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- 00月00日生 00歳
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寝子暦1371年のハッピー・ハッピー・ハロウィン☆デイズ！
クラブ『プロムナード』は毎週土曜日がもっとも混雑する。ハロウィン☆デイズの昨夜ともあればそれこそ、各従業員手が四本ずつほしいくらいの忙しさだっただろうから木野 星太郎は来店を控えた。ナンバーワン嬢泰葉の引退が近いだけになおさらだ。
もっとも星太郎自身とて、昨日はとことんビジーだったのだ。経営する美容室は朝から予約が一杯で、昼休憩すらまともに取れなかった。すべて終えたときには乾いたスポンジみたいに生命力ゼロの状態であり、夕刻に店を閉めてから古書喫茶『思ひ出』なる店にふらり立ち寄り休憩したのが、同日ほぼ唯一の仕事外の活動だったといえよう。プロムナードで盛り上がるのは体力的にも無理だったと思う。
ふふーん、でもねん♪
脳内で歌う鼻歌は、ちょい古J-POPか童謡か、あるいはその両方がごちゃごちゃになったものか。
どんなに忙しくたって、遊び心は忘れないんだからぁ。
星太郎はめかしこんでいた。白いスタンドカラーシャツに柄物の着物をあわせ、履くは高下駄提げるは帆布鞄、これぞまさしく和洋折衷、けれど東西の要素が喧嘩せず、うまく融合しているところが面白い。明治末期から大正あたりの書生を気取ってみたわけだ。度の入っていないロイド眼鏡をあわせてみたらそれこそ、下宿の二階からとんとんと降りてきそうなタイムスリップ感があった。
完璧なルックであるがここにいたるまで、ずいぶん星太郎は悩んだものだ。スタンドカラーシャツといっても素材も色もそれぞれで、『あの時代』感を演出しようとすると案外難しい。ふたつの候補でさんざ迷って、セカンドベストは土曜日に仕事着にして外でも来て、ちょっとだけパレードも観に行った。
もちろんベストの衣装が本日だ。日曜日は『プロムナード』も休みである。九鬼姫を誘ったら『昼まで寝とると思う。夕からならいいぞ』なる返事もゲットした。星太郎の美容室は本日も営業中かつ駆け込みコスプレ需要継続中、さすがに昨日ほど予約パンパンではないもののやはり仕事は仕事である。むしろそのほうがありがたい。
夕方まで仕事といえばぁ。
せっかくだし声かけちゃおう。星太郎はアーナンド･ハイイドに連絡をとってみた。
――と、ここまでが先週までのあらすじだ。
日曜夕方、はずむ気持ちと自慢のコスプレを装備して、星太郎はシーサイドタウンに見参した。
最終日の夕暮れ時も、まだまだにぎわうハロウィン☆デイズである。コスプレ客でいっぱいだ。大通りの左右にはたくさんの屋台が並んでいる。たこ焼きお好み焼き唐揚げケバブ、おでんに焼き鳥ベビーカステラ、定番のものがならぶなか、目指すものを見つけいたいたと星太郎は手を振った。
「はぁい♪ やってるー？」
「ああ、星太郎さん。どもですよー」
ジャストタイミングだったといえよう、アーナンドは屋台を片付けているところだった。
「今年も大入りで、思ったよりずっと早く売り切れてしまったです」
アーナンドは例年通り印度カレーの屋台を出していたのである。カレーはチキンとダル（豆）から選べて、テイストは激辛・マイルド・甘口の三種、ナンとミニライスのセットだ。なお普通のカレー店の辛口は、この店ではマイルドに相当する。甘口でやっと中辛レベルなので注意が必要だ。
「ちょうど良かった。片付けはアタシがやっとくからアーナンドちゃんも着替えてきなさいな」
「でもそんな」
「いいから任せなさいっ！ アーナンドちゃん昨夜もずっと『プロムナード』切り盛りしてたんでしょ？ やっとオフになったんだから楽しまなきゃ。ほら行った行った！」
牧羊犬みたくアーナンドを仮設更衣所に追いやると、せっせと星太郎は作業にいそしむ。
アーナンドが戻ってくるころには、テーブルもテントもたたみ終わっていた。後は翌朝回収車に積み込むだけである。
「おっとそれってアーナンドちゃん！」
彼のコスプレを見て星太郎は両手を挙げた。
「バンカラ学生ってやつじゃない！ もしかしてアタシにあわせてくれたの！？」
「ははは、似合いますか？」
金ボタンの学ラン、ロゴが金色の学帽、おまけに黒いマントである。なのに下駄履きというのも実にバンカラだ。がっしりしたアーナンドの体型にはぴったりであろう。
「星太郎さんが『昔の学生』っぽいのでまねしてみたですよ」
「気がきいてるじゃない♪ でも昔の学生じゃなくて、『儚げな書生さん』と呼んでほしいわね。『儚げ』がポイントよっ」
「『墓場』げ、ですか？ 墓地っぽい？？」
「ちがうわよっ！」ムキー！ 飛び上がる星太郎だ。「『儚げ』よ『は・か・な・げ』っ！ ていうかアタシのこの言動ってぜんぜん儚くないけどもっ！」
なお、無理はしないお年頃ということで選んだのがこの衣装だと星太郎は力説した。
「無理はしない、ですか」
「……何か言いたそうね？」星太郎はじろりと鋭い一瞥をくれた。
