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【お正月】3つの世界を巡る魔行列車の旅
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元日営業を行う店舗が多く、シーサイドタウンはいつにも増して混雑していた。
その人波を
響 タルト
は物ともしない。小柄な体型を最大限に活かして巧みにすり抜けた。
手には切符を持っている。古めかしい硬券で『寝子島電鉄・霊界線』と印刷されていた。
――こんな素敵な招待チケットを貰ったら、本土の実家に帰省なんてしてられないよね。
タルトはポニーテールとコートの裾を弾ませて先を急ぐ。直感が働くままにシーサイドタウン駅へと向かった。
「やったね!」
目にした瞬間、小躍りして喜んだ。駅の手前のコンコースに待望の魔行列車が停まっていた。背にした青年は駅員のような制服を着てタルトを待っていたかのように微笑んだ。
「切符を拝見しました。ご乗車されますか」
「もちろんだよ♪」
にっこり笑って乗車を果たした。
「……これは、なかなか」
タルトは舌なめずりしながら乗客を見ていく。
――吸血鬼とサキュバスの組み合わせにはそそられるよね。絡みのバリエーションが多くて困っちゃうよ。
あっちはケモ耳だね。半身が蛇と馬も想像が膨らんで薄い本の構想がドバドバだよ~。
目を爛々と輝かせて、グフ、と妙な笑い声が時に挟まる。空いた座席には興味を示さず、タルトは小鼻を膨らませて車両を移った。
先程とは違って賑やかな声が耳に飛び込んできた。
タルトの表情が一変して笑顔で駆け出す。
「ラッセル君もいたんだね!」
「お、響も来てたんだな! あけましておめでとうっ!」
目を細めて笑う
桜井 ラッセル
の隣には中腰で窓に張り付く
海道 千里
の姿があった。
「すげぇ! 飛んでるじゃねぇか。おい、桜井、なによそ見してんだよ! 飛んで、ええぇ、ビルを通り抜けた!?」
「ウソ、じゃなくてマジじゃん! なんでもありかよ! やべぇし、すげぇし、爽快感がハンパねーな、これ!」
狭いところでラッセルと千里が押し合うようにして声を上げた。
風の精 晴月
は窓を占拠した二人の背中に阻まれ、見えなーい、と半ば怒った口調で頭を大きく左右に振った。
「こうなったら」
晴月の緑色の長い髪が急に揺れ始めた。白いワンピースのスカートが風を孕んで膨らむ。音もなくふわりと浮かんで上部の窓に顔を近づけた。
エメラルドグリーンの瞳が丸くなる。
「すごーい、飛んでるよ!」
「キミも飛んでいるんだけどね」
軽いツッコミを入れたタルトは自身もラッセル達の中へ突っ込んでいった。隙間に顔を押し込んで嬉々とした声を上げた。
「見晴らしが最高だね!」
それぞれが同意の声を出し、窓外の移り変わる景色に夢中になった。
引き続き、霊界の現実味の無い風景に驚き、各々が声を弾ませた。
時間と共に興奮が適度に収まる。四人は輪のような形で向き合った。
最初にタルトが勢いよく手を挙げた。
「僕はタルト、よろしくね~」
「俺はラッセルって、言わなくてもみんな知ってるし、自己紹介は意味ねーよな」
横目で千里を促す。
「オレは千里な。千はあだ名なんで、そこは間違えないように。テストには出ねぇけど」
「ラッセルくんと同じ金髪なんだね」
「そうだがイトコとかじゃねぇから。中学の時からの付き合いな」
「幼馴染風に見えて、中学から
突き合って
いたんだね。二人の容姿で想像すると、かなり萌えるね☆ もちろんラッセルくんは受けだよね♪」
タルトはラッセルに向かってウインクをした。
「付き合いはそうだが、なんか意味がおかしくね?」
「おかしくないよ。胸がいっぱいで、僕としてはごちそうさまの気分だよ」
タルトの笑みが深くなる。口を拭う仕草を間近で見たラッセルは軽く身震いを起こす。
