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雑居ビルの四階、狭苦しいエレベーターから降りるとフライドポテトやケイジャンチキン、バーボンにクラフトビールの香りが朝衣をつつんだ。バンジョーの心地よい音色も耳へのごちそうだ。曲名は知らないがうきうきするような楽しい楽曲が奏でられている。有線やレコードではない、生バンドが演奏しているのだ。
「待ち合わせてます」
案内を断ってカウンター席に向かう。
まもなく朝衣は八重佳を見つけた。隣のスツールに腰を下ろして、
「よっしー、おひさ!」
と呼びかけた。
「おひさー」
八重佳は笑った。といってもやはり、明るいとは言いがたい。光を放っているがブラックライトのようだった。小瓶に入ったアメリカンビールを、グラスにもそそがず瓶ごと飲んでいる。フードはまだ頼んでないようだ。朝衣はバーテンを呼ぶ。
「あたしもビール、連れと同じ銘柄で。あとケイジャンチキンのバスケット。よっしーは食べたいものある?」
「任せる」
「んーと、ジャンバラヤとシーフードサラダ。ガンボスープってありましたっけ? じゃあそれお願いしまーす」
アメリカ南部を想定したダーツバーなのだ。ダーツを楽しむのはもちろん、スパイシーなメニューを楽しむだけでもいい。ガンベルト(もちろんレプリカ)で着飾ったバーテンダーが、陽気な笑みで迎えてくれる。値段もそこそこリーズナブルだった。
八重佳はビール二本目を注文した。運ばれて来たところで瓶同士をぶつけて乾杯した。朝衣としてはグラスにそそぐほうが好みだが、ここは親友にあわせてビールを口呑みする。
ぐっと一息で半分近く開け、開口一番に八重佳は告げた。
「今日、アツシと別れた」
朝衣は息をのむ。落ち着くためにジャンバラヤを一口した。
八重佳がその恋人、アツシと別れるつもりでいることは
ハロウィンの夜に聞いていた
。八重佳とアツシは朝衣とちがって大学生だ。就職活動まっさかりで、その過程において互いの意識にすれちがいが生じていたという。アツシのほうはどんな意識だったのかわからない。別れると決めたのは八重佳だった。
だけど今日、決行しただなんて。
刺激的なケイジャンソースを舌にのせたのに、辛さはあまり感じなかった。
「それで……どうなった?」
朝衣はこう聞くのがやっとだ。ステージから離れているせいかサザンロックの音は会話の邪魔にならない。楽しいアップテンポのナンバーが、ブルージーなバラッドに変化したことだけぼんやりとわかった。
「円満にさよならしたよ」
「彼、なんて」
「予想はしてたみたい。そろそろ言われるんじゃないかって思ってたって」
「そうなんだ」
「アツシね、『別れたくない』って泣いたよ」
それ『円満』とは言わないのでは、と言いかけるも朝衣は自重している。
「でもあたし、この先が想像できないって言った。この人とあと何年かつきあって結婚して、どうなるかわかんないけど子育てして一緒の墓に入って、って未来、どうしても想像できないって」
「フィーリング、ってこと?」
うなずくと八重佳はバーテンを呼んだ。注文はテキーラサンライズ、ビールという助走は終わったらしい。
「彼のお母さん、専業主婦なんだよね。で、アツシがあたしにも同じもの期待してるってわかった」
「『寿退職して専業主婦になってくれ』って?」
「はっきりはそう言わないけどね。でもあたしのシューカツなんてめちゃ軽視してたから。『どうせ腰かけじゃないか』って態度が見え見えだったし」
そりゃ就職できりゃどこでもいいとは思ってるよ、と八重佳は勢いよくテキーラベースのカクテルを飲んでつづける。
「だけどキャリアはキャリア、就職は腰かけじゃないから! てか、あたし彼のお母さんになるつもりないし」
「お母さんって」
