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誰が言い出したのかは知らないが、秋は大忙しだ。
食欲の秋、読書の秋、芸術の秋、それから……ざっと思い浮かべるだけでも、何をしようかと迷ってしまうほどに『○○の秋』は多い。
けれども
小山内 海
は、その誘惑を振り払うように真っ直ぐ本屋へと足を向けた。もちろんそれは、読書の秋を満喫するための新刊を求めてではない。
(受験生にとっての秋は、勉強の秋だよね)
試験の時期は学校や願書の申し込み種別によって異なるため、早いところではもう始まっている。次は自分の番だと言い聞かせる海には、秋の行楽シーズンを謳ったタウン誌も、ドラマ化が決定した話題の原作コミックスも、誘惑にすらならなかった。
(参考書のコーナーは……あった。美大の、ええと……)
志望校は決めてあるから、対策本と実技試験用の教本はある程度絞り込める。広い売り場の中から目的の棚を見つけ、並ぶ『美術』という文字にふと気付く。美大の受験勉強であれば、芸術の秋と読書の秋が一度に堪能できるのではないか。
勉強のために教本を読むことを読書と呼ぶかは意見が分かれるところだろうが、季節関係なく一心不乱に勉強に取り組むよりは、秋を満喫していると思っていたほうが楽しく勉強できそうだ。
なんだかやる気が出てきた海は、まず有名な出版社の教本をを手に取った。
パラパラと中を確認するように眺め、値段を確認して一旦棚に戻す。何かと入り用な受験生のためにと、母からは余裕を持ってお小遣いを渡されているが、想定した通りに安くはない値段だ。
(うーん……)
次に、あまり知らない出版社の物を手に取ってみる。読み込んではいないので細かい違いはわからないが、大筋の抑えている内容は同じようだ。だが、要点の書き出し方がやや乱雑な印象があり、装丁も紙が薄いのか捲る時の音が気になる。
先ほどの物と比べると、こちらのほうがコンパクトな仕上がりで持ち運びもしやすそうだが、文字が詰め込まれ過ぎていて気疲れしそうなのも、購入を躊躇わせた。
ちらりと値段を確認すれば、手頃な値段ではある。同じ内容であればお得に感じるが、それでも頭に入ってこなければ意味が無い。
(また買い直すことになっちゃったら、それこそ出費が嵩むわけだし)
もう一度、有名所の教本を手に取った。ブックストッパーがなくとも開きっぱなしに出来る構造は、とくに実技の資料を眺めながら実際に描いてみる時には重宝しそうだし、印刷の色使いも目に優しい。有名になるには理由があるのだなと、安心感がある。
(うん、やっぱり買うならこっちかな。あとは……)
今日の目的はこの教本たちだから、このままレジへ直行してもいいけれど。
大きな通路へ出てきたとき、カゴを見つけた海は吸い込まれるようにしてそれを手に取った。抱えていた本を入れて片手が空けば、その手は新たな商品を手にすることが出来る。
確かに今日の買い物は普段と比べると値は張るが、ついで買いは悪いことでもないだろう。せっかくお店に立ち寄ったのだからと、まず訪れたのは文房具コーナーだった。
(……ノートはまだ、どれも大丈夫のはず)
それでも見れば、何か思い出すかもしれない。例えばシャープペンシルの芯だとか、マーカーだとか。今のところ予備はあるはずだけど……そう思いながら歩いていると、秋の新作がずらりと並んでいる所に出たようだ。
季節色のインクを使ったペンに、ノート作りに役立ちそうなスタンプやマスキングテープ類があって、可愛らしさに一瞬目を奪われる。試し書きにと手を伸ばしかけて、持ち直したカゴの重さにちらりと教本へ視線を落とす。あくまでお小遣いの上乗せは受験勉強代、贅沢をするためのものではない。
(もちろん、勉強は頑張るけど)
あったら便利なものと、必要なものは違う。勉強の意欲や効率が上がるなら検討の余地はあるが、そうではないなら衝動買いすべきものではない。
ペンの1本くらいでとも思うけれど、後々になって必要な物が出てきたときのために、無駄使いは控えなければ。
(……ここは、今の私には必要ないかな)
また見かけることがあれば、その時は縁があったのだろうと思うことにして。誘惑の多いコーナーを後にして次に向かったのは、絵具のコーナーだ。
こちらも特に切らした記憶はないけれど、売り場を流し見るようにして確認する。あるもの、急ぎではないけど買いたいと思っているもの。それから専門店に行くべきもの……と、冷静に考えながら歩いていると、カゴの中身は増えなかった。
これはこれで悪くないはずなのに、何故だかちょっとスッキリしない。折角来たのだから何か買ってもという思いと、高価な買い物をするのだからこれで良かったのだという思いがせめぎ合って、足はレジに向かってくれないのだ。
