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しずくがこぼれおちるとき<黒>
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──21:43、積み家・和風家屋 斜陽に陰る応接間~記憶だまり
鴻上 彰尋
も
綾辻 綾花
も、ともに荒事にはからきし適性がないわけだが、こと情報集めやそれを分析することには長けている。
「つまりここは、黒白さんの母親の実家なんだね。黒白さんは、一時期この家に身を寄せていた」
「はい。滴ちゃんのお父さんがギャンブルで借金を作って失踪してしまった後、お母さんは生活に困って、実家を頼った……」
和風家屋は障子に襖、鴨居に欄間、仏間や床の間、天井の梁、畳やその縁に至るまで、隅々まで実によく手入れされており、整然として清潔感にあふれている。よほどに几帳面な人物が家主か、あるいは多くの家事使用人が維持しているのだろう。
彰尋と綾花は各所を調べ、この家にいかなる由来があるか、滴と関連するところを導き出したが、それは翻って滴のたどってきた苦渋の人生をも知り、再確認する試みともなった。
「母親も戻りたくは無かっただろうね。どうも彼女は、家族の中でも鼻つまみ者扱いされていたような節が見られる」
家人のアルバムや日記、他愛ないメモ書きなどから、それは事あるごとに伝わってきた。優秀な兄や姉。比べて劣り、癇癪もちで精神不安定な末娘。望まれぬ結婚を押し切り、結果出戻りとなった彼女への風当りは強かった。強い、などという表現では生易しいくらいだ。その凄絶な顛末に触れ、彰尋は調べゆくごとに息を呑んだ。
「辛かったでしょうね……」
文字を書籍として保存するろっこんを用いて、滴やその母へ親族が投げかけた言葉を綾花は収集してきた。
気の重い作業ではあったが、ひとえに救いを見い出したい一念だった。
おかげで分かったことも少なくないが、綾花の気持ちは沈んだ。
「……もう少し頑張ろう」
綾花を気づかってのことだろう、彰尋は張りつめていた顔を緩めながらに言う。
「彼女のために、僕らにもできることがまだある、はず……、っ!?」
みゃおう、と猫の鳴き声。
一瞬の後、ぐいと彰尋に手を引かれ、綾花はよろめいた。
闇だ。青い闇が、それまでに綾花がいたはずの空間を貪っていた。口内に輝く牙が覗く、闇の獣だった。
鋭く警告のように、黒猫は鳴く。小さな身体に似合わぬ裂帛の気合を放ち、獣を拒むが、闇は大きく、そして肥大化しつつあった。多くの闇が集まり、己を阻む者を飲みこまんと迫る。
「逃げよう! 君も、早く……!」
綾花の背を押しやりながら、彰尋は黒猫へ叫ぶ。しかし黒猫は四肢を突っ張り、一度振り返ると先にゆけとばかりにうなずいて、闇へ向き直る。愛らしい子猫の姿であっても、こう見えて手練れのあやかしらしい。巨大な闇と対峙しながら、一歩も怯む様子はなかった。
「分かった。ここは任せよう」
「で、でも! あの子を置いていくなんて……」
「今は信じよう! 僕らにできることは、きっと他にあるから」
逡巡するも、綾花もまた踵を返す。割って入れるほど強くはないし、黒猫もまたそれを望むまい。せめて戻ってきたらうんと抱き締めて、美味しいおやつを進呈しよう。そう、ざわつく感情を飲みこむように心へ決めた。
「……あッ! メモが……」
黒猫に気を取られるばかりで、手元がいささか留守になっていたらしい。伸びてきた闇の触手がかすめ、綾花の手から書きかけのメモ帳の一枚が千切れて飛ぶ。
メモは闇へと吸い込まれ、青く炸裂するような衝撃を数度放ってから消え失せた。
──家族って、なんだろ? 昔っから、良く分からなかったんだよね。
ママは……ま、家族だと思う。私が生まれるのを望んでなかったとしても。そこは変えられないものだから。
でも、この人たちはなんだろう?
