this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
秋桜への宣誓
<< もどる
1
…
9
10
11
12
13
秋風に揺れるコスモスは、丘の傾斜に合わせて膝元から胸元までの高さに育っている。
ちょうど目に付く高さなことと、手にしている人が多いことが気になって、
嘉島 和穂
はその色とりどりな花をのんびり見ましょうと提案した。
可愛らしい花だし、派手でもなくて。熱烈でいかにもな花言葉の無いコスモスなら、きっとゆっくり見て回ることができるはず。
(い、いい加減落ち着かなくちゃ……)
どこか不自然ではなかったかな、と見つめる先にいる
クルト・エールヴァール
は、変わらず優しく微笑んでいる。その格好良さに多少取り乱してしまうのはいつものことだし、今すぐどうにかできることでもない。
だからって、いつまでたってもこのまま、というわけにもいかないのもわかってはいるのだけれど。
隣を歩く手の甲がぶつかりそうで、きゅっと鞄を抱え直すようにして手を引っ込める。片想いならともかく、付き合っているのだから遠慮はいらないはずなのに、どうしたって恥ずかしい。
話題を探すように近づいてきたコスモス畑へと目を向ければ、幸せそうな人の多いこと多いこと。小学生でさえ、片手にはコスモス、片手は恋人としっかり手を取り合っているというのに――。
「……いいなぁ」
「和穂ちゃん?」
うっかりと漏らしてしまった声に、どう訂正をいれようか。慌てふためく和穂は、気付かれないことを祈ればいいのか、それとも気付いてもらったほうが念願の『素敵な彼氏とイチャイチャ』が実行しやすいのか迷った。
遠くで猫恋の鐘が少し寂しく鳴っている。やはりここは、堅実に行けという猫神様の思し召しかもしれない。
「あの、えっと……!」
「……ああ、好きなのを一輪貰えるようだな。行ってみるか?」
目の前の水色のロープを張っているエリアのコスモスであれば持ち帰って良いらしく、内部に出入りしている人が多い。これなら遠慮することはないと微笑むクルトに、和穂は安堵したはずなのだけど。
(でも、やっぱり……言っても良かったかなぁ)
今でも十分に幸せだから、触れあうだけが想いを伝え合う手段でないとも思う。
それは、彼は不器用ではあるけれど、その端々に想いを乗せてくれていると信じているから。
(自惚れ……じゃない、よね?)
コスモス畑のネームプレートを見付けたクルトが、その花言葉に真剣な眼差しをむけていたり、別の色を見てふと目元を和らげるところだったり。
好きだからこそ、じっと見つめているからこそ気付くことがある。それと同じだけ、自分も伝えられているだろうか。恥ずかしがってまごついているのを、彼は呆れていないと思うのだけど。
(それに甘えるのは、違うよね)
想いはきちんと伝えなければ。過信しないようにと言い聞かせて、和穂は最高の一輪を選ぶようにコスモスを見る。今日の思い出にぴったりなのは赤だと思うけど、ぎゅぎゅっと詰めすぎた濃い赤はチョコレート色に近くなってしまうし、そうならないようにと大人しい赤を選べば気持ちがぼやけてしまっているようで難しい。
ちょうど良い赤、というのはどれくらいだろうか。
「……懐かしいな」
遠くのピンク色のコスモスを眺めていたクルトが呟く。その色は、2人にとってちょっと
思い出
のある色だ。
「お付き合いする前にも、お互いに渡しましたね」
「ああ。確か、チューリップ……だったか」
優しい春を告げる人気の色。労いとか優しさとか、相手を思いやる言葉が込められるピンクのチューリップには、『愛の芽生え』なんて意味もある。
あの時は、和穂からの建前はお礼だった。それも嘘ではないけれど、購入先の店が押し出していた『大切な人へ』というフェアのことは、こっそりと秘めておくつもりだったのだ。
けれどクルトは、それを知ってか意識せずか……同じ店で用意した物を贈ってくれた。
「花言葉も、無視できませんね」
偶然の引き合わせでも、もしかしたら本当に始まりになったかもしれない。
そう思うと嬉しくて、コスモス選びも余計に緊張するのだけど。和穂は今の気持ちを表すのに相応しい色を選び取った。
満足いく物が選べたのだろう和穂の笑みに、誘って良かったと思うクルトだが、今日はこうしてのんびり過ごすだけのつもりはない。
「少し、買い物をしてきていいだろうか」
「はい。妹さんへのお土産ですか?」
縁結びの物が多いであろうこの丘の物ならば、悪縁を遠ざけ良縁を願うことも悪くは無い。が、本当にそれが良縁であるのか、兄心としては些か手厳しい目で見てしまうことだろう。それに。
「恋人たちの丘に来ているのに、和穂ちゃん以外の女性を思うわけがない」
至極当然のように発した言葉は、思いのほか真っ直ぐ過ぎたらしい。和穂は手にしたコスモスと同じくらいに頬を赤らめて、はわはわと動揺している。
「えぇっと……私への、お土産ですか?」
「お土産、という言葉が適切かはわからないが」
例えばペアで持つキーホルダーの類いなども、沢山並んでいるだろう。それこそ南京錠を買って、2人の縁がいつまでも続くように願ってかけるでもいい。
でも、今日考えていたのは違うことだ。
(断られることはないと思うが……)
