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- 種族
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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
Happy birthday, dear Lynx.
【あたらしいふたり】
彼の手をきゅう、と握ります。ほとんど無意識、自然とそうしていました。旧市街の往来に人どおりも決して少なくはなく、彼はちょっぴり眉を困らせましたけれど、すぐに口元をほころばせて、少しだけだよ。と言いました。
確かに近ごろ、ユルみがちかも……先生と生徒のヒミツのカンケイ、誰かに見られてしまったら大変です。彼は先生をやめさせられてしまうかもしれませんし、自分だってきっと良いことにはならないでしょう。大騒ぎです。もう少し、いま少し、節度をもって行動すべきなのかもしれません。
ああ、けれど。けれど、です。ままならないのが人の情。とめどないのが恋心。彼も……おなじ気持ちでいてくれるのでしょうか？ だからこその『少しだけ』、でしょうか？
見上げたなら今日の寝子島へ降る淡雪の、なんて真白く幻想的なこと。まるでふたりのひめごとを、うっすらとヴェールに覆い隠してくれるかのよう。
そんなわけで、綾辻 綾花と早川 珪はふたり、旧市街をゆったりと歩んでおりました。大事な用事があり、イチャイチャデートは本日の主題ではないものの、手をつなぎなにかと微笑み合うそのさまはまったくもってイチャイチャデートであり、クラスメートやら同僚の教師やらに見られてしまったら……と懸念を抱かなくもないのですけれど、幸いにしてそうした誰かとすれ違うことはありませんでした。
「あ、こっちにいくと、『OLDLYNX』の前をとおってしまうね」
「そうですね、あっちにしましょう」
馴染みの古書店を避けているわけではなく、今だけはその店主を顔を合わせたくないので。秘密にしたいので。あの一見とっつきづらくも話してみれば懐っこく、さっぱりとしてドライな話し口にうっかりなにもかも、バラしてしまいそうなので。
きたる１月１１日、１並びの日はOLDLYNXの店長、馳 つるぎの誕生日。ハッピーバースデー！ その日をサプライズプレゼントでお祝いしたい、というのが今日の主題でありました。
ただ、どこまで隠しとおせるものか。先月は珪先生の誕生日があり、綾花はやはりサプライズでプレゼントを贈ったのですけれど、それをいっしょに選んでくれたのがまさに、件のつるぎさんであったわけでして。彼女の誕生日を尋ねたのもその際でありましたし、もしかしたらなにか、悟っているのかも。ちらり、期待しているのかも？
とはいえまあ、心のこもった一品を贈りたいという気持ちに変わりはなく、今日は彼女にぴったりななにかを探し出して選ぶつもりです。
「それで綾辻さん、どんなものを贈るか、目星はついてる？」
「うー。それがまだ、あんまり……」
つるぎとは知り合ってしばらく経ち、例えばどんな食べものが好き？ とか休日はなにして過ごしてるの？ とか、カレシいる？ とかなんとか。日常のなかで尋ねたりして、彼女の人となりについていくらか分かってきたこともあれば、まだまだ知らないこともたくさんです。それを知ってゆく過程もまた、楽しいものですけれど。
ともかく、ふたりにとって大切な友人であるつるぎへベストな誕生日プレゼントを、これだ！ という逸品を見つけ出すのが今日のミッションというわけなのです。
「まあこうして歩いてるうち、いいお店やいい品物と、いい出会いがあるかもしれないからね」
なんて彼はのんびり、言いました。彼もまた、この瞬間を楽しんでくれているのなら、嬉しいな。綾花は思います。
思い出すのはクリスマス。あの瞬間を経て、あの一瞬を得て、ふたりの関係性にもひとつ区切りをまたいだ気がします。まだ、そう、明確な名前はないこの間柄だけれど……ぐっと彼を近くに感じます。
だから、『少しだけ』。抑えがたく弾む想いをぎゅうっと押さえ込むように、彼の手のひらを握り込むのです。
「そういえば私、部屋を探してて」
「ああ、もうすぐ卒業だものね。ひとり暮らしをするんだっけ」
どこか心配そうに言う彼へ、綾花は苦笑いを返します。寝子島はおおむね治安のよいところですしあまり心配してはいませんけれど、それならいっそ、
「珪先生のアパートに近いところがいいかな、って。それなら安心ですよね？」
「はは。そうかもね」
いいところがあったら教えてくださいね、と言うと彼はこころよくうなずいてくれました。ペットのにゃんこを飼えて、防犯対策もしっかりと盛り込まれたところならなおよし、です。
シーサイドタウンのいいところに、素敵な住まいが見つかるでしょうか？ 卒業したら、彼のアパートとしばしば行き来することになるかも……なんて。
「ふふ。楽しみです」
ぽいん、と綾花の足取りも跳ねました。
