this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
新涼灯火
<< もどる
1
…
6
7
8
9
10
つぎへ >>
謎に包まれたことのほうが多いと思っていた
早川 珪
のことを、またひとつ知れた。
どんなところに住んでいるのかなという疑問は、
ひょんなこと
から訪問する機会に恵まれ解決したのだ。
また遊びに行けたらいいなという願いは、すぐに叶わないかなと苦笑して。それでもこれをきっかけに……と思う
綾辻 綾花
の口元は緩みっぱなしだ。
(今度は本棚を見せてもらいたいな)
図書室の棚を整理しながら、彼の部屋にはどんな本が並ぶだろうと思い馳せる。
突然の訪問だった前回は見ることが叶わなかったそこには、まだ隠された『彼』がいるかもしれない。
(本棚って、ちょっと心を見られるような恥ずかしさがあるし)
そんなことを思うのは、自分だけだろうか。作家であったりジャンルであったり、趣味嗜好がぎゅっと詰まっている場所をまじまじと見られたくないようで、親しい人には知ってもらいたいような気持ちになれる場所。
彼は恥ずかしがるだろうか、気にしないだろうか。
誰とも共有できない独特の本棚をしているだろうか、分かち合える何かがあるだろうか。
プライベートな空間のさらに奥が気になって、綾花はちらりと彼の姿を探す。今なら、貸し出しリストを見て人気の傾向を確認したり、誰かに本のアドバイスをしているだろうか。
「誰か呼ぼうか?」
そっと通路から顔を覗かせた綾花に声をかけたのは珪だった。探し人から先に声をかけられるとは思っていなかったため、綾花は驚いて片付け途中の本を取り落とさないように、ぎゅっと抱きしめる。
「あ、えと……珪先生に本を選んでもらいたいなって」
「いいよ、キーワードを教えてくれたら、絞り込んでみるけど」
言いながらも、すでに珪はいくつか候補があったように微笑んでいる。今まで読んだ本について話す機会もあったし、読みやすい本でお勧めを考えておいてくれたのなら、それも嬉しいのだけど。
「珪先生の思う、私にぴったりな本を……珪先生の家の本棚から選んでほしいです」
「それはまた難問だね」
図書室や図書館、店先に並ぶ本から選んでもらうのとは訳が違う。彼のプライベートの空間に入ることが許された、厳選したタイトルからこれという一冊を見せてくれたなら、心の一部を渡されたような気がするから。
「だから……また、お邪魔しても良いですか?」
何らかの期待が込められた綾花の目に、珪は逡巡する。
読書は好きでも、そう蔵書が多いわけでもない。多種多様なジャンルを取りそろえているわけでもないから、彼女が気に入る一冊を提案できるかというと難しいのだけど。
その他大勢の生徒であれば、『心当たりの本があったら学校に持ってくるよ』と答えることが出来ただろう。
なのに、いつからか。
「……いいよ、じゃあ今度の休日に取りに来るってことで」
綾花が本当に読書が好きだということは良く知っているし、どんな本を読むのかという興味を持ってくれたのだろうことも想像が付く。
部屋へ上がり込むための口実が何割かあるような瞳に、本当は節度が求められていることもわかっているのだけど……勇気を出してくれたのであろう事も、伝わっているから。
気付けば素っ気ない答えは難しくて、珪は何でも無いことのように装うので手一杯だ。
「ほ、本当に珪先生の家に行っていいんですか?」
あまりにトントン拍子に行き過ぎて、綾花は我が耳を疑う。次のチャンスがこんなに早く訪れるとは思ってもいなかった。
次に訪問するときまでに、とびっきりのコーディネートを考えようとか、手土産は何がいいかなとか。考える楽しみだってあるとは思っていたけれど。
「うん? まあテスト問題は探したって出てこないし、掃除をしてくれても内申点はあげられないけど」
くすくすと笑う珪が朴念仁であれば、綾花が本当に本だけが目当てで行きたいと言っていると思ったのかも知れないが、少なからずは珪を思っていることも伝わっている、はずで。
(それでも、家にいれてくれるってことは)
彼が何を思って了承してくれたのかはわからないけれど。綾花は赤くなる頬を抑え込んで「嬉しいです」と素直に笑うことにした。
そして約束の日。
2度目となる珪の部屋に招き入れられた綾花は、少し緊張気味に本棚のあるスペースへと足を踏み入れた。
前回は少し広めのダイニングで勉強道具を広げることになったため、その扉の奥を目にするのは初めてだ。
「お邪魔します……」
黒いスチール製の本棚が、細身ではあるが天井まで壁面を覆うようにいくつも並んでいる。ノートパソコンを広げる程度がやっとの小さな机と、その上の空間には書類ケースと小物が置かれていた。
物が少ないキッチンと打って変わり、書斎は物がぎっしりとしているが溢れているといった風でもない。
(これが、珪先生の部屋)
共通点を探すように、新しい面を探すように。綾花が壁伝いに本棚を眺めていると、珪が慌てたように肩を掴んで引き留めた。
「待って、そっちは……っ!」
思わず近寄った距離に、鼓動が跳ねる。緊張で体温が上がったからか、綾花のまとう香りが2人を包んだ。
観覧車で謎解きに挑戦したとき
につけていたコロンと似ているけれど、あちらが清楚で上品な印象のホワイトフローラルであったなら、今日はもう少し元気な印象のフルーティフローラルの香水。つけたばかりの今は、柑橘に混じって桃や苺の甘く爽やかな香りが漂っている。
ぱちぱちと瞬いて見上げる綾花をくるりと半回転。もう一度部屋の中心が見えるようにすると、珪は恥ずかしげに間延びした声を出す。
「……この棚、間仕切りに使っていて……向こうは寝室なんだ」
(しんしつ)
「ちょっと洗濯物も溜めちゃってたから干してあるし」
(おせんたくもの)
わかっていたことだけど、ここで珪が生活している。
いつもの知っている先生になる前の、気の抜けた姿で過ごしているだろう場所。もしかしたら、あられもない姿でこの部屋をウロウロすることもあるのだろうか?
