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【あたたかいもの】
「嘘いつわらぬ……?」
「常識や偏見、倫理道徳などに囚われず、心の底から嘘偽りない相手への感情を語る。それのみが、この飽くなき昇天をとどめるのさぁ」
「常識や偏見にとらわれず……?」
ウォルター。その偽物であろう彼はそう言った。
嘘偽りなくとはどういうことだろう。
「ふむん? 僕、そういうのは普段から隠しとらんつもりですけど」
「そうじゃない。そうじゃないんだよぉ、七瀬」
立てた一本指を左右に振る。そんなキザな仕草もどこか彼らしからぬと七瀬は眉をひそめる。本物の彼とて悪戯心は大いにあろうが、ことらさ格好をつけて見せるようなこともなかった……ように思う。
「無意識は純粋の発露に見えてその実、潜在意識に統制されているものだ。でなければ、人は人同士で円滑な関係など築けないよ。そうは思わない?」
「はあ……そういうものでしょうか」
「そうさぁ。だから、七瀬。君が語るべきは、そんな天然の成せる業じゃあいけないんだよ」
彼の顔や声で七瀬と呼ばれるたび、胸の奥がむずがゆく感じる。慣れないものだ。偽物と分かってしまっただけに、うすら寒くもある。
「君は君によって統制される意思で、君の言葉を紡がねばならない」
小難しく並べ立てられていささか辟易としたが、つまるところ七瀬自身が語ると決め、真に心の内を反映した言葉でなければならない。そういうことなのだろう。
エレベーターは昇り行く。赤い空の輝きはいくらか増しただろうか。ロープは変わらず悲鳴のような音を上げている。
「僕は……」
しばし、こてんと首を傾けた。七瀬の意思をもって語ると定めた言葉を、胸の内に整え、発した。
「僕は、ウォルターさんのことが好きですよ。もう何度伝えたか分からないですけど。大好きです」
「ふうん?」
「たぶん抱き締めたり、キスをしたり、それ以上のことだってできるくらいには」
嘘偽りなく。常識にもとらわれず。七瀬の想いを口にする。
「だってウォルターさんは、特別な人だから」
そう断じながら、七瀬は続けて言い添えた。
「でも、絶対にそうしたいってわけじゃないんです」
「なぜ? 特別な人なんでしょう?」
「恋人とか、恋愛とか愛情とか。そういう言葉で言い表そうとすると、違和感を感じるとです。僕は僕の気持ちを、言葉で説明できません。本にはできないんです」
積み散らかされた書物たちを見やる。人の多くは白紙の本を目にして、つまらないものと断ずるだろう。書として課せられた役割も果たせない、哀れで塵芥のごとき存在と思うかもしれない。
けれど……白紙だからこそ、書きつけてゆくことができる。白紙だからこそ縛られず、広がってゆくこともできるだろう。
自身とウォルターの関係へ、安易な呼び名をつけたくなかった。呼べば縛られてしまうから。名もなきがゆえに、自分らしく彼を想うことができたから。
「僕は、僕と同じ気持ちをウォルターさんに返してほしいとは、思いません。ただ……否定されたくないだけなんです。なかったことにしてほしくない。嫌われたくない。僕といるときは、僕を見てほしい。近くにいるなら、触れさせてほしい。偽物じゃなく、本物の貴方に……名前を呼んでほしい」
彼は先ほどの雄弁と打って変わって、物言わぬまま耳を傾けていた。七瀬の名もなき想いを、理解しようと努めているようにも見えた。
「あはは。同じ気持ちを求めない、なんて言っておいて、ああしてほしい、こうしてほしいだなんて。強欲ですかねぇ」
「そんなことはないんじゃない?」
頬を緩め、笑う。
そこでもうひとつ、七瀬には嘘偽らぬ想いが生まれた。生まれたからには、口にすることにした。
「これも、本当の気持ち……エレベーターが暗くなったとき、不安でした。怖かった。そして明るくなった時に……貴方がそこにいてくれてよかった」
「……もう分かってるんじゃない? 僕はニセモノだよぉ」
「それでも」
たとえ偽物でも、自分に都合のよい幻だったとしても。ルールや条件から外れたとしても、正常や規範の範疇へ収まらないとしても、正しいと感じたならば口にすべきだ。七瀬はそう思った。
「ありがとうございます。貴方がいてくれて、良かった」
寂しげに歪んだ笑みを最後に、赤光満ちる空の像はそこで途切れた。
七瀬のまわりには相も変わらず本が積まれていたが、それらは白紙ではなかった。彼のワンルームマンションを埋める、美しい文字列が詰まったお気に入りたちだ。
時計を見、窓の外を眺めれば、夜更けとなっていた。
七瀬はしばし呆けたように暗い空を見つめ、やがてスマホを取り出し、よどみなく連絡先を呼び出した。
『──やあ、倉前。どうしたんだい、こんな真夜中に』
「あ、ウォルターさん。もしかして寝てましたか? 僕、今起きちゃって。なんだか寝付けなくて……」
『いやぁ、起きてたよぉ。期末テストの採点が終わらなくてねぇ』
「お仕事中だったとですか。すみません、お邪魔して」
『構わないよぉ。ちょっとひと息入れようかと思ってたところだから』
エレベーターは上昇を止めたが、そこから逃れて地に足をつけていても、まだ細かな震動が続くように思えてならない。
しかしウォルターの声は胸に淀んだ恐怖の名残を消し飛ばしてくれた。他愛のない会話も弾むうち、七瀬はようやく眠気に襲われ、電話の向こうへ挨拶を投げて通話を切った。今度は彼の声を胸に抱きしめながら、七瀬は眠りについた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオS(400)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
NPC交流
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年07月14日
参加申し込みの期限
2023年07月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年07月21日 11時00分
参加キャラクター一覧
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