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しずくがこぼれおちるとき<黒>
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──21:37、積み家・アパート 連鎖する踊り場~記憶だまり
うまなきゃよかった。
うまなきゃよかった。
頭の中で何度もリフレインする。
月原 想花
が闇に消え、一人となった心細さに疲弊したのだろうか。思い出さずにいられなかった。
滝原 レオン
の幼少期もまた滴のそれと比類なく、過酷で陰惨な局面はいくつもあった。それらを乗り越えてきたと言えば聞こえはいいが、前向きでいれば傷跡が消えるわけでもない。
「ね。いいことしよう。おじさんと。ね。いたくしないから」
「や……やめろ」
母が家へ男を連れ込むのは珍しいことではなかった。若い男もいれば、目の前の男のように初老へ差し掛かったような輩もいた。ほとんどは母と寝室へ長時間こもり、幼いレオンはひとり外へ出たり、渡されたくしゃくしゃの千円札で買った弁当や菓子を食べて過ごしたが、中には歪な趣向を好む者もあった。
「いたくしないよ。だいじょうぶ。ね。ほら、ね」
「やめろ、離せ! く……来るな!!」
あの男ははじめ、弟を連れて行こうとした。嫌がる弟の手を引き寝室へ歩む男の腹を突き、蹴りをくれてやったが、所詮は子どもの悪あがきだ。さしたる抵抗にもならず、事もなげに男は言った。『じゃあ、キミが代わりに相手してくれるの?』と。今でも耳に残っている。
それから。その後は……。
「っ、逃げないと。逃げるんだ」
絡みつく記憶の残滓を振り払うように、今にも崩れ落ちそうな廊下を走り抜ける。
弟のために身を投げ出した。それをあの男は、都合の良いように解釈したらしい。力なきものを好き勝手に、思うがままに扱っても許されると、本気で思っていたのだろうか。当人の了承を得たとでも思いこんだのだろうか。
「忘れろ……忘れろ……」
そういえばあの男は、いつも母が連れてくるような……いわゆる交際相手、とも少し毛色が違っていた。そもそも、なぜ弟を? なぜ始めから母でなく、兄弟へ目を向けていたのか?
あの時母は、どうしていたのだったろう。
「考えるな……考えるな」
アパートを巡る階段を駆け上るも、初老の男の姿をした怪異はどこにでも現れた。全力で駆けているというのに、引き離すことができない。自分が悪いのだろうか。自分が悪かったのだろうか。そう考えずにいられない。あの時何ができただろう。もう少しやりようがあったろうか。
そんな思考が、螺旋階段とシンクロしてぐるぐると巡る。
「そうじゃない。俺は……っ!!」
ひた、と怪異の手が触れた。レオンの手首をつかんでいる。
怖気を振るう感触が、レオンの身の内へ流れ込む。精神をシェイクされ、消してしまいたい記憶の全てを根源から揺さぶり起こされる。
そうだ。そうだ。
「やめ。やめろ……やめて。いやだ」
記憶は雄弁だ。忘れたフリをしていても、しっかりと覚えている。そうだ。
あの時、母は。
「う……うああああああ!!」
叫んだのは、レオンではなかった。
ひらと何かの紙片らしきものが目の前をよぎったかと思うと、虚空から湧き出した闇。その中から射出されたナイフが、それ自体も青い闇によって形づくられた刃が次々に、怪異の背へ吸い込まれるように突き立つ。
「そんなもの!! 見せるなあッ!!」
「お……前、戻って……?」
細腕で怪異を殴りつけ、レオンの目の前へ降り立ったのは、闇に消えたはずの想花だった。
想花の内にも忌まわしい記憶は眠っていた。そうとは知らぬまま、想花は日々を過ごしていた。忘れてしまっていた、あれほどの苦悶。耐えがたい苦痛を。
一時的に寝子島へ移動し、あちらと意思の疎通を図れたことは大きかった。互いが無事であると分かれば、事態も大きく動き出すだろう。闇へ飲みこまれ、暗く青く輝く回廊を通り抜けるような感覚は決して心地のよいものではなかったが、その甲斐はあったはずだ。
しかし回廊を飛び出し再び霊界へ降り立とうという瞬間、目に入ってきた光景が、想花の深奥を刺激した。
蘇る。蘇ってしまう。掴まれ、引きずり出されてしまう。
8歳で、夕暮れだった。自身の声なき声を覚えている。
一見何の変哲もない中年の男だった。公園で一人遊びに興ずる想花へかけられた言葉は、まさしくあの怪異がささやく駄言に近しい。
「おじさんと、いいことしよう。大丈夫。いたくしないから」
子ども心に察するものもあり、すぐさま逃げ出した。しかし子どもの足だ、逃げ切れはしなかった。
がたごとと砂利道を走る車。荷物のように包まれ、積まれた自分。幼い知識でも、この後自分に、希望なき災いが降りかかろうことは予感した。爪先から頭頂まで震え上がり、どうにかなってしまいそうだった。
そうして男は人気のない山林の掘っ立て小屋で、幾度となく想花を貪った。叫んでも、喚いても、泣いても失禁しても暴威が終わる気配はなく、男の荒い息とささやきがおぞましく耳朶から侵入し、身体の芯を貫く熱さと痛みは嵐のよう。
「ふざける……な……!」
程なく想花は解放された。記憶を失っていた。耐え切れず、自ら封印した。
眼前の怪異が放った言葉はそれをこじあけ、明るみにした。
「ふざけるなっ」
目の前は真っ白に。青い回廊を通り抜け、目の当たりにした光景に想花の内が刺激されると同時、抱いた負の感情が、何らかの形で作用したのかもしれない。
寝子島で想花が引き受けた、闇のナイフ。その数本だ。それらが虚空を奔り、怪異の背に突き立った。
喉を突き抜ける声なき声はしかし、あの時とは違う。弄ばれるままだったあの時と、同じではない。想花の激昂の叫びだった。
そのまま踊りかかると、拳を怪異の頬へ、腹へ、あらゆる角度で叩き込む。そうしようと考えた末の行動ではなく、半ば無意識だ。
幾度となく、貫くつもりで打ち込んでいたら、そのうち怪異は顔をひしゃげさせ、青く幻像にほどけて消えていった。
「あ、ありがとな。……大丈夫か?」
肩で息をつく想花へ、レオンの気づかいが染みた。
「大丈夫……です。なんとか……」
「そうか。でも、無理するなよ?」
二人も互いに、近しい痛みを抱える者同士と気づいたからかもしれない。小さく笑い合う。
「……あれ」
気が付くと、想花の拳を形作ったままの手に、何かが握り込まれている。
開いてみると、小さな紙片だ。先ほどにも見つけた、スケッチブックの破かれた欠片らしい。
「死んだなんて……信じないよ。滴さん」
想花は一度寝子島へ舞い戻った。一時的にしろ、二つの世界は通じているのだ。
彼女とて戻ることができないと、誰に言い切れるだろう。
「ああ。俺もだ」
レオンも力強くうなずき、歩き出す。
まだ、できることがあるはずだ。諦めるわけにはいかない。
彼女を取り戻す。固く固く、心に誓う。
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担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
バトル
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年10月23日
参加申し込みの期限
2022年10月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年10月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
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