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新涼灯火
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1日の時間は変わることがないけれど。夏と比べて風が涼しくなったなと思った頃には、日が落ちるのも早くなっていて、気付けば朝の訪れを知らせる小鳥の囀りも聞こえるのが遅くなっている。
夜の時間が長く感じ始める、そんな秋。
朝鳥 さゆる
にとっては好ましい季節ではないのかもしれないが、本棚の前に立つ彼女は幾分か穏やかだ。
今までであれば、長い夜を過ごす方法などひとつしかなくて、それが叶わぬなら眠剤を、それでもダメなら星を数え。眠れぬ夜を過ごしてきた彼女が、こうして穏やかな夜を過ごそうとするのは珍しい。
共に暮らす
姫木 じゅん
と恋人関係になれたことで、生活サイクルを含め平穏を紡ぐことに少しずつ慣れてきているのだろうか。寝付けずにいたにも関わらず、ため息と共に薬に手を伸ばすこともなかったことに、驚きと少しの照れが滲むさゆるの手は、本棚の前で彷徨い続けていた。
……いや、単純にじゅんの蔵書に戸惑っている、というのもあったのかもしれない。
アニオタであるじゅんの部屋の本棚には、当然のように漫画にラノベ、アニメの設定資料集や画集、それからBL本の数々が恐らくジャンル分けされて並んでいる。それ以外となると、精々実用書の類いか美容に関する本が無くはない、といった程度だ。
(確かこれは、アニメの2期が決定したとか言ってた……それでこっちは、舞台化、だったかな)
どれくらい凄いことなのかはわからないが、じゅんが大騒ぎするのだ、とても人気な作品なのだろう。
何冊か聞き覚えのあるタイトルや目に留まった物を手に取って、テーブルにのせる。ついでに温かな飲み物でもとキッチンに向かおうとして、さゆるはふと掛け時計に目をやった。
(……まだ帰ってないのね)
キャバクラには珍しく、というのも失礼な話ではあるが、きちんと法を遵守している店だ。営業時間はきっかり深夜12時まで。会計などの諸事情で1時まで開けていてもお目こぼしになるケースはあるらしいが、店長の方針で客の送り出しも含めて深夜12時でキャストがあがれるように営業努力をしている。
ここから、じゅんの仕事先まではそんなに離れていない。変な客に執拗に絡まれているとか、深酒で足元が危ない場合は送迎車に乗ることもあるだろうが、そういった事情の無い限りはサクッと徒歩で通勤しているから、いつもならこうして夜更かしをしている今頃には帰ってきているはずなのだ。
(後片付けが長引いているのかな)
きちんと守られる店だから、キャストもそれに応え仕事をする。ただ座って猫なで声で話すだけではなく、大きな店では裏方の人間がやるような仕事であっても、自分の手が空いていれば率先してやる。それが当たり前にできる人が集まって支え合う店だからこそ、じゅんも居心地がいいのかもしれない。
お湯が沸き、一人分ならインスタントで済まそうかとスティックタイプのコーヒーを開ける。調理器具も分量を量る手間もなく淹れられて、数種のフレーバーもセットになっているそれは、風が冷たくなってきた時に適当に購入したものだ。
こういうときには便利であるが、のんびり蒸らして少しずつお湯を注ぐ時間を2人で過ごすのも、悪くないのではないだろうか。なんでもないささやかな日常を、共に過ごすなら。
(……なんてね)
軽く一混ぜして、テーブルの元へ。さて、何から読んでみようか。
あまり好んで読むジャンルではないが、じゅんと共有出来る物が増えたら楽しいだろうかと、まずは聞き覚えのあったタイトルの漫画からパラパラ捲ってみる。……が、流し見が悪かったのか興味を引かれない。
いや、主要キャラとストーリーが追える程度には、きちんと読んでいる。細々とした書き文字に伏線が張られているのなら見落としたかもしれないが、そんなコアなところは普通読み込むものだろうか? 例え後半から熱い展開がと言われたって、そこまで我慢強く読み続ける必要もないだろう。
1冊、2冊……そうして数冊読んでみたけれど、さゆるには正直どれも代わり映えしないように思った。漫画がダメなのかとラノベも読んでみたが、少し癖のある言い回しで読み切れそうにもない。
(……じゅんは、まだ帰ってこないのかな)
店の子たちと夕飯でも食べに行ったのかもしれない。そうなると、この夜長の相手をしてくれるのはここにある本たちだけだ。
少し趣向を変えようかと、次はBL漫画を手に取った。じゅんが言うには、属性やら何やらで派閥があって大変らしいことや、商業誌と個人誌で傾向が違うだとかいう話だったが、これは何になるのだろう。
普通の漫画の感覚でページを捲り、その展開の速さに虚を突かれる。少年漫画がなかなか試合の決着がつかなかったり、少女漫画が似たような悩みの堂々巡りで人間関係が全く進まないのに対し、これは違う。いや、物語としての進展は別として、1話ごとに必ず濡れ場がそれなりのページ数で現れるためか、話の勢いが強いのだ。
思わず、さゆるは部屋の入口と背後を確認する。……大丈夫だ、じゅんは帰宅していない。
変な緊張感はあったが、先を読み進めたいかと言われたらそうでもなく。なんだかこれでは、行為そのものをピックアップしていて、同性同士の恋愛であることに意味はないような気がした。
ふう、とため息を吐いて本を閉じる。選んだものが悪かったのか、じゅんと好みが合わなすぎるのか。どちらにしても、なんだか少しやるせない。
読み終わった本を積み上げ、次へと手を伸ばす。どうやら最後の1冊だ。
ここまでくれば大した期待もできなくて、すっかり冷めてしまったコーヒーで間を繋ぐ。スマホにも通知は特にない。そりゃあいつもなら寝ていることも多いけれど、遅くなるならなるで連絡をくれたっていいのに。
(これは……?)
