砂糖を混ぜて丸めてゆく。
　最後に本来包むべき餡を上に乗せるだけで、映え重視の和スイーツの完成だ。
「あんこ以外にも、チョコと一口チーズも合うよ」

　あっという間に４種の餅料理を完成させたシオ。
　タルトも懸命に手伝ったことで、大量の餅が次々とテーブルに並べられていった。
「やっと餅が食べられる！　いただきます！」
　目を輝かせる楡宮が、いの一番に餅へ手を伸ばした。
　そしてあっという間に１個を“吸い込んで”みせた。
「美味しい！　無限にイケそう！」
　これを皮切りに彼女の食欲が超新星爆発を起こした。
　そこに鎌倉名家の令嬢たる外見からは想像できない貪欲さを発露させる。
　しかし食べ方は上品そのもの。上流階級のお嬢様らしいフードファイターの降臨である。
「もっと、もっと持ってきなさい！　これでは全然足りないわ！」
　シオのオーダーを既に一巡してしまった楡宮はお代わりを要求。
　これに負けじと『寝子高の元祖食いしん坊』の異名を持つ御剣も負けてられない。
「たくさん食べるにはどうすればいいか？　その答えはスピードだ！　自分の満腹中枢が機能する前に圧倒的な速度で完食すればいい！　だから俺は加速する！」
　流石に一般人がいる絵の前でろっこんを使う訳にはいかないが、その気合のおかげか凄まじいペースで御剣も餅を平らげていった。
「わわわ、二人だけですごい量が消費されてくね！」
　幸次は急いで需要に追いつくべく、母親から教わったお餅レシピをシオとタルトと一緒に調理していく。
「あんこは王道だし、きなこも外せないよね。ずんだもいいよね。今はかけるだけのお手軽えだまめ餡が市販されてるし」
「俺もそろそろ食べたい！　リポーター飽きた！」
　桜井もテーブルへ移動して、焼かれた餅に醤油を垂らしてびよーんと伸ばす。
「うん！　シンプルが一番だな！　と言いつつだが、うまい！　シオさん天才！」
　シオの餅レシピ料理に桜井はいたく感動していた。
「ぜんざいチョコ入りなんて良く思いついたな。しかも味のバランスも抜群だ。ほら、甘、辛、甘の無限ループでまだまだイケそう！　って、海苔とチーズとか絶対美味しいだろ！　シェアしよぜ！」
　桜井は幸次が新たに持ってきたメニューについつい手が伸びる。
　そして肝心の監督役を自称する風紀委員ぴりりに、幸次は焼き立てのツナマヨ餅を差し出した。
「お待たせ。熱いから気を付けて」
「こ、こんな賄賂でお目こぼしを貰おうなんて甘い考えなのです！　でも出された物は粗末にできません、いただきます！」
　ぴりりがツナマヨ餅を頬張った瞬間、彼女の目にハートマークが浮かび上がった。
「なんですか！？　この犯罪的美味しさは！　けしからんのです！　もっと持ってくるのです！！」
　バンバンバンと机を叩くほどツナマヨ餅をいたく熱望するぴりりであった。
「即落ち２コマかぁ、風紀委員、ちょろいんだけどいいのか？」
「いいんじゃない～？　寝子高じゃないから知らんけど。つかこれ美味っ！」
　桜井は千里と一緒にザーサイ餅に舌鼓を打っていた。

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お餅が攻めてきたぞっ！

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