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秋桜への宣誓
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いくらこの丘が『恋人たちの丘』と呼ばれているからといって、誰も彼もが寄り添い歩くわけでもない。
愛情表現は人それぞれ、恋人という距離感だってその2人それぞれだ。付き合いたてで舞い上がって、人目も憚らずイチャイチャする者もあれば、少し離れて歩くのに歩幅はぴったり揃っている付き合いの長い者もいる。
ほら、あそこにも。待ち合わせて合流した彼女のコーデをさらりと褒める彼氏の見本のような少年は――。
「ぐあっ!?」
かなり重めのチョップをくらい、頭を抑えて蹲っていた。
これが
愛猫 萌々子
の愛情表現、というわけでもない。ただ
万条 幸次
が余計なことまで口を滑らしてしまっただけだ。
「結構力入ってたよ……?」
「当然です!」
せっかくのデート。前日から天気を気にして、丘を歩くことも考慮して、悩みに悩んでコーディネートをしてきたのに。
細かいところまで見てくれて、ニーソックスの猫に気付いてくれたことも、髪型をアレンジしたことに可愛いと言ってくれたところも、高ポイントだったのに。
今までの幸次は鈍いというか、どこか思ったところを飲み込んでしまうことが多かったので、素直に褒められた萌々子は胸を高鳴らせていたのだ。
いかにもなデートスポットで、お手本のような待ち合わせでスタート出来ることに、夢見心地でいたのにだ。
「女の子を褒めてる時に下着の話なんて……」
もう一度振り下ろそうかと言わんばかりの手刀が、笑顔で構えられる。さすがにもう一度は勘弁して貰いたいので、幸次はひらにひらに謝った。
黒髪ロングに眼鏡をかけて、頭脳明晰な風紀委員――からの、生徒会役員。見た目も要素も真面目で清純な彼女が、実は派手なレースの下着を身につけているだなんて想像できただろうか。
しかもそれが、己と付き合ってからだという。つまり、己のためである。健全な男子高校生が喜ばぬはずは無い。ただ――
(何も無かった、よね?)
目に焼き付いた
扇情的な一夜
は確かにあった。でも、幸次はその全てを覚えてはいない。
だからといって、聞けるはずもない。本当に『なかった』なら何を想像したのかとチョップをくらって笑い話にできるけど、もし『あった』としたら最低だ。
高揚していたからといって、大事なことが抜け落ちているだなんて。
「……大丈夫だった? あのあと」
心配をしているのは本心だ。それでもどこか、探りを入れるような聞き方になってしまって、幸次は自嘲するようにへらりと笑ってみせる。萌々子だって当事者だ、それに何か含みがあることに気付かないわけでもない。
「罰則として、トイレ掃除をさせられました」
いくらルームメイトと喧嘩をしたからって、何の手続きもなく寮を飛び出した。たくさんの心配をかけたはずなのに、
笛吹 ぴりり
が庇ってくれたこともあり、停学や謹慎といった大事に至ることもなく、反省文と掃除で済んだ。
ただ、それだけ。
彼女からの報告は、それ以上なかった。
「そ、そっか……」
気になっているのはそれだけじゃないけれど、深くを問い質すわけにもいかない。萌々子が何も言わないのであれば、『そういうこと』にしてほしいのだろう。
彼女は誰から見ても酩酊していたのだ、目的地に向かうことができて会話が成立する程度の酔いとは言え、正常な思考であったとは考えにくい。
(だから、なのかな)
あったけど無かったことにしたい。その可能性も否定できず、幸次は自分の不甲斐なさに何も言えなかった。
「先輩のことは、何も話してませんから……安心してください」
花畑を見る萌々子の横顔は、何も責めてなんていなかった。
あの時、無断外泊で異性の家に居たとなっては萌々子の尊厳に関わると思って、心配から口止めしたけれど。改めて聞くと、まるでなんだか。
「違うからねっ!」
思わず、萌々子の肩を掴んだ。驚いた顔をする彼女を気遣う余裕もなく、幸次は捲し立てる。
「俺が罰を受けるの嫌だとか、責任取りたくないとか、そうじゃないからね!?」
「……わかっていますよ」
あの夜の記憶は、萌々子も混濁している。一糸まとわぬ姿で目覚めるまでの記憶が抜け落ちていて、結果だけみれば『そう』であったとしても、それを覚えているわけではなかった。
いつ見られてもいいように期待して、見えぬ所までオシャレをしていた。それは事実だし、自然と……そんな日が来ればと漠然と思っていたので、何があっても後悔はない。
だからって、それは彼のペースを崩してまで煽って迎えたい一線でもなかった。
「先輩、あの日……」
ぎゅうっと腕を抱きしめて、躊躇ったように口を開く。
「朝ご飯、美味しかったです」
今は、誰にも言えない一緒に過ごした時間があったこと。それだけが2人の事実だった。
なんとも言えない空気を打破しようと、萌々子はそのまま幸次の腕を引くようにして丘を歩き始めた。
コスモスを手にしている人が多いとか、鐘の音が綺麗ですねとか。ちらりちらりと恋人らしいイベントのどれから行きましょうかと含みを持たせて見つめる目に、幸次もたじたじだ。
「えっと、じゃあ……忘れないうちに」
渡したい物があるからと言われ、ベンチに座った萌々子はドキドキしていた。
自分は何も用意していないのに、彼は手土産があるという。もしかして、もしかすると……恋人宣誓書だったりする可能性もあったりするのだろうか。
「この前、サロネコがあったでしょ?
