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【お正月】3つの世界を巡る魔行列車の旅
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愛猫 萌々子
と
万条 幸次
は恋人として寝子島で元日を迎えた。指と指を愛おしく絡めて旧市街の道を歩いていると、突然、甲高い音が聞こえた。周囲の人々は気付いていない様子で寝子島神社に向かう。
二人は迷った末に寝子島駅へ歩き出す。最短の道を選び、十分足らずで黒い機関車の一部が見えてきた。揃って足を速めると全体が露わになった。
停車した魔行列車の真横で幸次は見上げるような格好となった。
「こんなところに停まっていて、びっくりだねぇ」
「乗車できれば、お母様に会えるかもしれません」
萌々子の握る手が強くなる。複雑な表情を浮かべた幸次は一瞬で緩い笑顔となった。解決策を求めて辺りを見回す。
案内板の近くにいた制服姿の女性が柔らかい笑みで声を掛けてきた。
「ご乗車されますか」
「乗りたいんだけど、その方法がわからないんだよねぇ」
「切符を拝見させてください」
「持ってないと思うんだけど」
困ったような笑みで幸次はジャケットのポケットに手を入れる。同じように隣では萌々子が真剣な顔でコートを当たる。
「あ、ありました! 切符です!」
「いつの間にか俺のポケットにも」
二人は揃って切符を見せた。確認した女性はにっこり笑って、ご利用ありがとうございます、と明るく返した。
魔行列車はゆっくりと走り出す。
萌々子は窓側の席に座って限界まで顔を近づけた。流れる光景に、凄いです、と興奮した声を出した。隣にいた幸次は目を細めて、そうだねぇ、とのんびりした相槌を打った。
途中停車を繰り返し、魔行列車は霊界に戻ってきた。赤や青の人魂が宙で戯れ、淡い光となって乗客の目を楽しませた。
その様子を萌々子は安らいだ顔で眺める。
「小さな花火のようです」
「俺には縁日に売られている綿菓子のように見えるかなぁ」
「言われると、そのようにも見えますね」
萌々子は幸次を見て朗らかに笑った。
窓から見える自然は徐々に失われ、人工的な物に取って代わられた。列車は緩やかに速度を落として大きな駅のホームに滑り込んだ。
萌々子は駅名を目にした。
「万条先輩、花緑青(はなろくしょう)駅に着きます」
「ホームにたくさん人がいるねぇ。現世と変わらない感じだねぇ」
「白装束の人がいます。あそこには武士でしょうか。それと、え、お母様!?」
萌々子は窓に額を押し付ける。列車が停まると即座に立ち上がって駆け出した。制止の声を言う間はなく、長い髪を振り乱してホームを走っていく。
幸次は追い掛けなかった。窓側に移動して萌々子の姿を視界に収める。
――お母様って、確か愛猫さんが中学に入る前に病気で亡くなったはず。霊界だから会えるのかな。それなら俺は邪魔にならないようにここで見守るとしよう。
眠そうな目は返上して一方を見つめる。
ホームを走る萌々子の目には、はっきりと母親の姿が見えていた。
――
ほおずき市の時
とは違います。もう少しで手が届きます。お母様、今度こそ、私に気付いてください!