綾花の見つけた書類はどうやら、件の遺産相続問題に関するものらしい。
それを手にした途端に起ち上がった幻像は、滴の記憶を如実に、彼女の主観も交えて伝えてくれる。
畳敷きの広間に顔を揃えた面々が見せる表情は、いかめしい顔、嘲り、無頓着とさまざまだが、その中で滴の母は明確に浮いていた。額に脂汗をにじませ、拳を手が白むほど握り込み、唇を半ば噛みきっていた。
『ね……姉さん。ねえ……たったの……これだけ?』
『もらえるだけでもありがたいと思ってほしいわね。忘れたとは言わせないわよ、あれだけの啖呵を切って、あなた勝手に家を出ていったんだから』
『だ、だ、だって、これじゃ……』
『お父さんが遺言書の一つも残しておいてくれればねえ。大体、あなたに分割協議の話を連絡したのだって、お情けだわよ。とっくにそんな権利、放棄したはずでしょう』
『……でも……娘が』
『おい、甘えるんじゃない! パートでもなんでも必死にやれば、母娘二人くらい食べていけるだろ。そこを俺たち兄弟の温情で、少しは分けてやるって言ってんだ』
『そうよあんた、勝手に出て行って、勝手に子ども作って、あげく旦那に逃げられて、金が無いだって? 昔からそうだったわよね、あんた。あたしたちの助言も聞く耳持たないで、自分だけで好き勝手やって、困ったらあたしらに泣きついてくるんだから』
『…………娘が……いるのに……』
『大体なんだ、滴のその髪は。ふざけてるのか? 親が親なら娘も娘か? すぐ止めさせろ!』
『……知らないわよ、あたしは……いつの間にかこうなってたんだから』
『いい? こっちはね、そんなみすぼらしいナリで家の周りをうろつかれるのも、あなたに姉と呼ばれるのも、迷惑なのよ』
『家柄に傷がつく、とか思えないのか? まあ無駄か、こいつはガキの頃から出来が悪かったから』
『とにかくそれを受け取ったら、とっとと出て行って。そして二度と顔を見せないでちょうだい。あんたは我が家の汚点だわ』
『……よくもそこまで! 姉さんも兄さんも、父さんも母さんも、いつだってあたしを蔑ろにしてた、馬鹿にしてた! あたしは分かってたんだ、知ってたんだ。あんたたちと血が繋がってるなんて、こっちこそ願い下げだよ!』
『自分の愚かさを棚に上げて、その傲慢な物言いはなんだ! お前の無能には同情しなくもないさ、だがお前はそれをどうにかしようと努力したか? 改善しようと少しでも考えたのか?』
『あんたの自業自得ってものよ! 頭も悪けりゃ人を見る目もない、素直に頭下げる謙虚さもない。クズみたいな男に騙されて、困っちゃった、助けて~って? 今さらだわ。馬っ鹿じゃないの!』
『うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい……!!』
西日がいやにまぶしかったのを覚えてる。ぎらぎらする日の光が目に痛くて、私は広間の隅っこでずっと目を細めてた。でも今思えば、私を睨むママの目が見られなかったからかも。
『あんたなんか……うまなきゃよかった』
沈んでく太陽が、もう二度と昇ってこないような気がしてた。
ウチにお金がないのも、パパが出ていったのも、きっと私が悪いんだろう。子ども心に、ずうっとそんなことを考えてたよ。
そうだ。あの時、あの子が死んじゃったのも……私が悪かったのかな? 私のせいだったのかな?
ってね。
「あの子?」
綾花は手の中の煮干しに目を落とす。
黒猫はどうしただろう。無事に闇を払うことができただろうか。今頃こちらへ向かっているだろうか。それとも、別のところで奮闘する仲間を助けてくれているのかも。
母娘は結局、分与されたわずかばかりの財産を手に、再び放逐された。その後の苦労は想像に難くない。
彰尋は目を伏せる。家族との確執は、その人の人生にとってとてつもなく重い。彼にも実感を伴い理解できた。
幻像はほどけて失せる。消えゆく青い幻の少女が、最後に二人へ儚く笑んだように見えた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
バトル
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年10月23日
参加申し込みの期限
2022年10月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年10月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
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