チョコ作り体験
に参加してきてさ」
カカオを砕くところから挑戦したから、香りは芳醇ではあると思う。けれど、舌触りなんかはお店の物と比べるとイマイチな所もあるだろう。苦笑いする幸次に、萌々子は一粒つまんで感嘆の息を漏らした。
「カカオからってことは、かなり大変な手順だったんじゃないですか」
チョコレートを溶かすだけでも、温度調整や艶が出るまで練ったりするのが大変なのに、それをもっと前の工程からするなんて。たまに輸入雑貨店などで取り扱っているのを見かけるが、メジャーな作り方として定着していないということは、それだけで手間が尋常じゃ無いことが窺える。
「あはは……結構力がいる作業でさ。頑張ってやり切ったよお」
最後は、フードプロセッサー頼りだったけど。それでも途中まで頑張ったのは嘘じゃ無いし、手作りには相違ない。ちょっと格好付けたくて、幸次はそれを黙っていることにした。
「手作りチョコ……嬉しいです、ありがとうございます!」
あの時のご飯も美味しかったから、幸次の料理の腕がそこそこなことは萌々子も知っている。それでも手間暇かけて壮大な工程をこなしてくれたことを思うと、このチョコレートがもっと美味しいものに感じた。
「うん、美味しいです!」
「いやあ、食べられるとは思うけど、無理に褒めなくても」
「そんなことないです、本当に美味しいですってば。そうだ、先輩も1口どうぞ」
差し出されたチョコレートに、思わず幸次は息を呑んだ。
味見もした自分が作ったチョコレートだけれど、彼女に差し出されると途端に魅惑的に見えるのだから不思議だ。
「え、えっとぉ……?」
「ほらほら、遠慮なさらず!」
幸次がチョコレートと萌々子を見比べているのを見て、悩んでいることなんて萌々子にはお見通しだ。だからこそ、口に押し込むこともせずにそのまま待った。
なぜなら、口元に寄せられたから仕方なくと口を開くより、悩んだ末にこちらへ口を寄せてくるのを待つ方が面白いではないか。
どこかワクワクしている萌々子に、これは「あーん」の許可が出ていると、勘違いではないともう一度自身の中で確認した幸次は、おずおずと口を開く。それだけでは届かず、若干彼女の指まで顔を寄せなければならないのが恥ずかしくもあるし、勢い余って指まで含まないように気をつけようとすると、照れが滲んで上手く食べられない。
(あ、食べた! 照れててなんだか可愛いです)
満足げに笑う萌々子は、幸次の葛藤なんて気付いていないのかもしれない。
それでも。嬉しそうだからいいかなぁなんて。つい許したくなる顔をしているから、仕方が無い。
「これを食べたら、どこに行く?」
「コスモスの花畑に行きましょう! 想いをのせて交換すると聞きました」
彼に贈るなら、彼のように優しいピンク色を。
……それが、ちょっぴり首を捻る『乙女の純潔』という言葉を持っていたとしても。
あなたに見せる面は、あなたに捧げる私は、穢れなき清い心であなたを想っている。
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担当ゲームマスター
浅野 悠希
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年03月14日
参加申し込みの期限
2023年03月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年03月21日 11時00分
参加キャラクター一覧
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