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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
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寝子暦1371年のハッピー・ハッピー・ハロウィン☆デイズ！
パレードの流れが止まりつつある。ちょうどいい機会だ。
噂で聞いたんですが、と綾辻 綾花は切り出した。
「うん？」
早川 珪は小首をかしげた。背が高く大人びた珪なのに、不思議そうな顔をするときだけは小動物、もっといえば枝の上の小鳥を思わせる仕草を見せることがある。ずっと年上のひとにつかう表現ではないかもしれないが、そんなときの先生はこのうえなく可愛い――ひそかに綾花は思っているのだ。
珪先生の特別な仕草を、知っているのは私だけです。
ちょっぴり得意に思う。
ほかにも綾花は知っている。
苦笑するとき彼は、片側の眉のほうがより大きく下がること。
ぎっしり詰まった本棚を前にすると、真剣なまなざしになり顎に手を添えること。
大事な言葉を口にするときはよく、すぐには告げず一拍おいてから、霧のようにそっとつぶやくこと。
きっと彼の両親だって、ここまで詳しくは知らないはずだ。
小鳥のような珪をずっと観察していてもいいのだけれど、じらすのは綾花の目的ではない。仮装パレードの最中なので、多少はっきりめに告げた。
「えっと、イソラ・ガレッジャンテのお見合いイベントです。寝子高の独身の先生方が参加されるって聞きました。でも、珪先生は参加されないんですよね」
ああ、と珪は小鳥からいつもの彼に復した。
「その話ね。うん、僕はパスさせてもらった。若杉先生に声をかけられそうになったから隠れたよ」
苦手なんだ、そういうの、とためらいもなく言いのける。
「でも五十嵐先生とか、参加した先生がたの健闘は祈っているよ」
ほら、と綾花は満足げに思う。
珪先生、眉の形が苦笑のそれになってます。
「でも珪先生が参加されたら、大変なことになったと思います」
「大変？ そうかな」
「ですよ。珪先生は、か……格好いいから、わらわらと女の人がむらがってきそうです」
心から思っていることではあるものの、面と向かって『格好いい』と呼ぶのには照れてしまう。
「ありがとう。でも買いかぶりすぎだと思うな。僕なんかきっと誰にも相手にされないよ」
「そんなこと！」
だっていまだって、と叫びたいくらいの綾花だった。
信じられないくらい格好いいんですから！
珪の仮装は小説の登場人物、東洋テイストのファンタジックな軍装で、すらりとした背丈によく似合った。生地はもちろん月と剣の留め具もイメージカラーはダークブルーで、襟の徽章は蒼い宝石だ。トーガ風のマントも星明かりを浴びた夜の湖のよう。原作小説は来春実写映画化されるという話だが、主演に配役されているアイドル歌手なんかより、珪こそがまとうべき衣装だと綾花は思わずにはいられない。
綾花も彼に仮装をあわせていた。彼女の装束は同じ小説のヒロインなのだった。月のモチーフが彼だとすれば綾花は対、太陽のモチーフでまとめている。金の首飾りにオレンジのワンピース、髪飾りも燦然たる色彩だ。
珪と綾花の組み合わせは、見る人が見ればすぐにそれだとわかるだろう。原作ファンならばまずまちがいなく、珪は作品イメージを具現化していると太鼓判を押すはずだ。
私は……『不釣り合い』と思われなければいいけど……。
でも猫背で歩きたくない。イメージ台無しではないはずだ。胸を張って、歩きたい。
腕を組むはおろか手もつながない珪と綾花だが、きっと多くの原作ファンは、似合いの組み合わせだと思ってくれるだろう。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
走る小学生が転んだのを助けて手当てした。
迷子になっていた幼い少年を見つけて、手を引いて迷子案内センターに連れて行った。
七星は息をつく。いつのまにか、パレードの参加者ではなくパレードを守る側になってしまったような気がする。
それでも七星は困っている人を見れば見過ごせない。いましがたも、途切れることのない人の波を横断しようとして難儀していたおばあさんの手を引いて助けたところだ。
私自身が楽しむことも大切ですが、皆様が楽しまれるようお手伝いすることはより大切です。
私は皆様が体験するこのイベントが、悲しい思い出で終わることが一番つらいので。
「そこのお兄さん、楽しんでるかい？」
七星に威勢良く声をかけてきたのは、仮装と言えばこの人（？）寝子 サンマではないか。
「ええ」
「おっと、お兄さんではなくお姉さんだったか」
「いえ、お兄さんでお願いします。いま仮装しておりますので」
「いいね！」
ぐっとサムアップしてサンマは言う。
「ならお兄さんっぽく返してくれ」
では、と軽く咳払いして七星は役に入るのである。
