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賑やかな夕食が終わり、洗い物をしていた
梓 智依子
は浴室から響く愛娘、楓の声に頬を緩ませる。
いつも一緒に入浴するときも元気で、シャンプーの泡で変な髪型を作って見せたり、湯船に浮かべるバランストイなんかは2人で白熱してしまうときもあるくらい、お風呂は楽しく入ってくれる。
意外と浴室の声は響くのだなと思って、楓をお願いした祖母を疲れさせてやしないかと心配にはなるが……最近は1人で身体も洗えるようになってきているし、そこまで手がかからないはず。
(……拭くのもそこそこに脱衣所を飛び出してきたりしなければ、だけど)
時折、こうして祖母とお風呂に入ることもあるけれど、シャンプーが上手と褒められたとか、壁面にくっつくパズルで凄いのを作ったから見てだとか、この短い時間にあった出来事を真っ先に報告に来てくれる。
それは嬉しいのだけど、ちゃんと拭かないからパジャマが濡れてしまって着替え直しになったりもするし、夏場はドライヤーを嫌がって家の中で追いかけっこが始まってしまったりと悪戦苦闘していた。
そんな楓も先日誕生日を迎え、祖父に「随分お姉さんらしくなったな」と言われてからは、お転婆な言動は控えめになったような気がする。……気持ち程度の変化かもしれないけれど。
(そうだ、今日の本は何を読んであげよう)
最近は眠る前に絵本を読んで貰うのがお気に入りらしく、楓にせがまれることが多くなった。おかげで、繰り返し読む本も増えてきたから新しく買い足したほどだ。
洗い物を終えて、どんな物語だったか先に目を通しておこうかと本棚へと向かう。確か童話集だったから、いくつかの物語が入っていたはずだけれど。
(童話といっても少し難しい話や、悲しい結末になっていることもあるし)
地域によって、時代によって少しずつ変化することのある童話は、出版社によっても物語が違ってくる。楓に読み聞かせるようになって、改めて触れた絵本の内容が幼い頃の記憶と違っていることもあって、智依子自身も少し楽しんで読んでいるくらいだ。
先日ニャレッジヴァンガードで買ったのは、100年ほど前に書かれたという童話集の復刻版。表紙には夜空を見上げる猫のシルエットが描かれていて、表題にもなった
『流れ星になった子猫』
を含め全部で6編が収録されている。
流れ星というと、願い事が叶うという前向きなイメージもあるが、星になるという表現はどうだろうか。智依子は挿絵を眺めるようにページを捲り、そのメインとも呼べる物語を読み進めてみた。
(子猫が主人公なら、楓にもわかりやすいお話だといいけど……)
絵本は様々な立場にたって物を考えるためのツールになる。喜怒哀楽の感情を育むためにも、様々な物語を読み聞かせてあげたいとは思う。
……けれどこの表題になった童話は、智依子でさえ少し考えさせられる内容だった。
『お母さんは、お星様になるのよ。いつでもお前を、あの空から見守っているからね。
だから安心して、強く生きていくのよ』
残していくことになるだろう子猫を思っての、母猫の言葉。
死期を悟っていたからこそ、残してあげられる物を、伝えたい思いを込めた言葉。
この母猫の伝えたい気持ちは、痛いほどわかる。もし何か病気で似たような状況になってしまったら、智依子だって楓が寂しがらないように言葉を尽くすだろうし、安心させてあげたい。
でもそれは、残す側の独りよがりだと言われれば返す言葉もない。現に、主人公である子猫は夜空を見上げて悲しみの声を上げ続ける。
ひとりぼっちになってしまったことはわかっても、母猫の言葉を前向きに受け止めることはできないくらい、まだ幼かった。
大好きな母猫がいない寂しさに耐えきれず、その意味を知ってか知らずか子猫は目指してしまうのだ。同じようにお星様になれば、もう一度は母猫に会えると信じて――。
(……これは、まだ難しいかな)
楓にも、そして自分にも。
無邪気に「なんで?」と問われたとき、きちんと答えられるだろうか。癇癪を起こさせず、楓が納得できるように……もし「ママもいつかはお星様になっちゃうの?」なんて聞かれても、言い聞かせることができるだろうか。
今はきっと、答えられない。側に居られる奇跡を噛みしめてしまうばかりではいけないと思うけど、それでも悲しみや不安はもう少しだけ……楓が一緒に考えてくれるほどに大きくなるまでは、考えないようにしたい。
(私もまだまだね)
子供に教えを説く大人になるには、人生経験が短い。そして子育ても一人目だ、どうしたって先輩である祖父母の知恵と力を借りなければならない面も多いだろう。
