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The Backrooms Nekojima
【おまかせ】痛みの共有
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【Level NK-735: "The Happy Hometown" (幸福の家)】
例えば白い紙を広げ、朱肉とスタンプを用意する。スタンプの構図は、デフォルメされた家一軒としよう。それを紙面へ押してゆく。ぽんぽんとリズミカルに、なるべく敷きつめて押そう。整然と乱れなく、規則正しく並べるのだ。ぽんぽん、ぽんぽんと。
そのような町並みだった。
「全部……同じ家だろうか」
呆れたように
早川 珪
がつぶやく。その腕へとすがりながら、
綾辻 綾花
もうなずくしかなかった。こんな時頼れる大人で想い寄せる彼がいてくれるのは心強いが、その上でふたりを取り巻くこの奇怪には身がすくむ。
「どこまで続いてるんでしょう……」
「先が見えないね。向こうに山の稜線が見えるけど」
周囲を丘陵に囲まれた窪地のようだ。遠く目に映る濃密な緑が鮮やかだ。
家は、いや家々はどれも一軒家の二階建て。庭付き。緑を基調に塗られ、さわやかで清潔感があった。各戸は真白い柵で仕切られており、カップルに子どもがひとりふたりなら敷地面積もちょうどよいだろう。庭には白のテーブルセットがすでに備え付けられており、そこから見上げた抜けるような青空にやわらかいグリーンが映え、景観も美しい。家庭を持ったパートナーたちが普遍的に空想するような、なんとも理想的な家だった。
しかしゴミひとつ落ちていない舗装路をはさみ、まったく同じ構造、まったく同じ家がずらり並んでいると、これがどうも話が違ってくる。
「まるで画集に見た前衛芸術のようだ。絵を眺めているならいいけれど、実際に自分たちがそこへ入り込むと……」
「ちょっと不気味、ですね」
そもそもどうやってふたりはここを訪れたのだろう。なにかきっかけがあっただろうか。放課後、暗い中を猫鳴館へひとり帰らせるのは忍びないからと珪が送ってくれる、そのさなかであったのではないかと記憶している。しかしいくら頭をひねってみても、その先が一向に思い出せない。
「出口を探そうか」
家には入らず、ひとまず道なりに歩く。道はアスファルトで丹念に舗装されていてひびわれのひとつもなく、白線の欠けすらない。今しがた整えられたかのようだ。
そのまましばし進むと、あたりに暗がりが落ちてきた。そういえばどこを向いても太陽が見えない。日が陰るあたりどうやら昼夜は存在するようだが、それが意外に思えるほど、町には異質な非現実感が漂っていた。
「まずいな。ずいぶん暗くなってきた」
「少し休みましょうか。その……」
といって綾花が控え目に示したのは、スタンプを押すように並べられた画一的な家々のひとつだった。
背に腹は代えられず、やむなく入ってみた一戸建てだが、案外とこれが快適だ。見た目どおりとも言える。
「すごい、食材も物資も大量ですよ!」
冷蔵庫は新鮮な食材で満載だ。肉に魚、野菜に果物。ミネラルウォーターにアーモンドウォーター。出来合いの一品料理や総菜類もある。戸棚には調理器具一式や調味料各種もそろっている。
クローゼットには衣服や下着などがぎっしりと詰まっており、贅沢を言わなければしばらく着替えには困らないだろう。電気やガス、水道は通っているが、テレビは受信機がないのか映り込むのはノイズばかりだ。書棚には本がたくさんだが、見たことも無い言語で書かれており読むことはできない。しかしこの点は綾花のろっこんを活用すれば内容を解読することができた。多くは小説で、一部漫画や画集が含まれている。総じて他愛のない、あまり面白みのない平坦な物語が綴られていて、流行りのAIが創作したかのようないまひとつ人間味に欠ける内容ばかりだが、暇つぶし程度にはなりそうだ。
娯楽に乏しい節はあれど、そうしたいくつかの些細な不満を除けば、文句のつけどころがない。なんならここでずっと生活してゆくこともできるだろう。
「なんだか、わくわくしちゃいます。……珪先生?」
綾花は思わず子どもっぽくはしゃいでしまったが、振り返ると、彼は眉をひそめていた。
「一体誰が、こんなものを用意しているんだ……?」