「楽しんでいるかい？」
流し目も披露した。
噂で聞いたんですが、と綾辻 綾花は切り出した。
「うん？」
早川 珪は小首をかしげた。背が高く大人びた珪なのに、不思議そうな顔をするときだけは小動物、もっといえば枝の上の小鳥を思わせる仕草を見せることがある。ずっと年上のひとにつかう表現ではないかもしれないが、そんなときの先生はこのうえなく可愛い――ひそかに綾花は思っているのだ。
珪先生の特別な仕草を、知っているのは私だけです。
ちょっぴり得意に思う。
ほかにも綾花は知っている。
苦笑するとき彼は、片側の眉のほうがより大きく下がること。
ぎっしり詰まった本棚を前にすると、真剣なまなざしになり顎に手を添えること。
大事な言葉を口にするときはよく、すぐには告げず一拍おいてから、霧のようにそっとつぶやくこと。
きっと彼の両親だって、ここまで詳しくは知らないはずだ。
小鳥のような珪をずっと観察していてもいいのだけれど、じらすのは綾花の目的ではない。仮装パレードの最中なので、多少はっきりめに告げた。
「えっと、イソラ・ガレッジャンテのお見合いイベントです。寝子高の独身の先生方が参加されるって聞きました。でも、珪先生は参加されないんですよね」
ああ、と珪は小鳥からいつもの彼に復した。
「その話ね。うん、僕はパスさせてもらった。若杉先生に声をかけられそうになったから隠れたよ」
苦手なんだ、そういうの、とためらいもなく言いのける。
「でも五十嵐先生とか、参加した先生がたの健闘は祈っているよ」
ほら、と綾花は満足げに思う。
珪先生、眉の形が苦笑のそれになってます。
「でも珪先生が参加されたら、大変なことになったと思います」
「大変？ そうかな」
「ですよ。珪先生は、か……格好いいから、わらわらと女の人がむらがってきそうです」
心から思っていることではあるものの、面と向かって『格好いい』と呼ぶのには照れてしまう。
「ありがとう。でも買いかぶりすぎだと思うな。僕なんかきっと誰にも相手にされないよ」
「そんなこと！」
だっていまだって、と叫びたいくらいの綾花だった。
信じられないくらい格好いいんですから！
珪の仮装は小説の登場人物、東洋テイストのファンタジックな軍装で、すらりとした背丈によく似合った。生地はもちろん月と剣の留め具もイメージカラーはダークブルーで、襟の徽章は蒼い宝石だ。トーガ風のマントも星明かりを浴びた夜の湖のよう。原作小説は来春実写映画化されるという話だが、主演に配役されているアイドル歌手なんかより、珪こそがまとうべき衣装だと綾花は思わずにはいられない。
綾花も彼に仮装をあわせていた。彼女の装束は同じ小説のヒロインなのだった。月のモチーフが彼だとすれば綾花は対、太陽のモチーフでまとめている。金の首飾りにオレンジのワンピース、髪飾りも燦然たる色彩だ。
珪と綾花の組み合わせは、見る人が見ればすぐにそれだとわかるだろう。原作ファンならばまずまちがいなく、珪は作品イメージを具現化していると太鼓判を押すはずだ。
私は……『不釣り合い』と思われなければいいけど……。
でも猫背で歩きたくない。イメージ台無しではないはずだ。胸を張って、歩きたい。
腕を組むはおろか手もつながない珪と綾花だが、きっと多くの原作ファンは、似合いの組み合わせだと思ってくれるだろう。
走る小学生が転んだのを助けて手当てした。
迷子になっていた幼い少年を見つけて、手を引いて迷子案内センターに連れて行った。
七星は息をつく。いつのまにか、パレードの参加者ではなくパレードを守る側になってしまったような気がする。
それでも七星は困っている人を見れば見過ごせない。いましがたも、途切れることのない人の波を横断しようとして難儀していたおばあさんの手を引いて助けたところだ。
私自身が楽しむことも大切ですが、皆様が楽しまれるようお手伝いすることはより大切です。
私は皆様が体験するこのイベントが、悲しい思い出で終わることが一番つらいので。
「そこのお兄さん、楽しんでるかい？」
七星に威勢良く声をかけてきたのは、仮装と言えばこの人（？）寝子 サンマではないか。
「ええ」
「おっと、お兄さんではなくお姉さんだったか」
「いえ、お兄さんでお願いします。いま仮装しておりますので」
「いいね！」
ぐっとサムアップしてサンマは言う。
「ならお兄さんっぽく返してくれ」
では、と軽く咳払いして七星は役に入るのである。
「楽しんでいるかい？」
流し目も披露した。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2023年01月15日
- 参加申し込みの期限
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- 2023年01月22日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2023年01月22日 11時00分
