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I'll be there - 仲良くなりたい、その10
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あった。
辞書コーナーに、どんと分厚くまばゆい国語辞典が積みあげられていた。今日は購入予定はないが、年内にはきっとと思っている七瀬である。なので今日は前菜くらいの気分で、『見本』とタグのついた一冊を開いた。いずれ買うと決めていても事前チェックしてしまうのは本好きの性(さが)といえよう。
ところが。
楽しいはずの辞書チェックも、どうにも気が乗りきらないというか、心から没入できなかった。
ほう、こんな言葉まで載っとるですか。
あっ、あの言葉載っとらん。まあ、古か言葉やし当然か。
などと心のなかでつぶやいてみるも、誰かに向けてひとり芝居をしているようで、わざとらしい気がしてならずやめてしまった。
……それにしても、あの美人さんどなたでしょうか。
ああ、やっぱりだ。
やっぱり自分は、抜け出せていない。さっき目にした光景から。ウォルター先生と謎の美女が、楽しげに話す場面から。
ウォルター先生、笑ってた。
しかも目に、火花が宿っていたような気がする。
例の美人さんも、ただ容姿がすぐれているだけでなく、どこかにウォルター先生を連れて行ってしまいそうに思えて仕方がなかった。
もしかしたら、ファム・ファタルちゅうやつでしょうか。
「うーむ」
七瀬はつぶやいた。
考えるだに頭が重い。体にも太い鎖が巻かれたような気がする。
うなりながら辞書を繰っていても仕方あるまい。その場を去り恐る恐る雑誌コーナーに戻ったところ、すでにウォルターも『ファム・ファタル』も消えていた。
支払いを済ませて書店を出た。
いつもなら「カバーはいりません」とこたえる七瀬なのに(なぜなら自宅には布の文庫カバーも紙のそれも大量にあるから)ついうっかり言いそびれてしまって、買った三冊にはいずれも書店のロゴが入ったカバーがかかっている。
そしてやっぱり体が重いのだった。棺桶でも引きずるような気分でとぼとぼと歩く。
このままでは行き倒れかねない。行き倒れた少年の遺体のかたわらには三冊の文庫本が……ではミステリの導入部としてもイマイチだろう。
少し休んでから帰ることにしましょう。
自宅マンションだって目と鼻の先だが、部屋で悶々とするのも不健康に思えて、秋晴れの下の公園に七瀬は足を踏み入れた。
ベンチに腰を下ろして一休みする。
やはりモヤモヤとした気分だった。やっぱり同じことを考えている。
ウォルター先生の恋人……やなかろうか。
なぜって七瀬は、あんなに楽しそうなウォルターを見るのははじめてな気がするからである。彼は普段からほがらかで、たいていは余裕のある笑みを浮かべているのだが、あれほど屈託のない笑顔を拝んだことはなかった……と思う。
ああ、やだやだ。
自分が嫌になってくる。こうやって同じ思考ばかりたどって、何か結論が出るはずがないではないか。
こんなときは、と七瀬は決めた。鞄に手を伸ばす。
小説の世界にこもるとしよう。夕方だが寒くはない。青空の下の読書も乙なものだ。
買った三冊は三冊とも全部カバーがかかっておりしかも厚さが同程度なので、どれがどれだかわからない。ギャンブルみたいでいいじゃないかと思って、おもむろに一冊を選んでひらいた。
……ん? あれ?
