薄紫色の招待状のことを覚えている者は少ない。特別な『何か』を持つ人だけにそっと届けられたそれは、彼らの心の内に秘められたものを映し出す鍵となったのだという。招待状の送り主、黒衣の占い師のことは、彼女が名乗る『レディ・ロゼッタ』という名前以外は謎に包まれたままだった。あまりに少ない情報は、噂になるほどの力もない。幻のような存在、夢のような時間は、あの日占い師と出会った者たちだけが記憶している。
だが、何の前触れもなく、再び同じ色の招待状が人々に届けられる。あなたも薄紫色の封筒を受け取ったひとりだ。以前の噂については耳にしたことがあっただろうか? いずれにせよ、あなたは何らかの理由でロゼッタに選ばれたのだ。封筒と同じ色の便箋が二枚。その上の一枚に書かれている言葉に、思わず目を凝らす。
怪人セブンを探してください
不思議な招待と時を同じくして、奇妙な失踪事件の噂が聞こえはじめた。いつもと変わらぬ寝子島で起きた不穏な噂を知るものは、もれいびとそれに近しいものに限られていた。『ひと』たちは何も気づかず、平和なフツウの生活を楽しんでいるというのに。噂が現実のものだとわかったのは、『拉致』から脱することに成功した中年の男の証言からだった。
「犯人は『怪人セブン』と名乗っていた。手品のような不可解な能力を使う人物だった。奴の体からは、灯油のような鼻をつく匂いがして……」
自らの犯した罪もまた裁かれることを承知で警察に助けを求めてきた男は、最後の力を振り絞ってそう言い残し、倒れた。今では面会謝絶の危険な状態にあるのだという。
寝子島は再び不穏な影に覆われるのか?
魔女ロゼッタの求めるものはいったい何なのか?
本シナリオには『レディ・ロゼッタの未来観測』と同じNPC、占い師の『レディ・ロゼッタ』が登場しますが、シリーズシナリオではありません。しかしながら、ご参加前には、前のシナリオをご一読いただくことを強くお勧めします。
前作『レディ・ロゼッタの未来観測』は、ロゼッタの占いの館で、キャラクターが占いをしてもらうという比較的ほのぼのとしたシナリオでした。ですが、本シナリオ『レディ・ロゼッタの運命考察』は、焼きスルメマスターの『七罪シリーズ』とリンクする形でお話が進んで行きます。『七罪シリーズ』は現在までに『怪人セブンの邂逅』、『怪人セブンの断罪』、そして『怪人セブンの正義』の三つのシナリオが完結しています。
また、このシナリオは時期的に『芽森菜々緒の友愛』の少し後に位置します。
【NPC情報】
レディ・ロゼッタ(本名不明)
髪と目は黒、高身長、やや濃い顔立ち。日本人かどうかは不明。容姿は三十代前半ぐらいに見えます。職業は占い師。もれいびであることがわかっています。彼女のろっこんは『目くらまし』の力を持っています。詳細は不明です。
商売柄、神秘的な雰囲気を装っていますが、実は子供っぽい面や茶目っ気たっぷりの面も持っています。仲むつまじいカップルを見ると、自分の恋愛運のなさと比較して落ち込むことも。
ロゼッタは神魂と落神の関係について個人的に調査を続けています。悪いらっかみの存在や、神魂の力をよくない方向に利用する危険性について確かめたいと考え、現在寝子島に滞在しています。
これは基本的にはプレイヤーのみが知りえる情報です。
【シナリオの趣旨】
数々の島で起きた事件から、ロゼッタは『怪人セブン』の存在を知っています。彼女の調査している事柄と、セブンの存在は関係が深いと考えているようです。放っては置けないけれども、自分ひとりでは手に余る。新たな被害者が生まれることを防ぐため、彼女は占いの館に人々を招いた方法と同じやり方で、再び力になってくれそうな者に呼びかけることにしたようです。この手紙は、『もれいび』だけでなく、『ひと』にも届く可能性があります。
彼女の願いは、怪人セブンの正体と思しき人間を見つけ出して、自分の元、つまりシーサイドタウンにひっそりと存在する占い屋『レディ・ロゼッタの未来観測』まで、事を荒立てずに連れて来てほしい、と言うものです。彼女の真の目的は、シナリオ開始時点では明かされません。
拉致されたのはすべてもれいびです。これはプレイヤーだけが知る情報です(キャラクターは何らかの方法によってリアクション中にこの事実を突き止めることができます)。
無事セブンの正体を探し当てられるのか。ロゼッタはセブンと出会い、何をするつもりなのか。そもそも二人は出会うことができるのか。出会うことができたとして、セブンはロゼッタに対してどう振る舞うのか……すべてはみなさんのアクション次第です。
なお、ロゼッタは今回占い屋でじっとしているとは限りません。
みなさんのアクションが気になって、動き回ったりするかもしれません。
【シナリオ情報補足】
・時間の流れについて
シナリオの中で進行する時間はみなさんの行動次第によって変化しますが、平日の2~3日内になるとお考えください。学生さん、お勤めのある方は、普段のスケジュールを意識した上で行動を決定する必要があります。
・ロゼッタの店『レディ・ロゼッタの未来観測』について
招待状を受け取った人は、裏面の地図を頼りにシーサイドタウンにあるロゼッタの占い屋にたどり着くことができます。いつ行っても扉は開いています。
・セブンと思しき人物との接触について
キャラクターがセブンの正体だと信じる人物に接触を行うアクションをとる場合は、いつ、どこで、誰に対して、どのようなアクションを行うかを明記してください。ロゼッタはセブンの人物像についてはほとんど知りませんので、彼女から情報を得ることはできないでしょう。
【このシナリオでできることの一例】
・真剣にセブンの正体を推理し、探す
・思いっきり間違って偽セブンを連れて行ってずっこける
・どさくさで自分の占いを頼む
・推理にてんやわんやの人々を追い回し、レポートする
・セブンと思しき人物をかばう
・ロゼッタを説得し、セブンに会うことをやめさせる
工夫次第でいろいろできます。基本的にはシリアス寄りになりますが。
また、今回は特に複数のアクションに対するマスタリングを厳しくします。『あれもして、これもして、この場面にも登場する』というような欲張りなアクションは、結局すべて失敗で終わってしまう可能性が高くなります。
さらに、このシナリオの結果で、次の関連シナリオ『怪人セブンの歌劇』の難易度が変化いたします。 難易度は焼きスルメマスターのマスターページを参照して下さい。