怪人セブンの歌劇｜リアクション

怪人セブンの歌劇

【ダイイチマク】

「……人間同士のいざこざに俺は首をつっこむ義理はねぇよ。だがな、これだけは言っておく。あそこで死んだら戻ってこれねぇからな。よく覚えておけ」
　テオの発した『死ぬ』という言葉にもれいび一同の背中に悪寒が走る。
「いいか、ボロボロになってでも必ず生きて帰って来い。ののこを、泣かせたら承知しねぇぞ……？」
　そのまま立ち去ろうとしたテオに、霧切が声を掛けた。
「待って、テオ！　……だからテーくん！」
「誰がテーくんだコラ……！」
　不機嫌そうに睨み付けるテオに臆せず、霧切は矢継ぎ早に質問を彼に浴びせた。
「どうしてセブンはろっこんを一般人にも使えて私利私欲の犯罪に使えるの？　もし全員が行方不明になれば寝子校の存亡も怪しくなるかもしれないわ。出来る限り精一杯尽くしてみんなを助けてあげてくれないかしら？」
「いっぺんに質問してくるんじゃねぇよ……」
　うんざりしたような顔でテオは霧切を見上げた。
「ナナオとかいう奴のやっていることはマッチポンプだ……、面倒見切れねぇよ」
　呆れたように嘆息を吐くテオ。そして質問に全く答えない彼に、霧切は返す言葉がない。
　でもな、とテオは続ける。
「お前ら程の集団の人数が一度に失踪したら、ののこのフツウが揺らぐ可能性は否定できねぇ。その部分は、お前の意見を肯定してやる。だからといって俺をアテにすんなよ。俺に出来るのは、精々世界を切り離すことぐらいだからな……」
「テオ、この先のオペラハウスはなんだ？　お前は正体を知っているようだが？」
　八神も乗じて質問を投げかけた。
「あそこはてめぇらには関係ねぇよ。とにかく生きて帰ってこい。……いいな？」
　唯一、もれいびではない森はテオの一連の言葉を聞き取ることができなかったが、じっとテオの目を見詰めたあと、深々と頭を下げてお礼の言葉を述べたのだった。
「ほら、早くしねぇと入口が消えちまうぞ？」
　もれいびたちはテオに急かされ、小山内の持参した缶ビールを外壁に奉げた。
　すると、次の瞬間――。

　セカイが　彼らを　丸呑みにした。