裏表紙のあらすじを読む限り、百合小説のようだった。『孤独な女子高生』と『アニオタ童顔キャバ嬢』というフレーズに、一瞬目を疑った。表紙や巻頭ピンナップを見る限り、女子高生がゴスロリファッションでキャバ嬢はラフな服装を好んでいるようで、何故か安堵の息を吐いてしまうくらいには身に覚えがありすぎる。
とは言っても、ちょっとキャラ付けに特徴的な要素を付けられただけで、きっとこれもご都合的な展開だったり、とってつけたような重い設定があるだけだろう。
それでも食わず嫌いをせずに、とりあえず読んでみようとするのがさゆるの長所だ。その実直さゆえ避けられなかったことも多々あるだろうが、誠実に向き合うことのできる性格は、どれだけ世の汚さを目の当たりにしても失わなかった。
(……っ、この2人)
服の好みこそ真逆だけれど、何から何まで登場人物はさゆるたちにそっくりだった。
リスカ代わりに行きずりの相手と関係を持つことで自我を保つ女子高生が、中学生にしか見えないキャバ嬢に叱りつけられる出会いも。
酒に酔っていても、未成年を保護するべくタクシーを呼ぶほど真面目な相手を釣ってしまったことに、最初こそハズレを掴まされたと思ったことも。それでもなお『安全な場所』と連れだった先で相手が欲に負けるのを待ち――いや、もかしたら。どうにもならない痛みに気付いていたからこそ、荒々しい面を刻み込んでくれたのかと思うような衝撃さえもが、見てきたかのように綴られている。
共感からページを捲っていた指が、自然と2人の行く末を追いかけていく。読み進めていくほどに小さな疑念は確信に変わり、彼女たちの行く末が明るくないことに気付いてしまった。
(こんなに似ているのに、悲恋に終わるなんて)
いやだ。
まるでなぞらえたようにそっくりな2人に訪れる結末がそうだというのなら、自分たちだってそうなるのではないか。恋人期間など短い夢で、すぐにでも覚めるのではないか――不安から幾度となく本を閉じようと力を込めるけれど、巧みなストーリーテリングに抗えなかった。
気付けば文字が霞んでしまうほど涙を浮かべたまま、最後の一行を噛みしめるように読んでいた。
――あたしを離さないで
その台詞は何回かでてきた。
初めは「拾ったら面倒みなさい」と茶化すように言った女子高生が、キャバ嬢に軽くあしらわれてしまう。
次は「本気になったら重いわよ」と滲ませたキャバ嬢が、何の気なしに呟いたけれど……女子高生は自分に手一杯で上手く答えられなかった。
そして最後。もう手遅れだとわかっていて、それでもと縋るように女子高生は口にする。まるで最初からやりなおそうとでも言うように、声音だけは茶化すようにして。
なんと返事をもらったかまでは描写がなかった。ただ、彼女らがどんな選択をするかわかりきっている読者に突きつけられたのは『この答えが甘かったことなど一度もない』という終わりだ。
袖で涙を拭いながら、さゆるは思い返す。じゅんと口約束はいくつして、そのうち本気にしていいものはいくつあるだろう。
玄関から鍵を開ける音がして、ハッとする。何はともあれ、じゅんは『帰ってきてくれる』のだ。
「起きてたの? いやーもう参るわ、ケーサツに事情聴取とか勘弁……」
仕事の愚痴を零そうとしたじゅんは、出迎えたさゆるが泣きはらしている様子に言葉を失う。駆け寄って事情を聞こうとするも、安堵からかさゆるは一度止まっていた涙が再び零れ始めた。
「……ごめんなさい、この本の二人が、あまりにあたしたちに似ていて……」
さゆるが手にした本の表紙を見て、じゅんは何かを言いかけたが、聞きたくなかった。
もしじゅんと作中のキャバ嬢が同じ気持ちで、離れようとしているのだとしたら受け入れられない。
「じゅん……このままずっとキスして、あたしを離さないで」
願いを込めて抱き寄せる。想いをこめて、口づける。
2人の未来はこうならないと、甘く確かな約束を求めて。
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担当ゲームマスター
浅野 悠希
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年01月10日
参加申し込みの期限
2023年01月17日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年01月17日 11時00分
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