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I'll be there - 仲良くなりたい、その10
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CLOSEDの看板を戸口にかける。有名なイラストレーターが『クラン=G様へ』と提供してくれたファンタジックなイラストつきの豪華なプレートだ。
しめられるシャッターはしめて電気も消して、ただひとつ休憩コーナーに残した灯のもとに陣は向かった。
千絵が座って待っていた。
「何か飲みます?」
常設の自販機を指して言う。
「あー……でも」
「遠慮しないで下さい。私が呼びつけたんで。ホットコーヒーでいいですか?」
「ホットならココアで」
「私もそうします」
カップベンダー型の自販機が、紙コップにひとつずつ温かいドリンクをそそぐのを待つ。
「お待たせしました」
千絵はココアのカップを陣に渡した。ふうふうと吹いて口を付ける。
陣も千絵にならった。
ふたりで自販機のココアを飲む……こんな経験、いつかしたような……。
しばらくして陣は、
そのとき
の相手は千絵ではなく
芋煮 紅美
だったことを思い出した。
千絵はしばらく黙ったまま、両手にもったココアの水面を見つめている。
真剣な話だろう。ただ、店が倒産するとか経営難でクビとかいうトピックではないという自信はあった。デジタル機器が苦手な千絵にかわって陣は帳簿をつけることはしばしばあり、店が好調、というか右肩上がりで成長していることを知っていた。だからひょっとして……、
「七枷さん、来年春から『クラン=G』で働きませんか? 社員として」
だったらどうしよう。願ったり叶ったりと即イエスするべきか、やっぱり進学してあと数年はバイトで――と申し出るべきか。どちらにしろいい話ではないか。
しかし千絵の様子を見ているうちに心がしぼんできた。どうも歓迎できる話ではなさそうなのだ。彼女の表情は暗い。
心を決めたのか千絵はカップをさらに一口して顔を上げた。
「実は『クラン=G』に買収の話がきているんです……! 売ってもいい、ってお父さんは言ってて……」
この話はこの夏、それもあの沖縄旅行の場で出たということからはじめて、一通りの事情を千絵は打ち明けた。
「遅くなってすいませんでした。どうしても打ち明けるのが延ばし延ばしになってしまって……私はどうすればいいんでしょうか?」
「いや、そう言われましても……」
事態を飲みこむことからして、まず陣は苦労しているのだった。
予想外もいいところだ! たとえ看板が残るとしても、完全事業譲渡では『クラン=G』は『クラン=G』でなくなるではないか。
あのおじさん、娘に責任を丸投げかー!
三佐倉店長には腹が立った。中学生の千絵ちゃんにそんな重大な決定をゆだねるなんて。
……けどなぁ。
考えてみれば三佐倉杏平という人物は、いつだって常識の世界の外にいる。同じ世界にいない人に非常識だと怒ってどうなるものだろうか。
杏平は思いつきでゲームショップを立ち上げて、思いつきで店をファミレス跡に移転して拡大した。彼のやっていることはたいてい思いつきなのである。仕事を真剣にやっている風はなく、経営は千絵のほうが得意だと判断するや実務は娘にほぼ一任し、あとは世界じゅうのコンベンションだの即売会だのをフラフラめぐってばかりいる。遊んでいるように見えるのに、それでもいち早く売れる商品を見つけ輸入ルートを確保する嗅覚は抜群だ。凡人とはちがう世界にいるせいか、彼の読みは常に当たるのだった。
店を売るか売らないかも、杏平なりの直感で千絵に決めさせることにしたのだろう。
仕方がない。店長は天才だからな……。
陣もほぼあきらめている。
それに杏平が店を売る話を検討したのも、娘千絵の将来の夢を叶えるためだというではないか。
「七枷さんならどうします?」
「お、重い……人様の進路云々は僕には重すぎるんやけどちょっと?」
だって七枷さんは、と千絵は言う。
「紅さんにも一生懸命アドバイスしてあげたじゃないですか」
そこまでは言わないが千絵の語尾から『私にアドバイスしてくれないなんてズルいです』というニュアンスが読み取れた。
ええー……それ言う?
