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【白紙】
暗転。振動。足元もおぼつかない中、背後に静かな息づかいを感じる。聞いたことのない息づかい。誰ともつかぬ浅い呼吸。
瞳が光を取り戻すと同時、
倉前 七瀬
は振り返る。
誰も、なにもいなかった。
「……昇ってる?」
全てが一変していた。おおう、おううと足元一帯から突き上げるように響く慟哭。何者らが嘆いているのか。空は赤く、直視しがたいほどにまぶしく、そして明滅している。雲も、ビルも、なにも見えない。
七瀬はエレベーターのかごにぽつねんと立っていた。錆がかった格子のカゴが、頼りなげなロープに吊るされきりきりと昇り行く。気がつかぬうち、どれほど昇ってきたのだろうか。格子を通した階下には建築物はおろか広がる大地さえも見当たらず、地上数百メートルとも思えるが、数字など些末ごとだろうかという気にもなる。
身震いが走り抜けた。以前に読んだ小説に、密室となったエレベーターへ閉じ込められる話があった。あれはどんな展開だったろうか。一向に動かぬことで狂気を昂らせた男が、同乗した者らを次々と手にかけてゆくパニックスリラーか。それとも異界と繋がったエレベーターの扉が開き、おぞましい怪物に食い殺されるB級ホラーだったか。
ならばこのエレベーターが運ぶのは、いかなる不幸か惨劇か。七瀬自身の被る耐えがたい事象に思考が引き寄せられ、足もとから揺らいでいく。総毛立つ。
「このまま、僕は……」
想像が独り歩きし焦燥に襲われるも、ふと気づく。
「あ……これは、本?」
エレベーター内に積まれている諸々に初めて意識が向いた。
それらは全て、何らかの書物だった。ひとつを手に取る。表紙には何も書かれておらず、タイトルや著者名はもちろん小説であるのか、実用書であるのか、画集なのか楽譜集なのか、いかなる書籍かいつ頃に書かれたものなのか、まるで分からない。
疑問に思いながらぱらりと適当なページを開いてみる。白紙だった。別の一冊を取り、開くとやはり白紙だ。どの本のページを開けてみても、全て白紙だった。
「!!」
再び暗転。小さな振動が七瀬を揺らす。
暗闇に、息づかいを感じた。正面、山と本が積まれていたあたりだ。静かな吐息をゆっくりと繰り返す、何者かがそこには在る。七瀬の背に慄然とした寒気が這い上る。悪霊か、怪物か、人ならざる何者か。
カゴの中に据えられた照明が数度明滅し、灯った。
「……あれ?」
「何だい、つまらないねぇ。白紙の本の山とは」
積まれた本に腰かけページを繰る、それは
ウォルター・B
の姿をしていた。
「これじゃあ本の意味がないよねぇ。そうは思わないかい。七瀬」
「ウォルターさん……」
静かだ。もとより彼は沈着冷静、物事に動じないたちではあるが、この奇怪な空間へ放り込まれたにしては落ち着き払っている。異様なまでに。
彼のまとう空気が違う。七瀬を呼ぶ声が違う。そもそも彼は七瀬を七瀬と呼ばないのだ。
「ウォルターさんはめったに僕のこと、下の名前で呼んでくれんのに」
「ん? ああ、そうだったっけ? まぁいいじゃない、そんな細かいことは。それよりさぁ」
ぱたんと白紙の本を閉じると、また別の白紙を開く。白紙、白紙、どれも白紙。どこまでいっても、なにも書かれてはいなかった。
「本は言葉だ。言葉は人の紡ぐものだ。言葉には人の想いが込められるものだ。ならば本には、人の想いが込められている……はずだよねぇ」
彼がなにを語りたいのか計りかね、七瀬は曖昧な首肯を返す。
「そう、ですね。でも、ここにあるのは全部白紙みたいです」
「ねぇ、これじゃ意味がない。書物が書物たる役割を担わず放棄したら、僕らの言葉はどこへ消えてしまうのだろうね。僕らはどうやって、想いを残せばいいのだろうね」
やはり違う。七瀬は確信をもってうなずいた。
ウォルターがこのように言葉を弄することをしないわけではないが、それにしてもやたらに芝居がかっている。
自然体の彼を、七瀬は好もしく思う。誰にも媚びずへつらわず、己を貫く彼を尊敬する。風のごとくに飄々として、時に七瀬へ見せるあけっぴろげな笑顔が好きだ。
「どう思う? ねぇ、七瀬」
見つめる彼の青い瞳は地下へ連綿と湛えられた水のように澄んでいるが、その輝きは凛と冷たく思えた。
どうやら彼は、偽物であるらしい。
「僕は……文字が好きですから」
乾いた唇を開く。幸い声はするりと流れるように発することができたが、喉はひきつった。
「僕も、白紙の本に意味はないと思います。けど」
「けど?」
「どんな本も、最初は白紙だったはず。そこに人が文字を……言葉を書き入れて行くんじゃないですか。その繰り返しがやがて、一冊の本という形になるんじゃないですか」
咄嗟に語ったそんな文脈に、なんら七瀬の実がこもっているわけではない。彼の言葉へ呼応し、これまでに読んできた本や蓄積してきた含蓄を、それらしく並べた程度だ。
それでもウォルター……の姿をした彼は口角を上げ、冷たく笑みながら言った。
「なるほど、そのとおりかもねぇ。だったら、この本には君の言葉を刻もうか。テーマは、そうだねぇ……嘘偽らぬ、君の心を」
エレベーターの上昇は止まらず、ゆっくりとロープは巻き上げられていく。遠くから、風の音にまじり届く慟哭の声に、七瀬は恐ろしさよりも寂寥の念を覚えた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオS(400)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
NPC交流
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年07月14日
参加申し込みの期限
2023年07月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年07月21日 11時00分
参加キャラクター一覧
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