――いや、本当は気になっている物がもうひとつ。
本屋なのだから、当然メインは文具ではなくて本である。そこに踏み入れてしまったら、気になっているタイトルをついつい手に取ってしまうだろうと思って、近寄らないようにしていたけれど。
(……ちょっとだけなら)
観念したように横目に見たのは新刊コーナーだった。
じっくり立ち読みするわけでもないし、のんびりリラックスタイムを計画しているわけでもないし。
気になる本はあるかなと眺めるくらいであれば。気分転換にと踏み入れた場所には、ジャンル別に所狭しと平置きされたコミックスに、映像化が決まったポップや特装版と大きな特典の付いた本が目のつきやすい高さの棚に面置きされて並んでいる。その向こうは入れ替わりの早い週刊誌で、それからこっちは小説に実用書。
(あっちは先週の売り上げ順の展示で、ここは……)
賞を取った作家の作品まとめや、この夏に記録的興収を上げた映画の原作小説シリーズ。新旧問わず、何かと話題の作品を集めたコーナーのようだ。
その中で、準新作くらいの立ち位置だろうか。気にかけてはいたけれど手を伸ばす機会が無くて、未読のままな恋愛小説が目に入った。
変に病気や不慮の事故なんて重い設定もなく、ただ当たり前を生きる等身大の高校生たちの恋愛模様を描いた小説。中高生からは共感を、上の年代からは当時の甘酸っぱさが蘇ると評判になったシリーズだ。
舞台と登場人物は同じだが、本によってそれぞれ主人公が変わり視点が異なるため、どこから読んでも楽しめるのが、手に取りやすい理由でもあった。
(今回の主人公は……男の子なんだ)
背を預けられる幼馴染み北田花(きただはる)と、姫のように守
りたいクラスメイト里中千央(さとなかちひろ)。その両者ともに
『大切』だと思う天橋満(あまはしみつる)は、この感情に疑問を
持ち始めた。
「大切って、こんなにいくつもある物なのか?」
安心感と庇護欲は己を満たすだけで、相手を見ていないのではと
苦悩する満は、二人と距離を取り始める。だが、花にも千央にも、
今のままで過ごすわけにはいかない想いがあって――?
大切の意味を、愛情の色を探し迷う三人はスチールブルーの迷路
に迷い込む。
裏表紙のあらすじを読み切った海は、なぜかドキドキしながら改めて表紙を見た。
夕暮れの教室で二人きりになっている男女と、その教室の外のドアでしゃがみ込んでいる少女。三人とも逆光なこともあり表情までは読み取れないが、キャラクターのシルエットから誰かを予測することはできそうだ。
(なんか、これ……)
どこかで聞いたような、心当たりがあるような。でもやっぱり、ちょっと違うかも。
パラパラと文体をチェックするようにだけ本文を見る。……苦手な言葉運びでもなさそうだし、読んでみようか。
(……勉強の間に、息抜きも必要だよね)
この主人公がどういう選択をするのかとか、どんな悩みを抱えるのかだとか。それは彼とは違うとわかっていても、次のデートの参考に出来る物があるのではないか、なんて思ってしまって。
それならもっと、甘い恋物語のほうがいいだろうか。でも、完璧すぎるエスコートができるような人ではなくて、ちょっぴり期待した反応が返ってこずにヤキモキしてしまうくらいで丁度良いのだけど。
(それから――って、ちがうちがうっ!)
思い浮かべてしまった大切な人の顔を振り払うようにして、そそくさと次の棚へと向かってみる。手には、しっかりと件の恋愛小説を握りしめたままだった。
(面白そうだし、1冊だけなら)
勉強を疎かにするつもりは毛頭無い。だからこそ、合間の息抜きが大事になってくるはずだ。
もちろん、大切な人たちと過ごす時間だって勉強を理由になくしてしまっていいわけがない。
顔を赤くしながら、海は恋愛小説をカゴの中に入れる。他にもあればと棚を見るけれど、先ほど読んだあらすじが気になって、どれを見ても『これ』という印象が残らない。
(読み終わったら、また探しに来てみようかな)
勉強に追われる受験生の、一度きりの秋。
大切な高校最後の秋が楽しい色になりますようにと、海は嬉しそうにレジへ向かった。
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担当ゲームマスター
浅野 悠希
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年01月10日
参加申し込みの期限
2023年01月17日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年01月17日 11時00分
参加キャラクター一覧
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