窮するほかない陣である。味が分からなくなったココアを一口してから言う。
「あっちはその……ネグレクトとか家庭崩壊とか別ベクトルでクッソ重くて、第三者が横槍を入れなきゃどうにもならんかったわけじゃない? まあ結果論やけども……千絵ちゃんの場合、僕が介入するのはちょっとちがうと思うんよなぁ」
これは千絵本人の将来のことだ。自分に無責任な発言ができるはずもないのだ。
それでも考えてみよう。陣は頭に図式を描いた。
ドイツ行く → 紅たちとの縁は切れる → 本場で早期に学んでデザイナーにはなれる → 思春期の思い出薄く後悔
ドイツ行かない → 紅たちとよしみを重ね順風な思春期 → デザイナーの学び遅れる → 夢破れ後悔
「
どっち選んでも後悔するやつやんけ!
」
「えっ!?」
「ご、ごめん心の声がもれただけ。想像してみたんや、極端な例だけど」
陣は脳内の図式を丁寧に説明した。
「どうせ後悔するなら、しても納得できるほうを取った方がマシだとは思う」
「ですよね……」
ゴホン、と空咳して陣は紙コップをテーブルに置いた。
「で、ここからは僕の意見だけど……気を悪くしたらごめん。先にあやまっておくよ」
客観的なコメントはただの逃げだ。そう判断して陣も覚悟を決めたのである。
「いまだから言うけど、初対面での千絵ちゃんの印象って、あんまよくなかったんだよね。無口で無表情で、よく分からないじゃりン子やなってさ」
「はい。当時の私もそれ、自覚してました」
コミュ障ですから、と千絵にしてはめずらしい言葉をつかった。こういう略称を好まないはずなのに。
「いまだってコミュ障です。学校ではぜんぜん私、友だちいないんですよね……こんなだから……」
待って、と早口で陣は口を挟む。
「僕はそこまで言ってへんよ。だってもう印象はちがうから」
それから来店重ねるようになって見てきたけど、とくに紅が来だしてからかなと陣は言う。
「どんどん千絵ちゃんは感じがよくなっていった。初対面の時と比べて表情もよく変わるように……もっと言ってしまえば明るくなったと思うんだ。いまの千絵ちゃんには、紅たちや常連のお客さんたちのくるこの店は、人格形成の上で切っちゃいけないものなのではないかって、僕は思う」
それにさ、と頭をバリバリとかいて陣は言った。
「学校の友達ならいるじゃないか。紅だろ? よく一緒に下校してるって言ってたじゃないか。そういうのって、学年ちがってても関係なくね?」
「ですね……ふふ、でも紅さんなら、『千絵? 友達じゃねーし!』って言いそうですけど」
「言いそう!」
「でしょ? 素直じゃないんですよあの人!」
しばらくふたりは、ここにいない友人のことを笑いあった。といっても悪口ではなかった。
「それで……七枷さんはどう思ってるんですか?」
「えっ?」
「私、あなたの意見が聞きたいです」
「僕の……」
「です」
千絵のまなざしは剣尖だ。かわそうとしても突き刺さる距離。陣は目をそらせない。
いい加減なことを言ってお茶を濁す気にはなれなかった。ここまで真剣な相手には、こちらも真剣に応じるほかない。
「……千絵ちゃんが行く行かないの判断材料にしないって約束するなら、僕個人のわがままとして言わせてもらう」
「わかりました。いまだけ陣さんと呼ばせてください」
「いやそれは」
「いまだけです!」
怒ったような声を千絵が出したので。陣はうなずくしかなかった。
「……私、陣さんの言葉を真摯に聞きます。でもそれだけで軽々しく結論は出しません」
六つも年下の少女がここまで言うのだ。陣にどうして拒めよう。わがままだと宣言したではないか。ならばわがままをつらぬかせてもらうだけだ。
「千絵ちゃんと店長(てんちょー)のいるこの店で働くのも、頑張って切り盛りしてる君を見るのもいまじゃ楽しいし好きだから……行ってほしくはないよ」
「陣さん……」
感極まったように千絵は声を詰まらせ、そのまま鍵を残して出ていった。
「あっ」
待って、と陣が言う前に千絵は姿を消したのである。
仕方がない。こうして鍵を任せてもらえるのも信頼されている証拠だ。
――今日は、戸じまりして帰ろうか。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年10月31日
参加申し込みの期限
2022年11月07日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年11月07日 11時00分
参加キャラクター一覧
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