彼の手をきゅう、と握ります。ほとんど無意識、自然とそうしていました。旧市街の往来に人どおりも決して少なくはなく、彼はちょっぴり眉を困らせましたけれど、すぐに口元をほころばせて、少しだけだよ。と言いました。
確かに近ごろ、ユルみがちかも……先生と生徒のヒミツのカンケイ、誰かに見られてしまったら大変です。彼は先生をやめさせられてしまうかもしれませんし、自分だってきっと良いことにはならないでしょう。大騒ぎです。もう少し、いま少し、節度をもって行動すべきなのかもしれません。
ああ、けれど。けれど、です。ままならないのが人の情。とめどないのが恋心。彼も……おなじ気持ちでいてくれるのでしょうか？ だからこその『少しだけ』、でしょうか？
見上げたなら今日の寝子島へ降る淡雪の、なんて真白く幻想的なこと。まるでふたりのひめごとを、うっすらとヴェールに覆い隠してくれるかのよう。
そんなわけで、綾辻 綾花と早川 珪はふたり、旧市街をゆったりと歩んでおりました。大事な用事があり、イチャイチャデートは本日の主題ではないものの、手をつなぎなにかと微笑み合うそのさまはまったくもってイチャイチャデートであり、クラスメートやら同僚の教師やらに見られてしまったら……と懸念を抱かなくもないのですけれど、幸いにしてそうした誰かとすれ違うことはありませんでした。
「あ、こっちにいくと、『OLDLYNX』の前をとおってしまうね」
「そうですね、あっちにしましょう」
馴染みの古書店を避けているわけではなく、今だけはその店主を顔を合わせたくないので。秘密にしたいので。あの一見とっつきづらくも話してみれば懐っこく、さっぱりとしてドライな話し口にうっかりなにもかも、バラしてしまいそうなので。
きたる１月１１日、１並びの日はOLDLYNXの店長、馳 つるぎの誕生日。ハッピーバースデー！ その日をサプライズプレゼントでお祝いしたい、というのが今日の主題でありました。
ただ、どこまで隠しとおせるものか。先月は珪先生の誕生日があり、綾花はやはりサプライズでプレゼントを贈ったのですけれど、それをいっしょに選んでくれたのがまさに、件のつるぎさんであったわけでして。彼女の誕生日を尋ねたのもその際でありましたし、もしかしたらなにか、悟っているのかも。ちらり、期待しているのかも？
とはいえまあ、心のこもった一品を贈りたいという気持ちに変わりはなく、今日は彼女にぴったりななにかを探し出して選ぶつもりです。
「それで綾辻さん、どんなものを贈るか、目星はついてる？」
「うー。それがまだ、あんまり……」
つるぎとは知り合ってしばらく経ち、例えばどんな食べものが好き？ とか休日はなにして過ごしてるの？ とか、カレシいる？ とかなんとか。日常のなかで尋ねたりして、彼女の人となりについていくらか分かってきたこともあれば、まだまだ知らないこともたくさんです。それを知ってゆく過程もまた、楽しいものですけれど。
ともかく、ふたりにとって大切な友人であるつるぎへベストな誕生日プレゼントを、これだ！ という逸品を見つけ出すのが今日のミッションというわけなのです。
「まあこうして歩いてるうち、いいお店やいい品物と、いい出会いがあるかもしれないからね」
なんて彼はのんびり、言いました。彼もまた、この瞬間を楽しんでくれているのなら、嬉しいな。綾花は思います。
思い出すのはクリスマス。あの瞬間を経て、あの一瞬を得て、ふたりの関係性にもひとつ区切りをまたいだ気がします。まだ、そう、明確な名前はないこの間柄だけれど……ぐっと彼を近くに感じます。
だから、『少しだけ』。抑えがたく弾む想いをぎゅうっと押さえ込むように、彼の手のひらを握り込むのです。
「そういえば私、部屋を探してて」
「ああ、もうすぐ卒業だものね。ひとり暮らしをするんだっけ」
どこか心配そうに言う彼へ、綾花は苦笑いを返します。寝子島はおおむね治安のよいところですしあまり心配してはいませんけれど、それならいっそ、
「珪先生のアパートに近いところがいいかな、って。それなら安心ですよね？」
「はは。そうかもね」
いいところがあったら教えてくださいね、と言うと彼はこころよくうなずいてくれました。ペットのにゃんこを飼えて、防犯対策もしっかりと盛り込まれたところならなおよし、です。
シーサイドタウンのいいところに、素敵な住まいが見つかるでしょうか？ 卒業したら、彼のアパートとしばしば行き来することになるかも……なんて。
「ふふ。楽しみです」
ぽいん、と綾花の足取りも跳ねました。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2023年09月25日
- 参加申し込みの期限
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- 2023年10月02日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2023年10月02日 11時00分
