芽森菜々緒の再訪｜リアクション

芽森菜々緒の再訪

　――東京都内・某有名超高級ホテルのスイートルーム。

　芽森菜々緒はタクシー運転手にチップを手渡して降車すると、連泊しているホテルのスイートルームへ戻ってきた。
「……寝子島でもタクシーを使えばよかったわね？」
　今更ながら抜本的な解決策を見出した菜々緒は、次回の訪問の際にはタクシーを活用しようと心に決めた。

「ただいま。戻ったわ」

　菜々緒はオートロックの扉を開いて室内に入ると、当たり前のようにこう呟いた。
　だが単身で連泊するならば、わざわざ『ただいま』なんていう必要はない。

「ようやく帰ったか！　妾は待ちくたびれたぞ！」

　室内から幼い声で老獪な口調が聞こえてくる。
　とてててっと勢いよく駆け出してくる足音。
　深紫の長い髪をなびかせ、吊り上がった金の目を嬉々として弧に歪ませる。
　どう見ても10歳前後の少女が菜々緒の腹部へ目掛けて飛び付く。
　しかしその頭には、ダイアモンドで出来た２本の角が生えており、菜々緒の腹をドスッと突き刺してしまう。
「痛っ！！　だから、角が刺さるから飛び付いてこないでって言ったでしょ？」
「ククククク！　妾からの寵愛を無碍にするとは、ナナオは恐れ知らずだな！　だがそこが気に入った！」
　角の生えたチビッ子が、菜々緒から離れてベッドの上でぴょんぴょん跳ね回る。
　菜々緒はがっくりと疲れ切ってしまい、もうひとつのベッドの上に身を投げ出してしまう。

「はぁ……絶対に、あなたを月影塔へ帰してみせるわ、ラピス？」

「嫌じゃ！　妾はまだまだ『こっちの世界』で遊び倒すのである！　ククククク！」

　ラピス・Ｄ・マクレガー。
　月影塔第一階層『ジェミニ・マキナ・レギオン』大元帥にして『かげびと』の女王、そして人形の魔女。
　彼女は今、菜々緒の元へ転がり込んで居候中なのだ。

「日を改めて、また出かけないとだわ。これ以上、私のフツウが壊されないためにも……！」
「ナナオー！　暇を持て余した妾を構え！」
「はいはい」
　ラピスに纏わりつかれる菜々緒は鬱陶しそうに眉尻を下げるが、どこか楽しそうでもあった……。

【続く……？】

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あとがき

担当マスター：焼きスルメ
ファンレターはマスターページから！

　お久しぶりです。乾物です。
　復帰後の１本目のシナリオガイドにご参加くださり、ありがとうございました。
　最初、気合が入りすぎてリアクションの総文字数が18000文字まで膨らんで、泣く泣く削るという作業をしてました。
　寝子島時間で２年間で相関図も変わってて、正直もっと描写したかったです……。

　そして今回のリアクションのオチ。
　みんなそこまで警戒しなくてもいいよ！って乾物は苦笑いを浮かべながら見守ってました。
　菜々緒のシリーズシナリオは今後も継続しますが、以前のような殺伐とした内容ではないのでご安心ください。
　いわゆる『逆異世界召喚モノ』です。よろしくお願いします。

　それでは、今後は月１～２本ペースでシナリオガイドを公開してゆく予定です。
　らっかみから離れた方もお声がけしてみたり、これから乾物のシナリオに関わったり、どなたでもウェルカムです。
　今後とも、どうぞ乾物ことMSの焼きスルメを御贔屓に願います。

　※次回予告※
　Yes！　100％カオスなシナリオガイド！　お楽しみに！

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