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冬の休日、昼下がり。
乾いた空気も舞う枯れ葉も、
綾辻 綾花
には届かない。すべて窓という額縁のなかの一枚の絵だ。石塀のうえで丸まった猫は、か細いながらも日照を浴び気持ちよさそうな顔をしている。
いけない。ぼんやりしてちゃ。
ここには勉強に来たんだから、と綾花は手元のノートに目を移す。
数学の証明問題に手間取っていた。目指す扉は見えているのだが、それをひらく鍵が見つからないといった状態だ。図形と数式と簡素な文書から形成された情報の海に潜って隠されたピースをひろいあつめ、手に取り検討してはため息をつく。鍵さえ見つかればあとは立体模型を組むように、手順通りすすめていけばいいとわかっているだけにもどかしい。
鍵はきっと近くにあるはずだけど――。
見えているはずなのに見つからない。もしかして見落としたのだろうか。もう一度最初からやり直したほうがいいかもしれない。
「お待たせ」
扉が開いた。といっても証明問題を解く鍵を発見したというわけではない。現実世界の背後のドアが開いただけだ。
「すみません珪先生、お手間をとらせて」
振り返って綾花は頭を下げた。立って手伝おうとする彼女に、いいからと言うかわりに
早川 珪
は首を振った。
「綾辻さんは問題に集中して」
それとも終わったかい? と告げて珪はデスク脇のサイドテーブルに、陶磁器のコーヒーポットの乗ったトレーを置いた。同じくトレーに鎮座しているのはカップにソーサーだ。いずれも縁に金色の意匠、側面には水色のトワルドジュイ調で冬の森が描かれた上品なセットだった。クッキーの小皿もある。
少し高い位置から珪はカップにコーヒーを注いだ。馥郁として深い香り、色も濃い。ヨーロピアンブレンドだという。そういえば、ミルで豆を挽く音がかすかにしていた。
「あっ」
綾花は小さく声をあげた。
「ごめん、気が散ったかな?」
「いいえちがうんです」
綾花は鉛筆を握り直すと空白の解答用紙に挑んだ。珈琲の香りが脳を刺激したのだろうか、問題を解く鍵が見つかったのである。呼吸も忘れたように書く。書きつづける。スペースはどんどん埋まりまもなく、“Q.E.D. (証明終わり)”の文字とともに埋まりきった。
「解けました」
「いいね」と笑みを含んだ口調で珪は応じ、内容を読むと赤ペンで大きな丸印を答案にしたためた。「よくできました」
問題を解けたそのことよりも、珪の賞賛が綾花には格別の褒美だった。
「難問も終わったことだし」珪は言った。「小休止にしようか」
「はい」
そうだ私と綾花は鞄をさぐる。紙の小箱をとりだした。
「珈琲に合いそうなケーキを買ってきてたんです」
冷蔵庫に入れてもらうのを忘れていましたと申し訳なさそうに告げたが、「冬だし保冷剤も十分に入っているし大丈夫だと思うよ」と珪は笑った。
「そんな気をつかわなくてもいいのに」
「いえ、せっかくのお休みなのに先生のお宅にお邪魔して、そのうえ受験勉強のお手伝いまでしてもらっているんですから」
ここは珪のアパートなのだった。築二十年程度の建物で、目立って古くもないが新しいとも言いがたい。要は平凡な建物なのだが室内に入ればそのイメージは一変する。男性の一人暮らしとは思えぬほど小綺麗なのだ。印象派タッチの風景画や日本人形などが飾られているものの、ちぐはぐではなく統一感がある。きっと珪が自分の感性に合うものだけでまとめたからだろう。サイドテーブルの向こうにはシングルにしては大きめのベッドがあり、スライド式の大きな本棚もあった。
数日前綾花は彼に、今度の休日に勉強を教えてほしいと頼んだのだった。珪の部屋を場所に指定して。
図書室でも教えてもらえるけど、ここならふたりきりだから――。
いささか勇気の必要な願いではあったものの、珪はとくに迷うでもなく「いいよ」とあっさり承諾した。
「ケーキの箱、開けていいかな?」
「もちろんです」
おっ、と珪の声がはずむのがわかった。
「レアチーズケーキじゃないか。珈琲にはぴったりだ」
「はい。冬限定のカカオとヘーゼルナッツテイストだそうで」
ショートケーキに代表される一般的なケーキが派手目で、造花の薔薇のようなゴージャスさを誇るのとは対照的に、綾花が選んだケーキはもっと純朴で飾り気のない外観だった。しかししっとりした質感は一目瞭然だしきめも細かい。控えめながら厳冬下でもしっかりと咲く白いガーデンシクラメンを思わせた。
「ありがとう。遠慮なくいただくよ」
珪はフォークを取ってきて、皿にケーキを置いて綾花に渡す。自分にも取る。
「いただきます」
彼にしてはおどけた口調で手を合せ、ケーキにフォークを入れた。
「おいしい」
「よかった」
「本当においしいよ、これ、どこの店で?」
「キャットロードの外れに去年できた店で……」
言いながらちらちらと綾花は珪の様子を観察している。
今日、綾花が珪の部屋を訪れたのには、図書館ではできない話をしたいという理由もあった。
この前のことも気になって……。
ハロウィン☆デイズの夜、珪は
「うんと若い頃、結婚していたことがある」
と言った。あの発言には仰天したが、
真相
が明かされてみれば他愛もない、それどころかほのぼのとしたかわいい話でほっとしたものだった。
いま綾花が気にしているのは、彼の遠い過去ではなく最近の発言だ。
先日綾花は図書室で夢を見た。居眠りをしていたわけではない。現実の時間では数秒程度の短さだったろう。ほんの一瞬、白昼夢に迷い込むような体験だった。だが白昼夢の世界ですごした時間はもっとずっと長く、しかも『そうあってほしい』と綾花が願うような未来だった。
未来を一言で表現するなら、珪との新婚生活だ。
しかもこのときの白昼夢を、珪も共有していたようなのだ。珪は明確な否定も肯定もしなかったが、彼の様子から綾花はそう解釈した。
夢から覚めた直後の、珪の発言が気になった。
「僕は……綾辻さんが思ってるほど格好良くなんてないんだよ」
綾花の前ではどうしても余裕があるように見せようとしてしまう。言いかえれば格好をつけてしまう。動揺することだって少なくないし、客観的には醜く見えそうな内面を、笑みで塗り隠している場面だってあるかもしれない――といった主旨の言葉を珪は述べたのだ。
私は珪先生の格好いいところが好き、でも、格好いいから好きなんじゃない。
むしろ先生の考える自身の『格好悪いところ』だって魅力のひとつだと思う。
もしまだ戸惑いがあったとしても、ここは彼の自室、よそ行きではない普段着の珪が見られるのではないかと綾花は期待している。けれどもまだ、珪が素顔をのぞかせる気配はないが。
だって、と彼に言えたらどれだけいいか。
『好きな人の色んな表情や感情って見れたら嬉しいですし』と。
そんな姿を見せてもらえるように、受験合格と恋愛成就を目指して頑張らなくちゃ。
もし彼が教師と生徒という区別にこだわっているのであったとしても、その壁が存在するのはせいぜいあと三ヶ月程度だ。
寝子高生という軛(くびき)が外れたとき、自分たちの関係はどうなっているだろう。
もっと近いものとなっているか、このままか。
離れるということだけは、ないものと信じたい。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
11人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年06月29日
参加申し込みの期限
2023年07月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年07月06日 11時00分
参加キャラクター一覧
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