「なんか、その笑顔がこえーよ」
「気にしないでいいよ。緑の髪の子はあやかしなのかな。ほしびとかもしれないけど」
タルトの興味は晴月に移った。
「そこがはっきりしねーんだよな。物を突き抜けたりはしないと思う。風との関りが深くて空を飛べたりはするけどな」
「私は『風の精』だよ」
「風の精霊ってこと?」
タルトは首を傾げる。晴月も同じように傾けた。
「まあ、このメンバーで今日を満喫しようぜ!」
「雑な締め方だな」
苦笑する千里に、うっせー、とラッセルは笑って返した。
何かを転がすような音がして晴月は後ろに目をやる。すぐにラッセルに、あれは? と指で示して聞いた。
「車内販売ってヤツだ。いろんな物を売ってるんだぜ。欲しい物があるなら俺が買ってやるよ」
「ラッセルお兄ちゃん、僕、薄い本が欲しい。金髪の少年二人が禁断の愛に溺れるシーンが見たいな」
甘えた声でいうタルトにラッセルと千里は同時に、そんなのねーよ! と焦った顔で返した。
晴月は少し考えるような表情で、ワゴンを押していた
ヴィーゼ・ベルンスタイン
に向かって言った。
「薄い本ある?」
「霊界のゴシップ記事を扱った霊界新報社の雑誌ならあるけど?」
「そうじゃなくて、金髪の少年二人が」
「響は説明しなくていいって! なんか、ごめんなさい」
ラッセルはヴィーゼに向かって頭を下げた。
「別にいいわ。お祭りみたいな日だから多少の無茶は許されるわ」
「それなら列車の窓を開けて、上半身を乗り出した状態で眺めを楽しんでもいいかな」
「場所が悪いと吸い込まれて永遠に戻って来られなくなるけど、それでもいいなら」
「やめときます。ホント、ごめんなさい。飲み物と飴ください」
口調まで改まってラッセルは買い物を済ませた。
「また利用してね」
ヴィーゼは豊かな胸を弾ませて歩いていった。
千里はラッセルの手の中の物を見て眉根を寄せる。
「ドクドクオーレの色がやべぇな。生き血じゃないと信じたいが、どうなんだ? 飴の包装にある商品名も、カリカリ魂(だま)って。オレの知ってる飴玉じゃねぇよ、これは」
「窓の景色で興奮して喉が渇いたよな。千、俺が奢ってやるよ」
「毒見じゃねぇか! 先に桜井が試せよ」
「いやいや、遠慮すんなって。こんな大盤振る舞いはそうはねーぞ」
笑顔ながらも取っ組み合いの喧嘩の様相を醸し出す。
目にしたタルトは晴月を手で招く。
「あれが誘い受けだよ。薄い本だと、あのまま抱き合った状態で倒れてすごい展開になるんだよね」
「薄い本、奥深いね」
「こらー、響。ヘンな知識を晴月に吹き込むな!」
「晴月ちゃん、ラッセルくんが僕をいじめるんだよ」
「怒ったらダメ」
「そんなー、俺が悪いのかよ」
千里は笑いながらドクドクオーレのキャップを捻る。口を付けて飲むと、うめー、と言ってラッセルに渡した。
「え、こんな色で?」
「試してみろって」
「まあ、それなら」
ラッセルは喉を鳴らして飲んだ。軽く咳き込んで即座に自身の鼻を摘まむ。瞬く間に目は涙で潤んだ。
「甘くて辛いって、どんな味だよ」
「がまんした甲斐があったぜ」
千里は血だらけのようになった歯茎を見せて笑った。
車内で笑ったと思うと次の瞬間には怒り出し、笑顔で走り回って四人は魔行列車の旅を謳歌した。
次々に停まる駅では突撃精神で揃って下りた。
黄橡(きつるばみ)駅の一面の砂には足を取られながらも走って何度も転んだ。
晴月はくるくると回りながら自由に空を飛んだ。
「気持ちいいー」
下から見ていたラッセルは、ここならいいか、と口にして地平線の彼方に目をやった。
校舎のような物が揺らめいて見える。
「あれって学校で、俺らみたいな幽霊の生徒がいたりすんのかな」
「どうだろうな。あの世にきてまで勉強はちょっとな」
横に並んだ千里が前髪を掻き上げて言った。
「学校があるなら会社もあんのかもよ」