今まで、そう表だって恋人らしい振る舞いというものが出来ていた、とはお世辞にも言えない。不得手である自覚もある。それは、彼女を怖がらせない距離感をはかっているとか、照れくさいとかではなく、どうしたらいいのかわからないためだ。
ずっと慕ってくれている彼女に、何かを返せているだろうか。不器用ながらも想っていることを、どうすれば伝えられるだろうか。そう思っているときに、偶然この話題を見かけた。
「恋人宣誓書を、一緒に書きたくてな」
土産物屋についたクルトは、買う物が決まっていたため迷い無く会計を済ませる。その間、和穂は店の入口でただじっと彼を見つめることしかできなかった。
先ほどもイベントの案内でチラッと見たけれど、字のごとく『恋人』であることを『宣誓』するのだ。確かに恋人であると2人が認めて、それを聞き届けた証人によって捺印が行われ書面は完成する。
そんな改まった誓いをしようと誘われて、和穂は喜びのキャパシティがいっぱいいっぱいだ。
「お待たせ。こっちで書けるみたいだ」
「は……はは、はいっ!」
緊張しながら隣に並ぶ和穂に、クルトの心もじんわりと温かくなる。
まずは、宣誓書に名前を丁寧に記入して。記念日はいつがいいだろうか、彼女のためにこれから頑張ることは何がいいか。ひとつひとつを手を止め真剣に考えているクルトが、それだけ和穂を想っていると言っても過言ではない。
「……俺はあまり、こういった事を表現するのが上手くないらしい」
ぽつりと、でも和穂が聞き直さなくてもいいくらいにはハッキリと。クルトは宣誓書に記す彼女へのメッセージを枠内に収まるように言葉を選ぶ。
「それで和穂ちゃんを不安にさせてはいないかと思ってな。こういった形にはなるが、改めて伝えるべきかと考えた」
書き終えた宣誓書をざっと確認する。形式こそ違うが、それは覚悟を決めた婚姻届のようにも見えた。
(……気の早いことだ)
ただ今は、そんな未来を夢想するよりも地に足をつけてしなければならないことがある。
クルトは恋人宣誓書を和穂に差し出し、真摯に、愛しさが伝わるようにとその瞳を見つめた。
「――俺は君が好きだ。君の穏やかな雰囲気も、恥ずかしがり屋で初々しい反応を見せるところも」
勢いで言うのではなく、きちんと届けられるように。ゆっくりとかみ砕くように、愛しい全てを伝えていく。
何かに後押しされなければ伝えられないというのは不甲斐ないが、それでも伝えたいと思った誠意だけは、きちんと伝わって欲しくて。
白いコスモスに乗せ、尊い想いを余すこと無く言葉にして贈る。
「仕草や、笑顔。俺を呼んでくれるその声も……そんな君に好いていて貰えるなら、俺は幸せだ」
言い切ったクルトは、反応を伺うように和穂を見つめている。クルトの想いがわかるからこそ、和穂は嬉しくて……半端な言葉を口にできなくて、こうして形にしようとしてくれていることに、舞い上がってしまう。
真面目な彼への返事のように、まずは宣誓書に名前だけでもと記入する。それから、自分からのメッセージの欄には何を書こうかとか、彼の欄は参考に見ようか提出が終わってからの楽しみにしようかとドキドキして。
「ふふ、なんだかすごく……いつもですけど、本当にいつも好きだなぁって……思ってしまいました」
その顔が、本当に幸せそうだから。自分の言葉ひとつ――では無かったかもしれないけど、正直な想いは彼女を幸せにできると気付いて、クルトは微笑みを浮かべる。
懸命に自分の項目を埋めた和穂は、最後に赤いコスモスを添えた。
「乙女の愛情、なのです。えへへ……」
「ありがとう、和穂ちゃん」
「では、行こうか」
差し出された手にそっと重ね合わせ、また丘にはひとつ幸せそうなシルエットが出来上がる。
それは、この丘では珍しくない光景で、数多くいる恋人たちに紛れ込んでしまう距離感。
でもクルトと和穂にとっては、互いのペースで歩み寄った、大事な距離。
<< もどる
1
…
9
10
11
12
13
このページにイラストを設定する
あとがき
担当マスター:
浅野 悠希
ファンレターはマスターページから!
みなさまご参加ありがとうございます、浅野です。
お花のご指定が無い人には、これが似合うかなと探し。
お花のご指定があった人には、ニヤニヤしながら描写しました。
縁にも色々ありますが、鍵のように固く結ばれたかは見えないもの。
たまには言葉にのせてはっきりと、それが躊躇われるときは花言葉に頼ってもいいと思います。
皆様がすてきな時間を過ごせていますように!
ご意見ご感想、もしくは「読んだよ!」の代わりにダイヤリーのページチェック入れて頂けると、めちゃくちゃ喜びます。
お時間ありましたら、よろしくお願いします~!
↑ページトップに戻る
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
秋桜への宣誓
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
浅野 悠希
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年03月14日
参加申し込みの期限
2023年03月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年03月21日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!