気がつけばすっかり暗くなっているではないか。
時間を忘れて読みふける、そんな本との出会いは幸運である。七瀬が手にしていたのはスポーツノンフィクションだった。正直ルールすらきちんと把握できているとはいえない競技で、接点も興味もない世界だったが、書店員の推薦文が見事すぎて誘惑にあらがえなかったのだ。
ところがこれが猛烈に面白かったのである! 十ページも進まないうちにたちまち魅了されてしまった。
華やかなるプロスポーツの裏で動いていた激しい政治戦、関係者たちの絡みあう思惑、選手たちが背負ってきた人生という名のドラマ、心震える逸話の数々……そうしたお膳立ても見事ながら、本当に実在の人物!? と疑いたくなるほど強烈な個性をもった主人公に惹きつけられずにはいられなかった。この人物は選手ではないし監督やオーナーでもない、そればかりか名前が表に出ることすら滅多にない裏方で、しかも人格にかなり問題のある人物なのだ。ところが主人公は、誰も思いつかなかった手法で貧乏チームを常勝軍団へと作り変える。
とりわけ見事なのはクライマックスだ。小説よりも奇なりを地で行く展開が待ち構えており、ページをめくる手が止まらなかった。
くりかえすがこのスポーツにたいした興味も関心もなかったし、そもそもチーム名すら知らなかったくらいなのに、七瀬はいつしか客席に座り、手に汗握って伝説の試合に立ち合っている気持ちになっていた。結果がわかったときは、心の中でガッツポーズしたほどだ。
ようやく一段落したところで七瀬は我にかえったのである。活字の海に没頭したとき特有の心地よい疲れはあったが、心の片隅にわだかまっていたものはきれいに晴れていた。
時計を見てぎょっとした。夕食どきすら過ぎている。ちょうど街灯の下だったということもあり、七瀬は灯がよく当たる位置に移動して、延々ベンチで本に埋没していたのだった。薄暗い街灯での読書なんて目にいいはずがないが、ちょうどいいところにさしかかっていたので帰宅するという発想が出なかったのだった。
いけないと立ち上がったところで、
「倉前じゃないか」
ウォルターに声をかけられ腰を抜かしそうになる。ベンチがあってよかった。ぺたっと七瀬は座り込んでいた。
「先生っ!?」
多少甲高い声になってしまった。
「え……ええと、先生なんしとーとですか?」
「星ヶ丘に帰る途中だよ。映画を観てたんだ。遅くなってしまったので近道だね」
あんまり遅くなるとメアリ(同居の老メイド)に怒られるからねぇ、とウォルターは笑った。余裕のある笑み、いつものウォルターだ。
「映画? どうでした」
「うん、面白かったよ。ちょうどいい、って感じのバランスでねぇ」
映画のタイトルを聞いたが、七瀬には心当たりのない名前だった。内容すら想像できない。
「倉前は夜の公園で読書かい?」
「いや、僕はえーと……本屋の帰りに散歩ですよ」
小休憩のつもりで本を手にしたら、面白くて読みふけってしまってと明かす。
「書店? あそこのエリカバ堂かい? だったら僕も今日行ってたよ。すれ違ってたかもしれないなぁ」
ですねーと答えてすませることもできただろう。大人な態度というのはそういうものかもしれない。
でも七瀬は、無理に大人びたくはなかった。
「実は……先生のことお見かけしとったんですが」
「なんだ、声かけてくれてもよかったのに」
「……でも、他の方とご一緒のようだったので遠慮してしまいました……なんていうか……背の高い美人さん、です」
ああ、とウォルターは手を打った。
「どう思った?」
残酷なこと訊くんですね――と言いかけた七瀬だがすぐに思い直す。彼は無邪気に、たぶん一切の悪気なしに口にしているのだろう。この質問が自分を困らせることになるなんて、夢にも思っていないだろう。
でもそういうところも、まちがいなくウォルターの魅力のひとつだ。
「うち、きっとその方に嫉妬しとったんでしょうね……だから逃げました、その場から」
先生の恋人になりたいという気持ちは、七瀬にはない。
なのに、先生に恋人がおったらって考えてモヤモヤするなんて――。
うーん、みっともなかです。
ウォルターが、なぜと理由を求めることはなかった。かわりに告げたのは、
「あの人、今日会ったばかりの人だよ」
というあっけらかんとした一言だった。さらに、いささか唐突にこう言った。
「ところでお腹すかないか? 倉前ひとり暮らしだったよねぇ。でも今から何か作るのも買いに行くのも面倒じゃない? だから」
ウォルターは携帯電話を取りだしている。
「食べて行かないか? うちで、夕食を。大丈夫、メアリっていつも多めに作るから困ってたんだよねぇ。生まれたときから世話しているせいかまだ僕がティーンエイジャーに見えるみたいで……まったく、食べ盛りなんてもうとっくに終わってるのになぁ」
「え……い、いいんですか? 迷惑ではなかですか?」
「なんで? むしろ賑やかになっていいよ。なんといってもかわいい元教え子だ、メアリも喜ぶさ」
言いながらウォルターは携帯を操作していた。メアリに連絡を入れるのだろう。
……『元教え子』の上に『かわいい』……ですか。
にやついてしまわないよう、がんばって口を結ぶ七瀬だ。
好きの気持ちって、難しいですね。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年10月31日
参加申し込みの期限
2022年11月07日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年11月07日 11時00分
参加キャラクター一覧
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