潤んだ瞳で必死に訴える。想いが届いたのか。長い黒髪の女性、
芽生子
は黄色い目を見開き、萌々子! と胸に迫る声で叫んだ。目一杯、両腕を広げて飛び込んでくる我が子をしっかりと受け止めた。
萌々子は溢れ出す感情のまま泣き出した。その背中を愛おしく摩り、自らは声を殺して静かに頬を濡らす。
忘れ掛けていた温もりに触れた。萌々子は人目を憚らず、声を上げて泣いた。芽生子は幼子をあやすように背中をトントンと軽く叩いた。
時間と共に泣き声は小さくなった。萌々子は鼻を啜りながら背中に回していた手を解く。
「……ようやく会えました」
「私も会いたかったわ……」
黄色い目を細めて我が子を見つめる。
優しい眼差しを受けた萌々子は落ち着きを取り戻す。直後に伝えたい想いが心の中に膨らんで口から言葉として溢れ出した。
「私は寝子島高校に通っています」
「充実した学生生活を送っているのですね」
「はい、その通りです。一年生の時に風紀委員を務めて、今は生徒会役員として励んでいます」
母親に褒めて貰いたい子供のように目を輝かせて言った。
芽生子は微笑み、話の度に頷いた。
「生活環境はどのようになっていますか」
「寮生活なので生活に乱れはありません。同室になった
ぴりり
ちゃ、さんはしっかりした性格で、私の大切な友達です」
「高校生活を楽しめているみたいで安心しました。それと萌々子、窓側の席で熱心にこちらを見ている方の紹介を頼めるかしら」
微笑みを崩さず、芽生子は幸次に手を差し向ける。振り返った萌々子は、え、と驚いて瞬時に耳を赤くした。
「……高校の先輩で、その、か、彼氏でもある万条幸次さん、です……」
「誠実そうな人ですね」
芽生子は幸次に目を向けて深々と頭を下げた。丁寧な挨拶に面食らい、跳ね飛ぶように立ち上がると猛烈な勢いで頭を上下に振り始めた。
「良い人と出会えましたね」
「はい、お母様」
萌々子は照れ隠しのような笑みを浮かべた。
「お母様、これからはいつでも会えますね」
その言葉に芽生子は顔を曇らせる。
「霊界にくる手段が確保できれば、いつでも好きな時に会えるのですよね?」
「それは自然の摂理に反します。私は亡くなった身です。今回のことは最初で最後と思ってください。次の魔行列車で深淵に向かいます」
言い含めるような声に萌々子は顔を左右に振った。
「どうしてですか。お母様と同じような境遇の人達が霊界で生前と同じような生活を送っています。どうして、そんなことを言うのですか! 私には意味がわかりません!」
「萌々子は高校生になりました。小さな子供ではありません。それに側には支えてくれる大切な人もできました。私がいなくなっても大丈夫です」
「お母様と離れたくない! 絶対にイヤ!」
髪を乱して拒絶する萌々子の姿を見た幸次は再び立ち上がる。血相を変えて走り出し、ホームに飛び出した。
「お母様が深淵に向かうのなら、私も一緒に行きます!」
「駄目です! 萌々子は
いきなさい
! 万条君、娘をお願いします!」
「わかりました!」
発車を告げる音がホームに鳴り響く。
萌々子の腰に腕を回した幸次は渾身の力を込めた。引きずるようにして車内に引っ張り込んだ。
「イヤ、お母様、お母様!」
悲痛な叫びはドアが閉まることで収まる。ぐったりした姿で床にへたり込んだ。生気のない目で床を眺める。
幸次は萌々子の肩を掴んで激しく揺らした。
「愛猫さん、こんなところに座ってたらダメだ! 最後のお別れをちゃんとしないと絶対に後悔するよ!」
「そうです。お母様と最後の別れを!」
がばっと顔を上げた萌々子は立ち上がると、元の座席に駆け込んだ。窓越しに見える芽生子に大きく手を振った。呼応して振り返す。
それだけではない。芽生子はゆっくりと強調して口を動かす。隣で見ていた幸次が読み取ろうと試みる。
「か、え、ろ、に?」
「……愛しています、ですよ」
萌々子は涙を流しながら笑った。
魔行列車が動き出す。
芽生子が一方に流れてゆく。萌々子と幸次は目で追い掛けた。駅が見えなくなっても同じ方向を二人で見続ける。
「……これが本当の最後なのですね」
萌々子は濡れた頬で座った。隣の位置にいた幸次はハンカチを取り出してさりげなく拭いた。
「ほおずき市では見えなかった、愛猫さんのお母さんを初めて目にした。親子でもあそこまで似ているとびっくりだねぇ」
「そこまで似ていましたか?」
「うん、そう見えたよ。あと、お母さんの最後の言葉は俺にも向けられていたのかなぁ。いきなさいって」
「……行くと生きる。これからも万条先輩と一緒に」
ハンカチは役に立たなかった。萌々子は頬を涙で濡らしたまま幸次を見つめる。
「私を抱き締めてください。お母様のように」
「わかった」
倒れ込むような形の萌々子を幸次は受け止めた。全てを包み込むようにして抱き締める。
すすり泣く声を耳元で聞きながら無言を通す。
――愛猫なら、この悲しみに打ち勝てる。だから、今は泣いていいよ。こんな俺の胸でよかったら、いつでも貸すから。
貰い泣きしそうになった幸次は流れる車窓に目を向ける。
淡い光を放つ人魂が夏祭りの提灯のようにゆらゆらと揺れていた。
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5人まで
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神話・伝説
NPC交流
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
13人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年09月19日
参加申し込みの期限
2023年09月26日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年09月26日 11時00分
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