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一通り作業が済んで、一息入れようと理緒は立ち上がった。
「確か、廊下の途中にあった自販機はフリーだって言ってたよね。何か貰ってくる?」
手堅くお水と言いたいところだけど、気分転換も兼ねて少し甘い物が欲しい。紗月の今の気分はなんだろうかと、もう一度訊ねてみても紗月は押し黙ったままだった。
「それか、少し出てくるって声をかけてコンビニか……カフェでも探す? 外の空気も吸いたいよねっ!」
二人で作業をするなら十分でも、やっぱり小グループ用の会議室に籠もっていれば、その狭さに息苦しくなって当然だ。
今居るビル街であれば、簡単にお店も見つかるだろう。ランチタイムの過ぎた今なら、どこもそんなに混んでいないだろうし、忙しない空気もなくのんびりできるはずだと、理緒は提案するのだけれど。
(……疲れてるんだよね?)
俯いている紗月が、一言も発さない。恥ずかしがっていた写真を載せようって押し切ったから?
それとも、大学の課題を打ち合わせまでに終わらせるって約束したのに、終わってないのバレてるとか?
何か怒らせることをしただろうかと考えれば、理緒の中には大なり小なり心当たりしかない。
スカートを握りしめるようにして拳を作った紗月が、ゆっくりとこちらを見ている。唇は固く閉ざされたままだったけれど……心なしか、紗月の瞳は何かを堪え潤んでいるように見えた。
(違う、これは)
怒っているんじゃない、心を痛めているときの顔だ。
内に籠もりやすく、感情を発散させるのを我慢するかのような所のある紗月は、よく言えば冷静で控えめ。けれど別の言い方をすれば、理解ある身近な者であっても見落としかねないほど上手く、破裂する寸前の風船を抱えていることに気付かせない危うさがある。
そういう面があると理解はしていても、周囲を探るより振り回すほうが得意な理緒にとって、この重い空気が今し方出来たものなのか、ずっと前から紗月が何でも無いように装ってきて生まれたものなのかまでは、察することができなかった。
それでも、気付かないフリを押し通すほど愚鈍にもなれない。
「あのさ、どう――」
「ねえ、理緒ちゃん」
何か声をかけなくてはと理緒が声を絞り出すのと、紗月が覚悟を決めるのは同時だった。目を逸らさず、真っ直ぐに名を呼ぶ紗月は間を置かずに言葉を続ける。
「私……もうこれ以上『親友』のままではいられない」
言っている意味が、すぐには理解できなかった。
少なくとも理緒にとって、紗月はただの親友という存在ではない。それは紗月も同じだと思っていたし、ひとり浮かれていたなんてことはないはずだ。
最愛の恋人――それが、まだ自由恋愛を叫び始めた世間からは冷たく見られるものだったとしても、嘘偽りなく紗月に伝えることのできる関係の名前。
では、紗月以外に対してはどうか。そこまで考えて、ようやく理緒は理解した。
「理緒ちゃんは、マリンパラダイスのこと……覚えてるよね?」
忘れるわけがない。
普段はどこへ誘うにも理緒から声をかけるのに、あの日は紗月から誘ってくれたんだ。
ナイトツアーに行きたいと言ってくれたとき、どれほど浮かれていたことか。これからもこうして遠慮無く甘えてくれたらいいなとか、自分ばかりが思いを募らせて、追いかけているのではなくて良かったなとか。
だから――普段は気をつけていた距離感を間違えた。暗がりだからと、人でごった返す場所ではないと油断して、似たように同性と寄り添う睦まじい人たちに……自分たちの関係が悪目立ちしないだろうと。
「私は、理緒ちゃんにとって『親友』でいなきゃダメ?」
そんなことないと声を荒げかけて、理緒は肩を震わせる紗月に言葉を飲み込んだ。
気持ちが伝わっていないのかと怒鳴りたいのでも、心配しているのが解らないのかと責めたいのでもない。大事な何かを伝え忘れているのなら、優しく届けてあげたい。安心して笑えるように包んであげたい。
思いは、確かにあるのに。
「紗月……」
フォローする言葉が、何も浮かばなかった。
悪意ある中傷から守るためにも、親友の距離でいようとしてきたはずなのに。そうすることで何を守ってきたのだろう。
紗月も同じくグラドル業界に足を踏み入れたことで、自分だけが矢面に立てば済む状況ではなくなった。もし真実が露呈したなら、一時の話題性は膨らみ仕事量は増えるかもしれない。でもその後は?