当然の疑問ではある。
しかしやはり、背に腹は代えられないのだ。ふたりはある一軒を拠点と定め、周囲を探索してゆくことにした。目印に庭先へ物干しざおと珪のジャケットで作った旗を立て、町をめぐる。
なにしろ家々は外観から内装まで、収められている物資の類までぴたり同じだから、ともすれば迷ってしまう。もとの家へと戻れるよう、歩くたび食材に含まれていたパンをちぎって落とした。町には風が吹かず、それを食べる小動物の類も見られないから、無くなってしまうことはなさそうだ。
ただ、綾花たちを除くほかの生物といえば、まったく存在しないこともないらしい。
「! また、見られてます」
「奇妙だね。近づいてくるでもないし、こちらが追えば消えてしまうし」
屋根の上から。白い柵の陰から。ふたりを監視しているのだろうか? 観察しているのだろうか? 得体のしれない何者かが覗いていることがあった。シルエットは人のように見えるが、頭部からはなにやら細いものが伸びている。角か、触手なのか、はたまた想像もできないようななにかなのか。綾花はスーツを着てすらりとした、しかしナメクジかカタツムリのごとき頭を持つ異形をイメージしたが、今のところ接触する機会はなく判然としなかった。
珪はかぶりを振った。
「まあ、近づけないなら気にしても仕方ない。彼らがあの食料その他を用意してくれてるのかもしれないし」
「案外いい人かもしれませんね。人なのかどうか、分かりませんけど」
探索を広げても、出口は見つからない。町並みは変わり映えなく、あくまで単純な繰り返しが続くのみだ。
それでいてふたりは明るさを失うことなく、瞳に希望を宿したまま、しばらくここで暮らしていく覚悟さえ決めていた。たがいの存在が、彼女らに奮い立つ勇気やしなやかな強さを与えていたのだろう。ふたりきり(歪な第三者から目を反らすならだが)という環境が、蜜月のような甘いムードをも育んだ。
ふたりは緑色の町に暮らし始め、1年が経った。
声もなく。心臓が破裂するような。手足のしびれと冷たさが全身へと広がり麻痺してゆくような。真なる恐怖とは己自身の命を脅かすような、単純かつ直接的な危害ではなかったのだと綾花は知った。
珪の大きな手をきつく握りしめる。
「返して! 返してください! 返して!」
「僕らの子を……どこへ連れて行こうというんだ!」
彼の追い詰められて張りつめた怒声を、綾花は初めて聞いた。
男、に見えた。少なくとも身体は成人した男性のものだ。白シャツに紺のネクタイを締め、サスペンダーでスラックスを吊っている。顔も人間のように見えたが、能面か人形めいて無表情であり、口を開くこともなかった。頭に生え伸びて揺れているのは、髪の毛のひと房だろうか。虫の触覚のようでもあり、異星の植物にも見えた。
「返して、その子を、お願いです、お願いだから……私は! 私はどうなってもいいですから!」
「いいから早く返すんだ、すぐに! その子を!」
男の瞳には白目がなく、まぶたが横に閉じてまばたきをした。
その腕の中で、赤子は気持ち良さそうに寝息を立てている。
「お願い……」
「返してくれ……返せ!!」
今まさに飛びかからんと語気を強めたところで、男はふたりの様子をうかがうそぶりを見せてから、緑の壁と白い柵の境目あたりの空間を、まるで壁のポスターを剥がすかのようにめくりあげた。内側から現れた、形容しがたい色をした渦の中へ飛びこむと、男の姿は見えなくなった。
空間が閉じると、それきり二度と男が現れることはなく、
「い……いやあああああああああっ!!」
「綾花。綾花……!」
抱き合うぬくもりと、ふたりきりの永遠だけが残された。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
SF・ファンタジー
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年08月26日
参加申し込みの期限
2023年09月02日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年09月02日 11時00分
参加キャラクター一覧
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