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【表裏】
柚春は眉をしかめた。エレベーターの上昇が始まってから、もう何度目のことだろう。
「……もっかい言ってくれる?」
「だ~か~ら~。このエレベーターが昇り切ったら、プツン! あのロープが切れて、このハコは真っ逆さま。僕も君も死んじゃうわけさぁ」
「そこじゃなくて……」
先ほどからウォルターは、この人を食ったような態度を一貫させている。普段の彼もどこか飄々として斜に構えたところはあるにしろ、眼前の彼ほどの軽佻浮薄ではないはずだ。
柚春の眉間には少しばかりの似合わぬ皺が走った。
「どうやったら、ここから出られるって言ったの」
「だ~か~ら~。聞いてなかったの? 常識や偏見、倫理道徳などに囚われず、心の底から嘘偽りない相手への感情を吐露すること。それだけだよぉ、簡単でしょ?」
不意に彼は柚春の肩を抱き寄せる。髪へ、頬へ唇を寄せる。ほのかなレモンの香りは柚春の幻想だろうか。
顔は同じ。瞳の色も、しかしなにか、どこかが違う。彼の言動の浅慮や軽薄も鼻につくが、それだけではない。もっと根本的な、決定的な違いだ。
モニターをちらと見やる。
「ワット……騙されないで。僕はここにいるよ」
画面の中、見知った彼は涼しい顔を浮かべ、もうひとりの柚春の積極的攻勢をのらりくらりとかわしているようだ。こちらと向こう、おたがい声は届かないが、柚春には彼の発するセリフのひとつひとつがなんとはなしに想像できた。
「あはは。健気だねぇ。でも、残酷だねぇ。僕だってここにいるんだよぉ?」
「あなたは、ワットじゃないもの」
ウォルターを見据える。真っすぐに見つめたが、やはり違った。言葉で言い表せる違いではないが、見間違える柚春ではなかった。
エレベーターは上昇してゆく。軋みながらに。赤い空は変わらず柚春の目を射る。
それでいて、さざ波さえ立たぬ静かな胸の内のまま、柚春は口を開く。
「……僕が好きなのは、ワットだもの」
「だから、僕はここに」
「ウォルターさんのことは、尊敬してる。立派だと思う。憧れてるかも、先生として、大人としてね」
彼は怪訝そうに首を傾けた。無論、目の前の彼自身を指しての言葉ではない。
「でもね。ひとりの男の人として、僕が好きなのは……ワットだけ」
柚春を取り巻く世界は、生徒と教師の恋愛に優しくはない。世に知られればウォルターは後ろ指差され、彼が夢のひとつと語った教職を失うだろう。柚春とて理解が及ばないほど子どもではない。
その上で、抱いた感情に嘘をつきがたいのもまた恋慕の情というものだ。肩書きや年齢の隔たりあろうと、容易く気持ちは止められない。道ならぬ恋は悪だと断じられたとて、どうしろと言うのだろう。柚春には分からなかった。なにをどう言われようとも、自身を変えねばならない絶対の理由とは思えなかった。
彼が好きだ。疑いようもなく変えようもなく、それだけが柚春の真実だった。
つまらなさそうに、ウォルターが言った。
「へ~え。そりゃなんていうか、ごちそうさま。のろけてくれるねぇ、僕に対してさぁ」
「だからね。嬉しかった……本当に。彼が、『待ってる』って言ってくれたこと。待ってるのは僕ばっかりじゃないんだ、って分かったから」
彼は風のように鷹揚で、時に鉄面皮にすら見えて、しかし感情を持ちそのゆらぎも持つ、ただひとりの人間だ。
モニターを覗く。柚春の姿をした誰かの言葉には耳も傾けず、彼もまたこちらを覗いていた。
「ワットにだって、僕に言えないことのひとつやふたつ、あるよね」
上昇を止めるには心の底、嘘偽りなく抱く想いを語らねばならないらしい。彼にも、そんなものがあるだろうか。柚春には、知りようもないけれど。
「僕も、待ってる。いつか聞かせてくれるって、信じてる」
軋む。ロープがたがいを打つ音が響いた。振動が柚春の足元を震わせる。それがなんだと言うのだ。モニターの向こうには、彼がいるのだ。こちらを見つめているのだ。
「悲しい答えなんてないって……僕はそう信じてるからね」
画面の中、彼が口を開いた。
エレベーターを降りると、お目当てのカフェは空いていた。なかなか人気の店らしいが、中途半端な時間だから、混み合うのはもう少し後だろう。
「……入ろうか?」
「ん……そうだね」
振動の余韻がまだ足元を揺らしている。思わず彼の袖をつかむと、どうやら彼も同じらしく、苦笑いを浮かべた。
窓際の席へふたり、腰を落ち着ける。空は青く、カゴやロープの軋みはもう聞こえない。
注文を取りに来たちょっとイケメンのスタッフにレモンケーキと紅茶を頼み、待つ間、ほうと深く息をつく。
「なんて言ったの?」
「うん?」
「最後……言わなくちゃ、出られなかったわけでしょ」
さりげなさを装いながら、少々前のめりに尋ねたが、彼の答えはまったくもって柚春の予想のとおりに収まった。
「ヒミツ」
あの空間の奇怪さは語るに及ばないが、本心を吐露するかわり、ウォルターは窓の外を眺めたままぽつり、漏らした。
「彼女たちは……どうなったんだろうねぇ」
「え」
「僕らは出られたけれど。あのまま上昇して行ったら、さ……君と同じ顔をしたあの子は」
ニセモノの末路にまで、柚春の意識は及んでいなかった。柚春の姿をした、画面の向こうの少女はどこまでも、昇っていったのだろうか。
ウォルターの姿をした彼は取り残され、どうしただろうか。最後にあの、ウェハースのように軽い笑みを浮かべただろうか。
先ほどの青年が運んできたレモンケーキと、ほのかにスモーキーな紅茶の香りが鼻をくすぐる。フォークですくい口へ運んだケーキの味わいは、なんだか苦く思えた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオS(400)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
NPC交流
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年07月14日
参加申し込みの期限
2023年07月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年07月21日 11時00分
参加キャラクター一覧
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