……そう思うと、なんだか緊張とは違う恥ずかしさが襲ってくる。
「だから、今日はこの部屋までね。……ああ、これ。読んだことあるかな」
話題を変えるように本を差し出され、深くは問おうとしなかったけれど。綾花はちょっぴり気になった。
何でも無いことのように言うけれど、『今日は』この部屋までなら『次は』どこまで?
(また今度があるってこと……?)
借りた本を返しに来るときとか、食事が心配になって差し入れに来たりとか。ちょっと近くまで来たからなんて言って訪ねることもあるだろうか。
「これが、先生の思う私にぴったりの本ですか?」
そんな本を、誰にでも選んであげるだろうか。生徒の何人が、この棚の前に立っただろうか。
(今までは、恋に前向きになれなかったかもしれないけど……)
雨を苦手とする理由を知って、ずっと珪が気にかけていた『HALO ~氷解無垢~』も見つかって。幾分か憂いが晴れて前を向き始めたばかりの彼に、全てを求めるのは酷だと思っている。
それでも、彼が笑っていられるように支えていきたいと願って、綾花は本を抱きしめた。
「ぴったりって、どういう意味かなって考えてみたんだ」
他にも候補があったようで、珪は棚に手を伸ばしながら穏やかな顔をしている。
例えば綾花の趣味に合うであろう本、綾花らしい感性の主人公が出てくる本。何をもってぴったりと言うか、司書としての知識を総動員して――それは一度端においやった。
「どうしてですか?」
「僕が選ばなきゃダメと思ったから、かな」
どこの司書に聞いても返ってくるような模範的な回答ではなくて、綾花を知る人なら連想する物でも無くて、珪にしか辿り着けない答え。いろんな『ぴったり』を想定した本のなかから、唯一を選ぶなら。
「きっと、これが僕の思う綾辻さんにぴったりなんだと思う」
それがなんであるかは、読み終わったあとの答え合わせにしようかと笑って見せる。曇り無いその笑顔に、綾花も嬉しそうに微笑み返した。
綾花もいくつか珪に読んで欲しい本を持参していたので、お互いにお勧めの本を読んでは感想を言い合い、途中で目を休ませるように飲み物を飲んで寛いで。気付けば、窓の外は赤みがかってきている。
あまり長居するものではないと思っていても、綾花は珪といられる時間を少しでも引き延ばしたかった。
「もうこんな時間なんですね……後片付けもお手伝いします」
帰る準備を促される前に席を立ち、カップを手にキッチンへ向かう。それでもインスタントで済ましていたから洗い物は少ないし、本も数冊読んでは棚に戻してきたからそう散らかってもいない。
「いいよ、そのまま置いておいてくれたら」
「ダメです。すぐに洗わないと落としにくくなっちゃいますし……あっ! 珪先生、お洗濯物!」
思い出したようにベランダに駆けていく珪に、なんだか家事を分担する新婚さんのようかな、なんて思ってみたりして。綾花は2人分のカップを幸せそうに洗うのだけど、さすがにそれだけだと時間を引き延ばせなくて、カップやテーブルを磨き上げるようにきっちり拭いていく。
その姿を、部屋の入口で珪がぽかんと見つめていた。
「……? あ、もしかしてこれ、台拭きじゃなかったですか!?」
「いや、合ってるよ。なんていうか……うん」
言っていいものかと珪は言葉を選ぶように思案し、苦笑した。
「落ち着くね……その、香り」
時間経過によって、ジャスミンやスズランといったホワイトノートが優しく漂う。
自分以外の誰かがいると知らせるように。
<< もどる
1
…
6
7
8
9
10
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
新涼灯火
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
浅野 悠希
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年01月10日
参加申し込みの期限
2023年01月17日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年01月17日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!