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【反動】
早川 珪
という人物をひと言のみで表するならば、生真面目。堅物。真正直。そんなところだろうか。四角四面とまでは言わず彼なりのユーモアの持ち主であるが、平素の限り道を違えるようなことは決してないだろう。どんな些細なことであろうともだ。
綾辻 綾花
の脳裏を巡る珪の記憶もまた、多くが彼の折り目正しい清廉さを伝えるものばかりだ。出会ってから一度でも、彼の粗暴な仕草を見たことがあっただろうか。いつだって洗練されて、ドラマや映画を演じるかのように研ぎ澄まされていた。隙なく品行方正、心からの紳士だった。綾花が惹かれたのも彼のそうした誠実さであったことだろう。
それがどうだ。
「珪……せんせい?」
「不安かい。綾花。心配することはないさ」
この上なく近い。かつて彼の端正な整いようがこれほどまでに近く寄ることがあっただろうか。
「あ、あの。近い、です……!」
「大丈夫。僕に任せてくれればいい。なにがあっても……ね」
思わず両手を押して拒むも、力ない綾花の腕はあっさりと跳ねのけられてしまう。彼はこの瞬間、どうしようもなく男だった。
「僕は、責任を取る男だよ。知っているでしょ?」
「それは、そうかもしれませんけど……!」
唇を寄せられる。咄嗟に避けてしまった。目測を誤った彼の唇は綾花の頬を吸い、悪戯するように首元を、鎖骨の上を吸った。
「や……やめてください!」
力を込めて押しのけると、彼は怪訝そうな顔を浮かべる。あえて言葉にするなら、飼い犬に手を噛まれたような顔だった。
事ここに至り、綾花も悟らずにいられない。
眼前に微笑む彼は、彼ではない。
「私、どうしてここに」
図書室で委員としての仕事をこなし、その後に下校するまでの間、しばし参考書とノートを開いた。かたわらには司書教諭、珪の姿もあった。時おり彼にノートを見せ、質問をする。大抵の問いに答えてくれた。短くも彼と繋がるひと時。綾花にとって至福の時間。
それがなぜ、ごんごんと低くうめきながら昇るエレベーターへ乗り込んでいるのだろう。しきりに軋みを上げるロープ。狭いカゴは鉄格子に仕切られ、すぐ外はまったくの空だ。赤い空。雲ひとつなく、まばゆく瞳を射る鮮烈な赤。
目の前に見慣れた顔。にもかかわらず、違和感が満ちる。
「本当に、珪先生ですか」
「それが重要かい? 君と僕がここにいる。それが大事なんじゃないのかな?」
再び伸びる手から遠ざかり、半ば本能的に鉄格子を掴む。
「はは。後ろからされるのがお好みかい」
違う。綾花の胸に警鐘が鳴り、愛おしい顔へ抱く嫌悪がもたらす混乱が頭を支配した。
彼は、彼ではないようだ。では、本物はどこに? 自分はいったい、何事に巻き込まれてしまったのだろう?
「……あ……」
声が聞こえた。か細く遠く、かすれて低く、虫の羽音のようなノイズにも聞こえて、綾花にはそれがどこからか届く呼び声と気づいた。
彼だ。本物の彼。呼んでいる。……そんな気がする。
「どうしたら……出られますか」
「うん? 出たいのかい」
「はい」
「僕がいるのにかい」
「あなたは……違いますから」
彼を模した何者かを真っすぐに見据える。見れば見るほどに彼でありながら、どこかが、なにかが決定的に違っていた。
彼は笑みを浮かべるままに肩をすくめ、
「じゃあ、教えてあげるよ」
呪文のようにその条件を口にした。
綾花の葛藤は増した。
「さあ。言ってみて。僕への素直な気持ちをね」
「あなたのことでは……」
エレベーターは上昇を止めない。全てを振り切るかのように、ひたすらに上へ上へと昇ってゆく。
昇り切った瞬間、張りつめたロープの緊張は弾け飛び、直下へ真っ逆さま。カゴごと地に叩きつけられ、綾花はその衝撃で息絶えるだろう。そう告げられた。
やけに軽い調子で述べた死亡宣告のみならず、このエレベーターから逃れるただ一つの手段についても。綾花を惑わせるのはつまり、それだ。
「嘘偽りなく……」
「そうだよ。常識や偏見、倫理道徳などに囚われない、心の底からの感情を吐露するんだ」
秘めた心の持ち合わせはある。それは確かだ。いくらか漏れ出してはいたかもしれず、当の彼へ伝わるものもあったかもしれないが、明確に伝えたことはない。
それを口にせよと言うのだ。不躾にも、目の前の彼は。
「さ、言ってごらん? 恥ずかしがることはないよ。ここには僕たち、ふたりきりなんだから」
奇妙な現象からの脱出に、キーワードが必要ならばそれを口にするのもやぶさかではない。黙ってロープが途切れるのを眺めるつもりはないのだ。
しかしながら、と相手を見据える。せめて彼が本物であったなら、非常時に背に腹は代えられず……という建前に乗っかり、堂々と想いを伝えようという決断にも至ったかもしれない。しかし彼は、本物ではないのだ。そっくりの姿を借りた、別の誰かなのだ。
そこが綾花を躊躇わせた。
「さあ。綾花」
彼の指が綾花のあごをすくい、半ば強引に目を合わせる。偽物と分かっても、彼はやはり整っていた。美しくさえ思う。
黒の瞳に呑まれゆく。そんな錯覚を覚える。
「私は」
当然にして、言葉がなめらかに滑り出ることはない。当人を前に決断したとて同じだろう。胸中を正しく言い表すのは、誰しも敷居が高いものだ。
「私は……」
空の赤い輝きに、異様な渇きを覚えた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオS(400)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
NPC交流
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年07月14日
参加申し込みの期限
2023年07月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年07月21日 11時00分
参加キャラクター一覧
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