ともかく準備は整った。
いざ行かん、スタンプラリーに！
もっとも星太郎自身とて、昨日はとことんビジーだったのだ。経営する美容室は朝から予約が一杯で、昼休憩すらまともに取れなかった。すべて終えたときには乾いたスポンジみたいに生命力ゼロの状態であり、夕刻に店を閉めてから古書喫茶『思ひ出』なる店にふらり立ち寄り休憩したのが、同日ほぼ唯一の仕事外の活動だったといえよう。プロムナードで盛り上がるのは体力的にも無理だったと思う。
ふふーん、でもねん♪
脳内で歌う鼻歌は、ちょい古J-POPか童謡か、あるいはその両方がごちゃごちゃになったものか。
どんなに忙しくたって、遊び心は忘れないんだからぁ。
星太郎はめかしこんでいた。白いスタンドカラーシャツに柄物の着物をあわせ、履くは高下駄提げるは帆布鞄、これぞまさしく和洋折衷、けれど東西の要素が喧嘩せず、うまく融合しているところが面白い。明治末期から大正あたりの書生を気取ってみたわけだ。度の入っていないロイド眼鏡をあわせてみたらそれこそ、下宿の二階からとんとんと降りてきそうなタイムスリップ感があった。
完璧なルックであるがここにいたるまで、ずいぶん星太郎は悩んだものだ。スタンドカラーシャツといっても素材も色もそれぞれで、『あの時代』感を演出しようとすると案外難しい。ふたつの候補でさんざ迷って、セカンドベストは土曜日に仕事着にして外でも来て、ちょっとだけパレードも観に行った。
もちろんベストの衣装が本日だ。日曜日は『プロムナード』も休みである。九鬼姫を誘ったら『昼まで寝とると思う。夕からならいいぞ』なる返事もゲットした。星太郎の美容室は本日も営業中かつ駆け込みコスプレ需要継続中、さすがに昨日ほど予約パンパンではないもののやはり仕事は仕事である。むしろそのほうがありがたい。
夕方まで仕事といえばぁ。
せっかくだし声かけちゃおう。星太郎はアーナンド･ハイイドに連絡をとってみた。
――と、ここまでが先週までのあらすじだ。
日曜夕方、はずむ気持ちと自慢のコスプレを装備して、星太郎はシーサイドタウンに見参した。
最終日の夕暮れ時も、まだまだにぎわうハロウィン☆デイズである。コスプレ客でいっぱいだ。大通りの左右にはたくさんの屋台が並んでいる。たこ焼きお好み焼き唐揚げケバブ、おでんに焼き鳥ベビーカステラ、定番のものがならぶなか、目指すものを見つけいたいたと星太郎は手を振った。
「はぁい♪ やってるー？」
「ああ、星太郎さん。どもですよー」
ジャストタイミングだったといえよう、アーナンドは屋台を片付けているところだった。
「今年も大入りで、思ったよりずっと早く売り切れてしまったです」
アーナンドは例年通り印度カレーの屋台を出していたのである。カレーはチキンとダル（豆）から選べて、テイストは激辛・マイルド・甘口の三種、ナンとミニライスのセットだ。なお普通のカレー店の辛口は、この店ではマイルドに相当する。甘口でやっと中辛レベルなので注意が必要だ。
「ちょうど良かった。片付けはアタシがやっとくからアーナンドちゃんも着替えてきなさいな」
「でもそんな」
「いいから任せなさいっ！ アーナンドちゃん昨夜もずっと『プロムナード』切り盛りしてたんでしょ？ やっとオフになったんだから楽しまなきゃ。ほら行った行った！」
牧羊犬みたくアーナンドを仮設更衣所に追いやると、せっせと星太郎は作業にいそしむ。
アーナンドが戻ってくるころには、テーブルもテントもたたみ終わっていた。後は翌朝回収車に積み込むだけである。
「おっとそれってアーナンドちゃん！」
彼のコスプレを見て星太郎は両手を挙げた。
「バンカラ学生ってやつじゃない！ もしかしてアタシにあわせてくれたの！？」
「ははは、似合いますか？」
金ボタンの学ラン、ロゴが金色の学帽、おまけに黒いマントである。なのに下駄履きというのも実にバンカラだ。がっしりしたアーナンドの体型にはぴったりであろう。
「星太郎さんが『昔の学生』っぽいのでまねしてみたですよ」
「気がきいてるじゃない♪ でも昔の学生じゃなくて、『儚げな書生さん』と呼んでほしいわね。『儚げ』がポイントよっ」
「『墓場』げ、ですか？ 墓地っぽい？？」
「ちがうわよっ！」ムキー！ 飛び上がる星太郎だ。「『儚げ』よ『は・か・な・げ』っ！ ていうかアタシのこの言動ってぜんぜん儚くないけどもっ！」
なお、無理はしないお年頃ということで選んだのがこの衣装だと星太郎は力説した。
「無理はしない、ですか」
「……何か言いたそうね？」星太郎はじろりと鋭い一瞥をくれた。
ともかく準備は整った。
いざ行かん、スタンプラリーに！
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2023年01月15日
- 参加申し込みの期限
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- 2023年01月22日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2023年01月22日 11時00分
