【お正月】３つの世界を巡る魔行列車の旅｜リアクション

【お正月】３つの世界を巡る魔行列車の旅

　天満七星は湯船に浸かった状態で、ふぅ～、と息を吐いた。湯を両手で掬って顔を洗う。
　そして何度目かの溜め息を白い湯煙に解き放った。
　――誰もいなくて、動物の姿もありません。この世界では普通の状態なのかしら？
「え、誰ですの！？」
　七星の驚きを余所にティオレ・ユリウェイスは湯に浸かって手足を伸ばす。
「誰って言われてもね。盗賊で踊り子をしている者よ」
「足音が聞こえなかったのは？」
「職業病かもね」
　ティオレは両手を高々と挙げて伸びをする。力を込めたこともあり、ん～、と艶っぽい声が漏れた。荒々しいイメージは瞬く間に消え去った。七星はリラックスした姿で白い湯気を見つめた。
「ここはとても静かで、何もないような白さが印象的な場所ですわ」
「落ち着くけど、お宝もなさそうね」
「……形はなくても思い出を持ち帰ることはできますわ」
　七星は顔を上げた姿で言った。
　その言葉にティオレは青い目を細めた。
「思い出でお腹が膨れたらいいんだけどね」
「代わりに素敵な思い出で胸が膨らみますの」
　ティオレはちらりと横目で見やる。自身の胸と比べるような目の動きを見せた。
「そうかもしれないね」
「そうですわ」
　二人は横並びの姿でゆっくりと渦巻く白い湯煙を見上げる。形のない思い出を持ち帰るかのように揃って眺めていた。

　元日、魔行列車は走り続けた。周回を重ねて多くの人々を運ぶ。
　笑顔や悲しみ、全てを詰め込んで三つの世界を巡るのだった。

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あとがき

担当マスター：黒羽カラス
ファンレターはマスターページから！

　元日限定の魔行列車の旅が無事に終わりました。
　笑いがあれば悲しみもあり、それぞれが目的の為に精力的に動きました。
　一つとして同じ内容はなく、独立した読み物として楽しめるリアクションに仕上がったと思いたい！
　あとは皆様の判断に委ねます。らっかみ！で過ごした素敵な一ページとして加わることを願っています。
　三つの世界を巡って得られた物は手元に残ります。イラストにしてもいいですし、
　形のない思い出として心にそっと仕舞っておくのもいいでしょう。

　最後になりましたがシナリオに参加してくださった皆々様、本当にありがとうございました。
　また新しいシナリオで出会えることを願いつつ終わりたいと思います。

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