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【こたえ】
綾花に見えるものは歪んだ笑みを浮かべる彼と、エレベーター。なにもない赤い空のみだ。
だからエレベーターが突然に上昇を止めた瞬間、綾花にはこの世界の全ての時が進みを止めたように思われた。
「あれ? 急に止まって」
当然にして、直後に訪れたすさまじい滑落の衝撃は言わずもがなだ。
「きゃああああ!?」
落ちる。落ちてゆく。滑車は断末魔のように甲高い怪音を叫び、足元がふわりと浮く。綾花はよりどころなく格子にすがるも頼りなく、血の気は失せ、頬は引きつる。
彼はなんと言っただろう? 上昇し切れば、と。そうだ、カゴを吊るロープは有限であり、限界を越えればあっさりと切れて落下する。赤い空を滑り、やがて地に叩きつけられ砕け散り、綾花はあの空のごとく赤へと同化するのだ。
そんな言葉が頭を巡り、かといってどうすべきかと方策がまとまるでもなく、綾花はただ祈り願うばかりだった。
「……大丈夫。じきに止まるから」
あたたかく、優しくやわらかく、綾花を包み込んだ。それは彼の言葉であり、彼の抱擁だった。
「あ……」
「長くは続かない。もうすぐ止まるよ、ほら」
ロープは切れてはいないようだ。きりきりと再びきつく張りつめ、落下は速度を緩めていき、やがてぴたり止まった。
と思いきや、再びがくんと揺れる。
「!!」
「あはは、心配しなくていいよ。まだ上昇しきるには時間がかかるから」
振動が収まるまでしばし、腕の中に収まり身動ぎもできず、綾花は気まずくまぶたを伏せていた。
不安をあおる揺れは収まったが、いつまでも迷っていられない。ロープも時の長さにも限度はあり、やがて頂点を越えるだろう。
「さあ、綾花。どうだい? そろそろ聞かせてくれるかな。君の心を」
彼の顔で、彼の瞳で、彼の声色で言う。珪ではないにも関わらず。
しかし先ほどの滑落に、彼は綾花を安心させようと心を砕いてくれた。抱きとめ、頭や背をなぞり落ち着かせてくれた。決していやしい手つきではなく、綾花を想う……本物の珪が時に垣間見せるような気づかいを覗かせた。
同乗する彼にも、彼なりの誠意は備わっているのだろう。
であれば。綾花も、誠実に心を返すべきだろうか。
「……私は」
無遠慮なキスを手のひらで遠ざけながら、真っすぐに彼を見つめて言った。
「私は、本物の珪さんのことが好きなんです。あなたではなく」
「ははは。厳しいね。そんなに違うかい、僕は」
「はい……その、ごめんなさい」
謝ることはないけどね、と肩をすくめる。
「教師としての珪さんを尊敬しています。ひとりの男性としての珪さんに惹かれています。どちらも好きです。大好きです」
嘘偽りなく、綾花の心からの言葉。そう断言できる。
「ずっとそばにいたい。悲しい思いをさせたくないし、してほしくない。今よりもっと、幸せになってほしい。そう思ってます、だから……」
少しばかり眉を寄せ、肩を縮めて、しかしはっきりと届くよう、明瞭を心掛けて口にした。
「ごめんなさい。あなたとは、いっしょにいられません」
「うん。そうか。そうだね」
不意にエレベーターが小さく揺れ、そして上昇を止めた。
赤い空の輝きが逆光となり、影の降りた彼の顔がいかなる表情を浮かべているのか、まぶしさに手のひらをかざした綾花の目に映ることはなかったが、
「彼がうらやましいよ」
首筋を小さくついばまれるような感触を最後に、赤い光は失せた。
「……辻さん? 綾辻さん。ああ、良かった、起きたね」
机に突っ伏したまま、どれくらい眠っていたのだろう。
目の前に彼の顔があった。珪先生。ああ、ほかならぬ彼の顔が。この世にひとつの、大好きな微笑みが。
「お……おはようございます」
「おはよう。お疲れかい? あまり根を詰めすぎるのも良くないよ」
はっとして、口元を確認する。幸い、よだれを垂らしたりはしていなかったようで、良かった。
「あの、どのくらい寝てましたか? 私」
「うん。もう鍵を閉めるところだよ」
最後に時刻を確認したのは30分ほど前だったろうか。その間、夢を見ていたのだろうか。
「あれ。綾辻さん、それ」
「えっ」
「首のところ。なにか、痣になってるよ」
記憶が蘇るのも一瞬だった。最期の時。
珪と同じ顔をした彼の、唇が。首筋に。
「ね……」
「ね?」
「猫に! にゃんこに噛まれまして!」
「猫に……?」
我ながら苦しいが、咄嗟に出てきたのだから仕方がない。首元を押さえて、綾花は頬を赤くした。
「大丈夫かい? 傷になったりしなきゃいいけど」
「大丈夫です!」
夢ではなかったのだろうか。心のみがかの世界へ飛んでいたのだろうか。しかし、身体へこうして痕跡は残った。
と、すれば。
「あ、あの……珪先生? 聞こえて……ませんよね?」
「なにがだい?」
「私の……」
こくはく。言葉を飲み込んだ。想いを告げるのは、まだ先のことと決めている。
首を傾げた様子からすると、エレベーターの中で語ったことは、伝わっていないようだ。ほっと胸をなで下ろす。
「な、なんでもないです。私、そろそろ帰りますね」
「ああ、うん。僕はもう少し仕事があるから。気をつけて」
「はい! さようなら、珪先生」
校舎を出ると、空はほの青く暮れていた。斜陽のようなあの輝きはどこにも見えない。
エレベーターの中、途方もなく遠くから届いた小さなささやきを思い出す。
「あれは……珪先生の声だったのかな」
そうであればいい。おかげで自身を見失うことはなかった。
空を仰ぎ、言葉を返すよう小さく、遠くへ、想いながらつぶやいた。
「大好きです」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオS(400)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
NPC交流
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年07月14日
参加申し込みの期限
2023年07月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年07月21日 11時00分
参加キャラクター一覧
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