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朧冬の蜃気楼/a hazy mirage of winter
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千絵が出て行ったので、閑散とした店内はさらに閑散とする。
「あー……紅、久しぶりだな。しばらく来ないからどうしたのかと思ってた……」
ところがやはり、紅の様子はおかしい。
「うん。まあ」
久々に会えたからガラにもなく照れているのかと思ったが、どうもそうではなさそうだ。
やっぱり、なにか様子がおかしいぞコイツ……僕に対するトゲトゲしさがないというか……。
これまでの紅なら、「なに? あたしのことずっと考えてたってワケ? キモ!」とかなんとか、毒舌のひとつでも飛ばしていたはずだ。
よくない、と陣は拳を握りしめた。
こんな紅、いや
芋煮 紅美
を陣は知っている。
紅美と最初にあの公園で出逢ったときだ。あのときも紅美は能面のような表情で、自分とは関係ない誰かの話をするように語っていた。あのときはもっと多弁だったが、根底にあるものは同じだ。
慎重に、と陣は思う。だからあえて優しげな声で、
「外、寒かったろ? 飲食スペースに座らないか? ほら、自販機のココアくらいおごってやるから。俺からのサービスだ気にすんな」
彼女に温かい紙コップを与えて隣に座る。
「ありがと」
ふうふうとココアを吹いて紅美はちびちびと飲み出した。
陣もひとつ自分用に買って、決してまずくはないがさりとて美味いとも言い切れないココアを飲む。
「温まったか」
「うん、温まった」
「善きかな善きかな……よし!」
パン、と自分の膝を叩いて陣は言う。
「何があったか聞かせてくれ♪」
あくまで明るい声だ。そこは変えない。
「何を?」
「だから、あんなにこの店が好きだったあんたが二ヶ月近く不在にしていた、そしてなんか漂白されちまったみたいになった理由……何があったかだよ!」
明るい口調……を保ちたいのだがもう怒り顔になってしまっている。
「マジ心配したんだからな、僕だって!」
観念したのか、紅はコップを見つめたまま言った。
「……施設にいた」
「施設? 入院してたのか?」
「病院じゃない……むしろ牢屋というほうが近いかも」
どうにもまどろっこしい口調ながら、紅はEABの施設に収容されていた時期のことを話したのである。親が勝手に契約して、拉致同然におしこめられたこと、施設での生活のこと、名も知らぬある人に「ボーナスタイム」という名目の犯罪を示唆されたこと、危うくその誘惑に負けそうになったことなどすべて。だが危ういところで体を張って止めてくれた友達がいたこと、今はその友達の家に厄介になっていることも語った。
話は何度も前後したので時間はかかったものの、陣は概要を理解した。
千絵ちゃんの言ってたEABってのは……それか。ニュースとか疎いから見落としてた。
悔やまれたが、それより陣を歯噛みさせたのは、自分がその場にいられなかったことだ。
「でもよかった……いい友達がいて。紅を助けてくれたその人にはマジ感謝だな」
「うん」
ほわっと紅美は笑った。
その友達は紅にとって飴や。そういう人がいたから、紅は生き延びた。
でも、と陣は思うのだ。
このままじゃ紅は駄目になると。
だったら俺は鞭になろう。
生きているだけではまだ、紅は紅に戻っていない。そんなのあいつじゃない。厳しくても現実に返らせるためには……現実に立ち向かうための鞭が必要だ。
「まずこれだけは言っとくぞ……
このおバカっ!
」
岩山すら両断するというチョップを(もちろん加減して)陣は紅に喰らわせた。
「
知っとけ! お前まじヤバいところだったんやからな!
もしそのときアイスピックで施設長を刺してたら、未成年だろうが法が届かなかろーが関係ない、取り返しのきかないゾーンに突入やったんやぞ!?
自分の心に取り消せない疵を残す気やったんか!
」
あの公園で援交オヤジ狩りしていたとき以上のや、と締めくくる。
紅美は、熱湯に触れたような顔をした。
「僕に言われなくてもだろうけど、お前マジでその友達大事にしろよ。ホント……手遅れにならなくてよかった……」
激昂のあまり涙目になっている。慌ててぬぐうと深く深く息を吐いて陣は座り直した。
紅美は何も言わないが、ようやく理解してきたらしい。顔を紅潮させ下を向いたまま、黙って震えている。
頃合いを見て陣は続けた。
「よし、じゃあ行くか」
「どこ?」
「紅……お前ん家(ち)だよ。案内してくれ」
「
ハァ!?
あんたなにバカ言ってんの!」
その口調だ、それでこそ紅だと思うが口には出さずに陣は続けた。
「人様の事情だから触れないでいたいけどご覧の有様だ。だから今回は首突っ込む。紅、いつまでもこのままでいる気か? もう逃げるのはやめて決着を付けるときだ。言っちゃ悪いがあんたの親もあんたから逃げてる。ずっとな」
「あたしの親が……? あたしから……?」
「僕にはそう見える。さあ行こう。心配するな、僕もつきあう」
出がけに千絵があえて合鍵のことに言及したのは、店を閉めてもいいという意味――つまりこうすることをうながしたのだと陣は解釈している。
「行くぞ」
陣は立ち、手を伸ばした。
紅美はしばらく陣の手を見つめていたが、やがてためらいがちにその手を取って立った。
「『今度はもう、離さない』……?」
「え? なんて?」
「知らない。どっかの映画かゲームかなんかのセリフっぽい。いま、あんたが言う気がした」
「なんやそれ? そんなクサい台詞、僕ならぜってー言わねー……と思う」
陣の語尾は不安定になり不時着した。
実際に口にしたことがあるような気がしたのだ。まさかとは思うのだが。
「あ、でもさっきのセリフ、言ってくれなくていいから」
「言うわけないって」
そう、陣が言うべき言葉は別だ。もう決めている。
大きな家の門、『芋煮』と表札がかかっているところでまた紅美は尻込みした。
「……やっぱやめない?」
彼女が途上、この言葉を口にしたのはこれで九回目だ。
「やめない。言っとくが僕だって怖いんだからな」
ドアがひらき紅美の母親が顔を見せたとき、陣は紅美と並んで立って、ありったけの勇気を出してこう告げた。
「僕はお宅の娘さんが起こした公園事件の関係者です」
と。
この日を境に、少しずつ紅は元に戻りはじめる。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年07月22日
参加申し込みの期限
2020年07月29日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年07月29日 11時00分
参加キャラクター一覧
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