「どストレートに言えば『セックス付きお母さん』、もともとアツシってあたしに甘えがちだったけど、それがかわいいって思ってた。でも彼、結婚したら家庭のこと丸投げして依存する気だとわかってきた。それで自分は『大黒柱でござい』とか言って仕事だけに集中する気満点だって伝わってきたんだ。だから、添い遂げるなんて無理かなって結論になった」
「彼が心を入れ替えることは期待できなかった?」
悪いとは思いつつ朝衣は訊ねてしまう。だが八重佳は首を振った。
「いま話したような内容を、もっとずっとやさしい言葉で丁寧に説明したらアツシにも通じた。『目指す未来がちがうんだね』って言って。それでさよなら、握手して別れた」
「『握手』って隠語じゃないよね」
「何よ隠語って」
「えーと、その……最後のエッチ、とかなんとか」
ちょっとー! と八重佳は声を上げたがすぐにゲラゲラ笑い出した。
「それどこの時代の話よー? バブル世代? そんなのしないってば。文字通りシェイクハンズ・アンド・グッバイだよ」
「ごめん、あたしそういうの疎くて」
そもそも『セックス付きお母さん』なんてどぎつい言葉をよっしーが使ったからじゃなーい、と朝衣は言いたくなったがちょっと考えてやめた。
よっしーが笑ってるなら、それでいいじゃない。
「泣いてたけどアツシも最後は笑顔だったよ。彼も苦しかったみたいね。互いの連絡先もスマホから消したし、彼の部屋にあたしのものとか残してないし。後腐れなしっ!」
快活に笑い声をあげ、八重佳はテキーラサンライズのおかわりを注文したのである。
「そうなんだ。後腐れなし、っていいよね」
オウム返ししつつも朝衣にはわかっていた。
よっしー、無理してるな。
本当はよっしーもつらいはずだよね。
趣味も食べ物の好みもぴったり同じで、髪型や服装も近くて、あんなにお似合いで、あんなに仲のよかったふたりたったから。
ときどきは恋人同士じゃなくて、最高の友人同士にすら見えたくらいだ。
泣けるならよっしーも泣きたかったと思う。でも、彼のほうが泣いちゃったからそれもできなかった。
「というわけで報告終わりっ。ご静聴どーもー」
八重佳が宣言したので、あとはこの話題を避け、朝衣は自分の仕事の話をしたりサーフィンの話題をするよう努めた。軽く一試合だがダーツの勝負もした。
カウンターに戻ると八重佳の飲むペースはますます上がった。もともと八重佳はよく飲むほうだが今日は格別だ。カクテルが面倒になったのか、テキーラのショットをガンガン空けだす始末である。
ヤケ酒ってやつかな。よくないな。
さすがにもうよそう、と耳打ちしようとしたところで朝衣はためらった。
八重佳が泣いているのに気がついたのだ。声を出さず乱れることもなく。ただ静かに。
「そろそろ帰ろっか?」
朝衣は彼女に肩を貸してスツールから立たせる。
「なによまだ夜はこれからでしょ~」
案の定、八重佳の口調は泥酔者のそれだ。立っているのだっておぼつかない。
「うん、これからだね。エレベーター乗ろうか」
などと相づちを打って朝衣は勘定を済ませエレベーターを目指した。
結局、あたしがおごることになっちゃったなあ。
苦笑いする。でも悪い気はしなかった。なんたって社会人、少ないけど冬のボーナスは出ている。
結局そのままにできるはずもなく、朝衣はタクシーを止め、千鳥足の八重佳に同乗して家まで送ったのだった。
「八重佳さんちょっと飲みすぎちゃって」
八重佳の両親とは顔なじみだ。事情を説明すると、朝衣も乗ってきたタクシーで部屋に戻ることにした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
11人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年06月29日
参加申し込みの期限
2023年07月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年07月06日 11時00分
参加キャラクター一覧
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