この話は何歳くらいから読み聞かせるべきか、一緒にどんなことを考えてあげられればいいのか。そんな相談をして、母として自信をつけなければ。
続いてページを捲ると、水たまりに映った月をじっとみている猫の挿絵が目に留まる。猫の表情もどこか悪戯を考えているようなコミカルなもので、もの悲しい印象はない。
タイトルは
『お月さまをひろった猫』
と書かれており、智依子は「なるほど」と苦笑した。
(……うん、これなら楓も喜んでくれそう)
「ママー! 髪の毛やって!」
パラパラと全体を確認している間に、楓がお風呂から上がってきたようだ。ドライヤーを抱えて、話したいことがたくさんあると言った顔で部屋に飛び込んできた。
「あのね、ばーばとしりとりをしてたらね……それなーに?」
「今日の絵本よ」
「あたらしいのだっ! じゃあ、きょうはすぐねるっ!」
そのまま寝所に走って行こうとするものだから、智依子は慌てて呼び止めた。
まだ髪も乾かしていないし、歯磨きだって終わってない。
(これは、寝かしつけるのも苦労するかもしれないわね……)
新しい本に浮かれはしゃぎ回ることは無かったが、楓は大笑いをして布団の上を転がっていた。
「あはははははっ! もういっかい! 水たまりを見つけたところから、もういっかい!」
「えぇ……? もうこれで3度目よ?」
このままでは、目がさえて眠れないなんてことになってしまうのではないか。
枕を抱えて身を乗り出すように絵本を覗き込んでいた楓に掛け布団をしっかりかけ、これで最後よと約束をとりつける。
雨上がりの月がきれいな夜。
月見を楽しんでいた一匹の猫は、きらきらと揺らめく月が地面にもあることに気づきました。
「お月さまが落ちている。手を伸ばせば、ひろえるかもしれないぞ」
水たまりに浮かぶ月を手繰り寄せるように、猫は必死に水をかきます。
何度も、何度も月は大きく揺れますが、あともう一息が届きません。
「水の底に沈んでいるのかもしれない。ようし、飲み干してやろう」
ぴちゃぴちゃ、ごくごく。猫は一生懸命に水たまりの水を飲みますが、やっぱり月は出てきてくれません。
お腹がいっぱいになってしまった猫は悔しくなって、お月さまに飛びかかりました。
「これでもう、逃げられないぞ!」
けれど、お腹が重くて思うように動けなかった猫は、足をもつれさせてしまいます。
ばっしゃーん!
たぷんたぷんのお腹から水たまりに飛び込んで、びしょ濡れになってしまった猫は気付きます。
あっちにも、こっちにも。水たまりの数だけ、お月さまが転がっているのです。
「あんなにいっぱい! あっちのお月さまなら、ひろえるかもしれないぞ」
「そして猫は……」
先ほどまで肩を震わせて笑っていた楓から寝息が聞こえる。
笑いすぎて疲れてしまったのか、すやすやと眠る様子にホッとした。
「おやすみ、楓」
優しく頭を撫でてやり、起きてこないことを確認して本を捲る。もう一度、
『流れ星になった子猫』
へとゆっくり目を通した。
(いつかは、読んであげなきゃいけないお話ね)
その時までに、母としてもっと成長していなければ。
表紙を眺め、智依子は暫し考える。……まだ、悩む部分もあるけれど。
(大丈夫、楓は弱い子にはならないわ)
苦みのない甘い世界で育ててあげることはできないから。智依子は決意を秘めて、本を棚に戻した。
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あとがき
担当マスター:
浅野 悠希
ファンレターはマスターページから!
みなさまご参加ありがとうございます、浅野です。
たいっへんお待たせしました!
シルバーでは足りない文字数が、ゴールドでは伸び伸び書けすぎて楽しかったです。
色んな本との関わりかたがあって、思い思いに過ごせて頂けたなら嬉しいです。
ご意見ご感想、もしくは「読んだよ!」の代わりにダイヤリーのページチェック入れて頂けると、めちゃくちゃ喜びます。
お時間ありましたら、よろしくお願いします~!
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担当ゲームマスター
浅野 悠希
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年01月10日
参加申し込みの期限
2023年01月17日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年01月17日 11時00分
参加キャラクター一覧
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