目立てば目立った分だけやっかみも、言われなき罵詈雑言も飛んでくるのに、どうして紗月は今になって。
(……どうして?)
わかってくれないのと嘆くのは簡単だ。
あなたのためを思っているのよ、なんて責任を転嫁するだけで、立場は一気に糾弾される悲劇のヒロインにすり替わる。けれどそれは、自己中心的なところのある理緒にでも言えなかった。
「理緒ちゃんと一緒に居られたら嬉しいと思ってた。でも、違うの……私はね『友キス』をする親友には……」
わかってなかったのは、理緒のほうだ。
こんなに悲しい顔をさせるまで、何も気付いてあげられなかった。少し紗月の立場になって考えればわかることだ、何でも抑え込む彼女の本音を聞こうと向き合ってさえいたなら、追い込むこともなかったのに。
「私たちのことを公表しようってことじゃないよ、理緒ちゃんがSNSでの騒ぎを収めてくれて良かったと思ってる。でもね、やっぱり私は……ちょっと寂しかった」
自分たちの関係が、世間からどう見られるかだなんて紗月もわかっている。人の目を集める仕事をしていることだって、単独の撮影が増えた今なら自覚もあるはず。
それでもなお、声を上げる。仕方ないねと微笑むでもなく、理緒ちゃんが言うならと一歩引くでもなく。それほど、紗月の中で想いが強く定まっているのだ。
(あたしは?)
悲しませるために親友でいたんじゃない。なのに、ここまで覚悟を決めた恋人に、かける言葉もないなんて。
……これでは、己の保身のためだけに距離をとっていたようではないか。
――コンコンッ
「やあやあ、作業は順調? ――って、どうしたの」
編集担当が扉を開けるまでに表情を作りきれなくて、二人は困惑する。言葉に詰まっていた理緒は、どこかでこの来訪に安堵し、へらりと笑って見せた。
「オフショの黒歴史を載せるか載せないかで喧嘩しちゃって」
今のところ決まっている写真を見せながら、理緒はスタッフと話を詰める。
ソロとツーショットのバランスには気をつけたが、オフ要素が多めではないかとか。表紙にって話のあった写真は『満を持して』って感じに後ろのページに持ってくるのはどうかとか。
その話の最中、理緒は一度も紗月に話題を振らなかった。
いつもなら、どれだけ打ち合わせに白熱しても「だよね?」なんて軽く意思確認をする程度には紗月も話題に加われるようにするのに。
喧嘩をしたとは言っていたけれど、見たこともない様子にスタッフは戸惑ってしまう。
「うん、じゃあこの方向で……とりあえず今は、休憩して仲直りしてくるのが先かな?」
またあとで様子を見に来るねと言い残したスタッフを会釈で見送ると、紗月は緊張した面持ちで理緒を見る。
言い淀むこともなく、ただ真っ直ぐに見つめる瞳が紗月の意思が変わらないことを伝えている。
(覚悟を決めなきゃ)
今までのように、なあなあで過ごすわけにはいかない。
だけど、すぐに答えを出せずに理緒はふいと視線を逸らした。
写真家からも太鼓判を押され、自身もシャッターが切られたときに最高の出来を感じ取った奇跡の1枚。
この時間を切り取るのではなく、この時間の中でいつまでも過ごせたなら。殆どがリラックスしている沖縄ロケの写真は、見られているという意識があったせいもあるだろうが――『親友』と言えるもので、時折悪ふざけのボディタッチがある程度では『恋人』なんて思われないだろう。
(……紗月が、こんなにあたしを求めてる)
愛しい人が覚悟を決めて、己を切望する。その独占じみた想いに、理緒の何かがどくりと脈打った。
ぱたりとノートパソコンを閉じて、いつも通りの顔をして微笑めば、紗月はいっそう顔を歪ませる。
「まあその話はさ、今度しよーよ。今日は写真選びで疲れちゃったし」
誤魔化されたと思ったかもしれない。考える時間が欲しいと言えば良かったのかもしれない。
それでも、あえて理緒からはこれ以上触れなかった。
……ずっとこうして、紗月が己のことを考えていたらいいのにと思っているのを隠すかのように。
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担当ゲームマスター
浅野 悠希
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年01月10日
参加申し込みの期限
2023年01月17日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年01月17日 11時00分
参加キャラクター一覧
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