「定年退職がなさそうで嫌な感じだぜ」
「永遠の命があったらその道を極められるかもだよ」
タルトは千里の横にきて別の地平線を眺めた。
「くるくるくるー」
晴月は何も考えていない様子で空を飛び回る。
「いいな」
千里の言葉に、そうだな、とラッセルが答えた。
「まだまだ今日は終わらないんだよ」
タルトは駆け出した。眺めていた地平線を目指す。すぐに派手に転んで、すっきりだよ、と頭を振って笑顔で起き上がった。
車内でくつろいだあと、四人は霧深い浅縹(あさはなだ)駅を散策した。
下車する間際、ヴィーゼから温泉の話を聞いた。運が良ければ行き当たるという。
ラッセルは千里と並んで真っ白な視界の中、適当に歩き回る。晴月は宙を飛んで、何も見えないね、と二人の頭に向かって言った。
あまり乗り気ではないのか。少し遅れてタルトが付いていく。
気に掛けたラッセルが後ろに向かって声を張り上げた。
「響、具合でも悪いのか?」
「そうじゃないけど、温泉がちょっとね」
「苦手だっけ?」
「そうじゃないんだけど、にゃーんって感じになっちゃうからね(濡れるとろっこんで猫になるから)」
タルトは少しふざけたように拳を丸めて、にゃー、と愛らしく鳴いた。
「悪戯猫にしか見えねー」
「お前ら、仲がいいな」
千里はからかうように言うと、ちげーよ、とラッセルは唇を尖らせて言った。
三十分の散策では温泉に行き当たらず、魔行列車は星幽塔の城下町駅に停車した。
他の駅と同様に四人は下りた。
タルトは俄然、元気を取り戻す。
「星幽塔ならそこそこ詳しいよ。僕はここに
ブラック・リキッド亭
っていう名のお店を持ってるし♪」
「ちょうど小腹が空いてたんで寄っていこうぜ。いいだろ、桜井」
千里はラッセルの首に手を回す。
「まあ、そりゃな。で、メインはなんだ?」
「薄い本だよ♪ 飲食もできるけどね」
「また、それかよ!」
「薄い本」
ふわふわと浮いていた晴月は目に力を込めて頷いた。
「晴月、毒されたらダメだ! 悪魔の甘い誘惑だぞ」
「またいじめられたよー、しくしく」
「怒ったらダメ」
「なんで俺ばっかなんだよぉ」
「なんだ、このコントは」
千里は苦笑いで返した。
のんびりした調子で回っていた為、最後は駆け足となった。
「これ、貰うから! 桜井、急げ!」
「千、まだ貰って。早くしてくれ!」
「僕はこの羽ペンかな。インク無しで書けるなんて最高だよ」
「私はブローチ。色がエメラルドグリーン。これ、好き」
支払いはラッセルの役となった。泣き笑いの表情で財布を逆さまにして振って見せる。
「なんもねーよ」
「ラッセルくん、お年玉をあげたと思えばいいんだよ」
「俺はまだ貰う方だああ!」
タルトに叫ぶとラッセルは急いで魔行列車へ走り出す。
辛うじて間に合った三人はぐったりした状態で座席に着いた。
晴月は疲れを見せず、浮いた状態で窓の景色を独り占めにした。
三人はその中、今年もよろしく、と口にして笑った。
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5人まで
シナリオジャンル
神話・伝説
NPC交流
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定員
1000人
参加キャラクター数
13人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年09月19日
参加申し込みの期限
2023年09月26日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年09月26日 11時00分
参加キャラクター一覧
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